神に関連した俳句の例をまとめました。
神を含む俳句例
霜凪に神怒り坐す極みあり
神の旅梅橘の落葉して/悟空
滴りを額に一条神の山/原裕
夢想枕神ならば神郭公/黄吻
神謀りゐる十月の水鏡/原裕
一月の落葉も掃て神迎/蝶夢
神帰り其座や袖の花鎮/言水
神の旅寒流の色深む/小澤實
竜神の海千山千大旦/実籾繁
江戸中や神の十月桜月/調和
夕蝉や水底色に神の道/春樹
悪神に黴の五彩を奉る/林翔
子祭や大根白く神黒し/嘯山
風の駒雲の車や神送り/才麿
炉框も窯の神も十三夜/春樹
神将に天魔の吐息凩す/林翔
橘や粛然として神の庭/船山
福詣一福神は市場裏/富田直治
一筆に神書きし渦蝸牛/上野泰
春寒や隨神門に肥車/村上鬼城
俳句例:21句目~
神迎近江蕪を舟に乗せ/針呆介
神の琴べろん~と延寿祭/鳩十
道祖神漢のすなる肉の華/林桂
三宝に鯉の息づく神迎/角淳子
山頂に神の灯蒼く松納/三千女
氏神へ飾納の老夫婦/杉山木川
岩窟の祠の神の両面/横山白虹
一本は神に残して茸狩/仲寒蝉
御鏡の明晃々と神の留守/二巴
花売に神嘗祭の鰯雲/石原舟月
寒菊の痩神農の歯朶甘し/調和
神鳴の腹がはりなり雪女/沾木
初鶏や昔神達東ヘ/東洋城千句
朝風や水霜すべる神の杉/露伴
童の声しるべなり神送り/含粘
神杉の太根を頼み雪残る/林翔
神国や天てる星も夫婦連/一茶
山神に虎を供へ熊祭/古川京子
脱落す神を覚えて秋の暮/槐太
神垣や奥拝まる冬桜/野村喜舟
俳句例:41句目~
建国の神に柏手初詣/田原憲治
庭に焼飛火や花の御神木/調試
幾年の白髪や神の光かな/去来
神が来し海上の道岬椿/本井英
水仙の花釵や洛の神/正岡子規
神と神話す小声や春の闇/柏禎
美しの宮は姫神鏡餅/石崎晋象
水浴びて並ぶ烏や神迎へ/一茶
神農の虎の蹠ほの窪む/堀葦男
緑射す神将の剱両刃/津田清子
似せ侍神はうけずや旅心/洞雨
白山の神降臨の花筵/近藤一鴻
水神の裾吹く風に氷解く/原裕
神域を海まで拡げ鰯雲/長田等
神宜が子の鶏抱いて若楓/樗堂
蓬や湯葉六代の竃神/黒木野雨
氏神と墓と雷鴫の道/成井恵子
神鏡の真正面の鏡餅/粕谷容子
橙や大川端に咳の神/古舘曹人
神農の虎の前肢後肢/後藤夜半
俳句例:61句目~
神将睡し斎の栗飯飽食し/安住敦
稲雀神の杜にて雨休み/辻田克巳
磯神の一燈の白野分浪/近藤一鴻
山草のさやかに青し神の棚/露月
運命の神にしたがひ雑煮祝ぐ/占
此の里の牛の声きけ神送り/木枝
輪飾や人の情の藪の神/小杉余子
軒先に海あふれたる神来月/原裕
角の海竜巻もまた神渡/桑田青虎
朝顔も辻番持か神の垣/中村史邦
田の神を祀る一灯初雀/石川克子
秋蝶や硫気痛みの神の階/岡本眸
梅が香の誘ふ恵方や神参り/一音
朝冷や神の湧玉池の靄/佐野梧朗
神還る日の大雨の厳島/有馬朗人
望むべし神の滝縦一文字/岸田稚
山笑ふ神の茸ぞ命継げ/巌谷小波
田植神唐へ帰ると田植唄/辻桃子
秋渇く峯の祠は恋の神/宇咲冬男
男根を神とし田面油照り/有働亨
俳句例:81句目~
神の森天の境に藤を懸く/塙告冬
昼の虫峠の神は足短か/江中真弓
歳神と居て暁の榾を焚く/谷内茂
水分の神が霧ふく桜哉/正岡子規
山神の扉の半開き忍冬/森田安子
神の森梵天揚げる力足/川村久子
春風や鴉に啼かる塞神/吉田鴻司
祭神は兵士十万帰り花/林十九楼
囀や神木の瘤触れもして/きよみ
春霞三輪の瑞山神の山/石井桐陰
山神に朴水神に水芭蕉/村越化石
末世でも神の国ぞよ虎が雨/一茶
春荒く入間を走る詞神/桑原三郎
神とても恋仇あり黒椿/渡部昌石
囂と十二神将の田の蛙/古館曹人
春潮が寄す水神の石畳/松井利彦
神島や漁網で囲ふ藷畑/夏目隆夫
神の燭仏の燭も松の内/福田蓼汀
神苑も切口白い薪も冬/伊丹公子
外人の眼に神饌の夏大根/原月舟