俳句例:101句目~
鉾のこと話す仕草も京の人/稲畑汀子
鉾立や縄の切屑ちらばれる/長谷川櫂
二階から物のいひたや鉾の児/炭太祇
鉾の綱地になが~と昼餉時/長尾樟子
鉾の緑浴衣の尻を並べたる/長谷川櫂
鉾を待つ二階手摺の緋毛氈/野村泊月
鉾を待つ窓に親戚中の子よ/西村和子
鉾を組む年寄りたれど力瘤/西村和子
一と山の縄屑出来て鉾建ちぬ/天津春子
この辻を回せば祇園祭すむ/後藤比奈夫
ひんやりと屏風祭の二階かな/細川加賀
外されて鉾の車輪の大いなる/長谷川櫂
月鉾の通り灯が洩る地下工事/岩根冬青
小座敷を祇園囃子が通り抜け/今泉貞鳳
鉾の灯の見ゆるあたりや烏丸/中川四明
祇園会のことし鰥の琴屋かな/大石悦子
大車輪ぎくりととまり鉾とまる/波津女
祇園会の児並び行く朱傘かな/中川四明
饒舌な男蹤き来る神鉾の夜/石田よし宏
祇園会の真只中のポストかな/黛まどか
俳句例:121句目~
雲の峰はるかに鉾の道はあり/長谷川櫂
雨上る気配に鉾の綺羅もどる/山田弘子
開け放つ二階の前を鉾とほる/長谷川櫂
祇園会の雰囲気運び来たる人/山田弘子
祇園会や二階に顔のうづ高き/正岡子規
長刀を揺るがせて鉾起しけり/長谷川櫂
長刀のもつとも揺れて鉾廻る/稲松錦江
洛中の空込み合うて鉾すすむ/山本良明
昼の鉾めぐりて恋し宵ばやし/清水忠彦
笠鉾に手舞に人輪とよみつゝ/石塚友二
太刀鉾の青竹きしむ辻廻し/石川規矩子
太子鉾太子かくかく揺れたまふ/辻桃子
鉾の灯のともれば扇店も明く/岸風三楼
腕貫の紅濃なりける鉾の稚子/後藤夜半
おくり火やなき玉鉾の案内者/椎本才麿
鉾粽飛び交ふ下の老舗かな/佐々木紅春
船鉾の日和神楽のぞろと来し/大石悦子
花なれや東荒らぶる鉾ひとつ/折笠美秋
鉾どこにとゞまりゐるや雨の京/森田峠
水打つてまだ日の高き鉾の街/飯尾雅昭
俳句例:141句目~
褄とつてとほる舞妓に鉾囃子/細川加賀
鉾祭注連縄を断つ稚児の太刀/外園善行
もう次の鉾が囃子を送り来る/清水忠彦
玄海の鉾やあふれて岩の鵜が/古舘曹人
鉾の灯のつくより囃子競ひぬる/風三楼
水打てばはや宵めきて鉾の辻/山本歩禅
宵鉾の下にとまりし電車かな/野村泊月
鉾町に生れし誇嫁してなほ/鈴鹿野風呂
鉾を見る肌美しき人と坐し/緒方まさ子
京の町は鉾立つる日や雲の峰/中川四明
遠囃子届くところの鉾の句碑/松林馨子
人をさがして鉾の町鉾の辻/小川三補子
人形に倣ふといへど鉾の稚子/後藤夜半
鉾の灯に大路の雨の上りけり/西村和子
月鉾にひと雨くれし夜空かな/細川加賀
真先の鉾に上るや夏の月/菅原師竹句集
鉾の中の長刀鉾や立ちにけり/長谷川櫂
鉾曲る掛声そろひたるときに/土山紫牛
囃子方こぼれさうにも鉾進む/山田弘子
地におろす網も息づき鉾憩ふ/皆吉爽雨
俳句例:161句目~
鉾揺れて涼しき雲のとべる空/高濱年尾
宵山の裾の暗しや虫売りに/小島千架子
大工来て二階に酔へる鉾囃子/大石悦子
屏風祭幾世の人のよぎりけり/西村和子
夜を帰る枯野や北斗鉾立ちに/山口誓子
すゝみ来る遠くは鉾の重なりて/西村乙清
つとめ日々鉾の巷にかゝはらず/岸風三楼
とまるよりかけし昼餉の鉾梯子/田畑比古
なんとでもとれる返事を鉾祭/宇多喜代子
よぎりたる月鉾みえし小路かな/長谷川櫂
わが鉾の句碑が白朮の縄の先/後藤比奈夫
二階より出入りして鉾解きにけり/木阪登
人と闇十重に二十重に神鉾かな/羽石イミ
伊賀の山四方に高しや鉾すすむ/橋本鶏二
化粧して稚児凝然と鉾に立つ/山口超心鬼
去年縫ひて今年着おろす鉾ゆかた/及川貞
向き変へし鉾に長刀揺れ止まず/成子利美
宵鉾の稚児うつとりと面輪かな/野村泊月
昨夜の鉾稚児いただきて練りきたる/源義
日読童女を誓ひて樹つる筑紫鉾/高柳重信
俳句例:181句目~
町ぢゆうに鉾立つ雨の晴間かな/長谷川櫂
手擦れせる木槌大事に鉾を組む/西村和子
鉦方のこぼれんばかり鉾すすむ/細川加賀
鉾に念ず母のうしろや吾も念ず/関戸靖子
雨にじむにじむ鉾曳く白足袋に/山田弘子
鉾の灯にとほく手機の音軋む/つじ加代子
鉾の灯の高きは涼し揺れにける/岸風三楼
鉾の稚児帝のごとく抱かれけり/古舘曹人
鉾の稚児目だけが動く厚化粧/清田喜代子
月鉾に夜空は雨を降らしけり/鈴木真砂女
月鉾に上りたる子は月の御子/後藤比奈夫
鉾もどり着きて名残の一と囃子/大橋敦子
曳き初めの鉾に錦の雨が降り/梶山千鶴子
鉾を解く月のしづかに降ろされて/福井仁
宵鉾の灯りて稚児を上げにけり/野村泊月
立つ鉾の満を持したる大車輪/山口超心鬼
横町やけふより鉾の立ちふさぐ/岸風三樓
組み上げし鉾を抜けては雀飛ぶ/長谷川櫂
鉾流し神事つかの間なりしこと/舘野翔鶴
鉾町に囚はれもののごとく稚児/内田美紗