老ゆに関連した俳句の例をまとめました。
老ゆを含む俳句例
大阪の人とし老ゆる鱧の皮/木国
母老ゆや野分潮騒彩なすは/原裕
文机に欠伸して老ゆ迎鐘/清水基吉
旧正や杣は渋紙色に老ゆ/赤座閑山
紫宸殿南廂の下蟷螂老ゆ/川崎展宏
いわし雲村人谿を愛し老ゆ/有働亨
鳥身得て人面老ゆれ雁来紅/竹中宏
苗代に歳々の顔うつし老ゆ/大串章
料亭の門前に水打ちて老ゆ/桂信子
残酷に少年老ゆる花木槿/稲野博明
坐して老ゆ畳師島の麦青み/大串章
夕凪の茄子一鉢の艀に老ゆ/中拓夫
楠若葉団地全棟全戸老ゆ/小川軽舟
鶯の老ゆる大きな鏡かな/綾部仁喜
牡丹寺女首筋より老ゆる/中村路子
鳥曇畝傍耳成香久山老ゆ/津田清子
藁塚に年輪はなし農に老ゆ/津田清子
葱坊主三日三晩を犬と老ゆ/京武久美
今朝秋の故郷人やどどと老ゆ/所山花
初夢や波郷は若く吾老ゆる/杉山岳陽
俳句例:21句目~
友葬り来て心老ゆ石蕗の花/川村紫陽
また母が老ゆ盆過の風の中/鈴木鷹夫
朝顔や朝々かくて人老ゆる/幸田露伴
真つすぐな髪のまま老ゆ福沸/樅山尋
闘牛の勢子を勤めて島に老ゆ/永井良
長男に生れて老ゆる梅の花/本宮哲郎
夕顔や山を越え来て髪の老ゆ/岸田稚
冬麗の紀の川に老ゆ僧の母/佐野美智
三滝の山を離れず鶯老ゆ/茂木白燕子
百日の千貫の榾減らし老ゆ/小熊一人
豊年だ豊年だまた父老ゆる/今瀬剛一
山房の灯らずなり若葉老ゆ/室生犀星
蟻の列忙し原爆ドーム老ゆ/吉松伸明
炎日の松を讃へて男老ゆ/能村登四郎
花吹雪檻に飼はれて猿老ゆ/中里行雄
手さぐりに水餅探し女老ゆ/菖蒲あや
泡盛や汚れて老ゆる人の中/石塚友二
啓蟄の邦土に老ゆる不発弾/山本紫黄
露の世を以心伝心夫婦老ゆ/福永鳴風
高嶺松霧に育ちて霧に老ゆ/岡本緑也
俳句例:41句目~
鬼ヶ島見ていて我ら少し老ゆ/山口剛
蘆の花船頭水の上に老ゆ/山口超心鬼
雁渡し漆重ねて能登に老ゆ/田村英一
昼寝して老ゆ蟻の穴深くなる/中島斌雄
何べんも秋草数へ人は老ゆ/山田みづえ
曼珠沙華母は涙すたびに老ゆ/石田仁子
冬帽を頭より離さず農夫老ゆ/西村公鳳
冬瓜のふくらみを撫し男老ゆ/伊藤白潮
月明に老ゆるひまなし夏の露/渡辺水巴
望郷の端居の父も母も老ゆ/冨田みのる
友情もまた老ゆるなり七日粥/大村錦子
散たびに老ゆく梅の木末かな/蕪村遺稿
秋耕やかそけく峡に老ゆるひと/及川貞
咲きみちてなほ淡々と桜老ゆ/近藤一鴻
桐咲くや笑顔のままに女老ゆ/油布五線
遠雪崩綸旨諳んじ木地師老ゆ/山崎雅葉
運河老ゆ海月は群れて乳色に/中村明子
灯を消して菊人形の老ゆる刻/能村研三
地錦など識り老ゆる同棲者/鈴木六林男
逃水にはぐらかされて男老ゆ/井桁白陶
俳句例:61句目~
火の山の断層蝶は羽より老ゆ/対馬康子
盆灯籠ともし佃の路地に老ゆ/久保方子
夏老ゆと白鳥の羽汚れたり/成瀬桜桃子
夏雲や犬と戯れピエロ老ゆ/岡部六弥太
送り火を焚き兄弟のまた老ゆる/神蔵器
蝸牛影をたいらにわれら老ゆ/安井昌子
葛砧打ちて吉野の里に老ゆ/大川きよ女
大根の青首を見て老ゆる日ぞ/木村虹雨
草市に足袋を濡らして女老ゆ/菖蒲あや
杣小屋に椿の落花杣老ゆる/熊谷哲太郎
松毬の優しき焚火母老ゆな/柴崎左田男
女老ゆ風呂場の隅で足袋洗ひ/菖蒲あや
春寒し墓前の土に濡れて老ゆ/松村蒼石
白菜の一塊を重しと妻は老ゆ/山口青邨
濡れ青葉いよいよ重く薊老ゆ/林原耒井
歩まねば老ゆると思ふ寒夕焼/橋村濱子
滾る湯に芹を投じて少し老ゆ/鈴木鷹夫
花見るや膝に眠れる猫も老ゆ/中村瑞穂
花氷をんなは老ゆること早し/岸風三楼
滝しぶきあびてあまたの髪老ゆる/原裕
俳句例:81句目~
アペリティフ少年老ゆる秋の海/鷲田環
師老ゆるな冬もたつぷり水車/辻田克巳
年の豆つかんで女すこし老ゆ/中村明子
年ひとつ老ゆく霄の化粧かな/高井几董
広瀬川君臨したる鷹も老ゆ/相田ふみ子
湯豆腐のゆれて賢兄愚弟老ゆ/西尾照子
黄落や奥へ奥へと老ゆばかり/兼子生々
思念老ゆ五月虚空の歩みまた/石原八束
思草ひと日生くれば一日老ゆ/滝沢幸助
男老ゆ椎の実拾ひ樹を見上げ/菅原鬨也
胡麻干して関八州の隅に老ゆ/富田昌宏
老ゆる日を一日のばす夏の雨/清水径子
夏昏き顔さかしまに水辺老ゆ/伊藤京子
老ゆるとは風を聴くこと西行忌/畑佳与
雪嶺を背骨となしつ農夫老ゆ/小田欣一
霜降や白じら老ゆる象はな子/中原鈴代
美しく老ゆるは難し草紅葉/新海りつ子
絲瓜忌や信濃に老ゆる一作者/福田蓼汀
人は老ゆ苧麻の衣の島老ゆる/吉田紫乃
人日や昭和を楯のわれも老ゆ/江ほむら