俳句例:101句目~
年の夜や地震ゆり出すあすの春/正岡子規
信濃路や田螺の跡に地震の節/加藤知世子
怪鳥たつ梢も地震にうちふるヘ/横山白虹
冬の星地震のあとに燃えさかる/渡邊水巴
地震雲たりや大綿濃く染めて/中戸川朝人
冴返る地震の犠牲者とぶらへば/山田弘子
小さき地震一つ通りぬ乙字の忌/小林愛子
地震雲たりや大綿染めにけり/中戸川朝人
地球儀のいささか自転春の地震/原子公平
春暁のかなしき夢を地震が断つ/宮津澪子
春暁の地震がどしんと銀婚なり/奈良文夫
春暁の地震に繰りたる雨戸かな/中尾白雨
地震あとの土塊ぬらす夜露かな/渡辺水巴
地震あとは簡素に住みて額の花/千原叡子
地震ありし海のしきりに稲妻す/原田杉花
地震落ちの林檎に嘴の痕しるく/西本一都
梅干して戦争に生き地震に生き/赤尾恵以
地震ぐもり去らず牡丹花を閑づ/後藤夜半
比類なく優しく生きて春の地震/攝津幸彦
地震知らぬ春の夕の仮寝かな/河東碧梧桐
俳句例:121句目~
太郎杉降らす花粉や地震あるな/青木重行
地震して温泉涸れし町の夜寒哉/正岡子規
地震去りて無月の闇を深くせり/長沢洋子
夕顔や方丈記にも地震のこと/阿波野青畝
地震のあとひそかに龍の玉こぼれ/高島茂
疼きけり深雪に地震に疼きけり/西本一都
地震のあと夜の靄ふかむ大根畑/宮津昭彦
地震のあと心にしみる菊しぐれ/西本一都
地震して恋猫屋根をころげけり/正岡子規
真夜の地震ありたる雛調度かな/行方克己
短夜や地震の過ぎたる山の寺/大峯あきら
山茱萸や地震の翳りや紬織る/加藤知世子
地震のあと砂の音して雪降れり/三浦ふく
秋の蜂群がりゐたり地震の後/石田あき子
つんぼうの耳に地震や雉子の声/内藤丈草
地震のあと髭のいとどの二段跳/根岸善雄
ばった飛ぶ地震に崩れし仏塔へ/坂本茉莉
節分の鬼戻りしか夜の地震/小笠原喜美子
綿虫の泛く頃合に地震ひとつ/杉山十四男
地震ののち岩がはなせし屑若布/加藤憲曠
俳句例:141句目~
海底の地震春眠をゆさぶりし/百合山羽公
ひと揺れの地震に持ちたる蝿叩/藤田湘子
花八手地震のやうなものを感ず/京極杞陽
やぶ入の興さましたる地震かな/正岡子規
苺摘みよろけし妻が地震にくむ/西本一都
地震の後日薄く晴れて行く春や/島田青峰
萩くくり地震に備へて墓寝かす/西本一都
一椀の葛湯をたのむ地震のひま/大石悦子
地震の禍を留め六甲末枯るる/稲畑廣太郎
地震の罅はしる土蔵に柿を干す/白井眞貫
五月晴なりけり地震起りけり/鈴木洋々子
人逝きて少し地震ある秋の夜半/岸本尚毅
地震長ししらず身構ふ毛布撥ね/石塚友二
返し地震来ずて暮れたる花白し/高田蝶衣
隙間風地震に火色の無き生活/水田むつみ
仏像に地震たまゆらの春雪光/加藤知世子
露微塵夜明の地震のなほつづく/角田東未
地震ふりて翠微もつるる袋掛く/西本一都
風花の舞ふにつけても地震のこと/関弥生
地震来て台風も来て一人かな/棚橋ちゑ子
俳句例:161句目~
腰紐に身を委ねいる春の地震/津沢マサ子
地震やんで日暮れて秋の雨がふる/石井露月
海難碑のカップ酒にも地震寒し/中戸川朝人
清水のやうな沈黙地震の山耕す/加藤知世子
地震やんで菊圃に遠き灯ありけり/宮武寒々
父の日の明方の地震わたりをり/八木林之助
地震ゆがみせし武家塀や菖蒲葺く/西本一都
地震前の部屋なつかしむ冬の夜/五十嵐播水
玻璃さむく地震びんと過ぎ鉄工忌/細谷源二
地震去つて街の雪掻はじまりぬ/青葉三角草
留守番をして地震にゆられて居る/尾崎放哉
地震止みし地にふたたびの虫の声/西村和子
白南風や沖に真昼の地震おこる/沼尻巳津子
地震瞬間の画面にも揺れ働く人/五十嵐研三
百合あかし地震に止まりし時直す/宮武寒々
地震見舞共に氷柱を噛みにけり/吉本伊智朗
夜の稲架しんしん匂ひ地震ふれる/西本一都
相孤なり地震踏みこらふ吾も月も/西本一都
天鳴れど地震ふれど牛のあゆみ哉/幸田露伴
寒の地震君葬らる日のあした/阿部みどり女
俳句例:181句目~
寒夜地震家の隅よりみしときし/川島彷徨子
うら枯や田川もあぐる地震しぶき/西本一都
しげしげと卯の花腐し地震もまた/西本一都
ひこばえに信濃の地震の伝ひけり/村越化石
ゆく春の地震とも風の触れしとも/荒井正隆
息白しはげしき地震に膝つきて/岡本まち子
手の内をいくつも見せぬ春の地震/攝津幸彦
ゆるやかに地震過ぐ雛の館かな/大峯あきら
早苗饗も済みしばかりに地震騒ぎ/清水保生
アネモネの花の崩るる昼の地震/塩谷はつ枝
冬の蝶汝もこの地震を生き延びし/三村純也
初旅や山河曳きずる地震のくに/吉田透思朗
告げたきは先づ地震のこと誓子の忌/桂信子
花菜挿すコップきらりと昼の地震/山口幸子
花野来し人知らざりし地震かな/石島雉子郎
春宵や地震にまろびし加賀手鞠/宮崎みさを
味噌搗くや地震さびれせし春の町/西本一都
荒涼たる春夜の祷り地震にゆられ/岩田昌寿
地震あとの余寒や探しものばかり/阪本謙二
地震くると蛙たかぶるわが夜路/加藤知世子