田水に関連した俳句の例をまとめました。
田水を含む俳句例
波先や勢田の水行く朧月/猿雖
李咲き田水は澄みて奥出雲/林徹
金田の水の町にて鯉幟/山口誓子
濱人の八十八年田水沸く/原田喬
田の水を庭に引かせて蛍哉/維駒
声高に痩田の水の蛙哉/正岡子規
島人の足腰を責め田水張る/原裕
電柱の一尺の影田水沸く/矢島久栄
大年の田水光るに禽あそぶ/下田稔
乾大根遠き田水が月泛べ/松村蒼石
電柱のかたむき映り夕田水/桂信子
日曜を待つや家々田水張り/中藤寛
連翹や田水を叩く海の雨/斉藤美規
家奥に赤子の眠り田水沸く/神蔵器
信玄袋婆に大事や田水沸く/神蔵器
山々を沈めて田水張る越後/桂信子
光陰と記憶の交差田水沸く/伊沢恵
山吹に田水ながれて筵ばた/中勘助
植ゑ田水自決の髻さへ映す/竹中宏
逃水や道の片側田水鳴る/巌谷小波
俳句例:21句目~
民宿の真昼音なく田水沸く/角淳子
蛙啼く田の水うごく月夜かな/闌更
田水沸く一里が景色松の幹/上村占
田の水に月の明暗春惜しむ/及川貞
理髪店出る人の影田水沸く/桂信子
鳶鴉宙に打ち合ひ田水沸く/太田嗟
望郷の田水うるめば春祭/松村蒼石
驟雨来金田の水匂ひ立ち/大橋敦子
田水満つ火の灯るごと蛇苺/永見/桂
ひつじ田の水を鏡に会葬者/金谷信夫
盆休み少年田水見にまはる/石原舟月
春を待つ田水に映り道作り/石田波郷
矢車や田水動かず一日終ゆ/河野南畦
磊落の理郎と居れば田水沸く/山口剛
稲刈つて田水の底を白雲飛ぶ/中拓夫
翁忌の田水飲みゐる鴉かな/鈴木鷹夫
色あふれゐて金田の水暗し/橋本榮治
苗植うと漆光りの田水張る/有馬籌子
すぐ終る村の葬ひ田水沸く/大橋敦子
朝髪に田の水つけつ早苗取/高田蝶衣
俳句例:41句目~
草刈のこころに眠る田水光/飯田龍太
荒海へ千枚の田の水落とす/下村非文
桃の日の田水豊かに家の前/松風悠風
菖蒲田の水に潜みし源五郎/大塚育子
落書の役者の名前田水沸く/土屋秀穂
安曇野や窓近くまで田水張る/桂信子
金田の水にゆらぎし城下町/野中亮介
鍬軽く十の田の水落しけり/西山泊雲
山椒喰峠田の水あまりたり/皆川盤水
障子外に田水の音や春の月/吉田冬葉
水口にうごく田水や寒の内/松村蒼石
山葵田の水といふ水走りけり/大串章
青胡桃田水加へし城の壕/中戸川朝人
音にでて田水を落す束ね藁/石川桂郎
山葵田の水初鴨の水と会ふ/石田勝彦
鶺鴒や犀川よりも田水澄む/西本一都
猪垣の長篠道の田水かな/八木林之介
産土の山の際まで田水張る/阿部菁女
山葵田の水韻稚き月を呼ぶ/村上光子
田の水の吃々と落つ霧の中/小芝潮子
俳句例:61句目~
恙なき暮らし日々田水沸く/下硲紀子
田の水の有たけ氷る朝かな/野澤凡兆
招提の松が見ゆなり冬田水/細見綾子
代田水月を捉えて匂いたつ/嶋崎みつ
田の水の高ふなるかも啼蛙/松岡青蘿
田水張れ姨捨山のふもとまで/原田喬
田水沸き米どころとは昔より/橋本博
田水沸く札所の村の大鴉/大峯あきら
冬田水古鏡の如く静もりて/後藤麓村
ひつじ田の水の太陽げに円し/西東三鬼
田水張る椀に卵黄張る出羽薄日/渋谷道
滝こだまして山葵田の水匂ふ/伊東宏晃
遍路道あらかた田水張り終り/浅場英彦
金盞花炎ゆる田水に安房の国/巌谷小波
東寺の塔黒し田水の沸きにけり/上村占
桃咲いて夜明の田水丸くなる/鈴木太郎
海寄せて八郎潟に田水張る/湯沢あや子
門を出て田水あかりや蛍狩/菰田みどり
隠れ田の水冬雲を遊ばする/鷲谷七菜子
雪形の蝶よ爺よと田水張る/笠原蜻蛉子
俳句例:81句目~
雲白し鬨あぐるごと田水沸く/河野南畦
沸く田水蛇腹さらして蛇浮かぶ/三谷昭
水筒に山葵田の水貰ひけり/越智貴美子
ふるさとの田水思へり雛納め/松村蒼石
汗光りおつ田水日輪ぎらら/栗林一石路
露草の田水に足をとられけり/巌谷小波
音吸つて田水光を充たしけり/雨宮抱星
鳥影も煮立つ田水の二番草/亀村佳代子
鴉の子代田の水をおそれけり/石田勝彦
わさび田の水を束ねる處あり/高澤良一
田水張りつめ花道を帰るごと/折井眞琴
わさび田の水透き通る花曇り/小沢青凡
田水見るわが倒影を従へて/松倉ゆずる
田水張り八十八夜近きかな/大井戸/辿
田水よく流れて村に夏が来し/松本巨草
トロ箱に田水張る日の家族です/倉本岬
田水張り闇を零るる星あまた/中崎良子
一夜荒れ濁りのとれぬ代田水/高澤良一
田水張る棚田に雲の這い上がる/佐藤勲
黒眼鏡暗しふるさと田水沸く/西村公鳳