俳句例:201句目~
地震しげくなりし且散る紅葉かな/西本一都
地震しげく明易くなるばかりなり/西本一都
地震すぎて歯軋りのごと浅蜊磨ぐ/横山房子
暁けしらむ障子に地震の息ながく/西本一都
地震のあと水脈変りたる種井かな/成田黄二
身に入むや地震に鳴り出す古時計/石田如月
地震のあと葡萄の粒のひしめきぬ/宗像ひで
金玉まだ揺れてをり地震のあと/田中三代子
閼伽桶に蟻のただよふ地震の国/友永佳津朗
末枯の地震の空間みて病めり/阿部みどり女
雛納め静かに地震の過ぎゆける/山田みづえ
地震のことふと忘れをり花明り/石定まさ子
地震はしる/闇に怪鳥の如きもの/高部雅堂
青芝の馴染みて地震に耐へし家/稲畑廣太郎
地震はたとわが初夢を断てりけり/西本一都
気がかりの地震に欠かせぬ雪卸す/桑原柊月
永き夜の地震のときは見つめ合う/池田澄子
鳰くぐり潜りて地震の神に会ふ/小泉八重子
地震ふるや蚊帳かたはづし星と居る/原石鼎
冷まじや地震止みてなほ身のゆれし/伊藤千世
俳句例:221句目~
涅槃図や生きとし生けるものに地震/西本一都
地震過ぎし冬野はるかに雲の照り/金尾梅の門
舌先にぽんかんの種とほき地震/鍵和田ゆう子
黒い富士と他人と少し地震もあり/八木原祐計
地震すぎたる青空の尖つた建もの/栗林一石路
間引菜に朝来たりけり地震のあと/堀口みゆき
地震しげく草の実はじけやまざりし/西本一都
牛蒡育つときどき地震がゆさぶって/武田和郎
春宵の地震ありしといふなしといふ/高濱年尾
木々芽吹き地震を呼びたる朝のこと/高木晴子
地震かなし蔓をひきずりホップ摘む/西本一都
子供らに地震のありたる春田かな/大峯あきら
地震涸れの川ずたずたに切れにけり/西本一都
凍つる夜の地震しづまりし黒羊羹/和田耕三郎
木の実植う地震ふりし地を鎮めむと/大石悦子
雪峰より地震は降るかに抱くかに/殿村莵絲子
地震ゆれのみほとけの灯よ雛の灯よ/西本一都
地震飽きてふらと出でたる夜寒かな/渡辺水巴
地震やみしあとのしじまや猫の恋/深見けん二
地震に暁けおびえやまざる鳥総松/吉本伊智朗
俳句例:241句目~
地震に揺る今折りあげし紙の雛/鍵和田ゆう子
夜の地震にこほろぎ静かすぎないか/市場基巳
やゝつよき地震すぎたる葭戸かな/久保田万太郎
すぐやみし地震もさびしや憂き夜なべ/森川暁水
羅や地震かすかなるシヤンデリア/鍵和田ゆう子
地震怖る五位鷺鳴けるひとふしに/長谷川かな女
剥かざる林檎暗きへ地震は戻りゆく/磯貝碧蹄館
花こめて地震あとの風地に空に/飛鳥田れい無公
地震禍の罅をこのみて船虫は/吉本伊智朗「柝頭」
読み初めの書よりこぼれる地震の砂/西田もとつぐ
いくたびぞ地震踏みしめつ屋根替ふる/加藤知世子
地震二タ夜梅雨あがる月の澄みやうや/金尾梅の門
真夜さめて地震ぞふりゐきゆさりゆさり/日野草城
地震からの墓地のあれの花も持たない梅の木/喜谷六花
終末を小出しにふるふ地震といふエネルギア過ぐ粥すこし揺り/高橋睦郎
夕つかた町とよもして地震過ぎつわれはしろがねの粥食みゐしを/高橋睦郎