俳句例:101句目~
驟雨来る岸辺の杭を踊らせて/小澤克己
佐渡は夜の踊る衣裳も波の色/田中鬼骨
六十年踊る夜もなく過しけり/小林一茶
十人を産みし肩幅踊るかな/瀧澤伊代次
土瓶さげて甘酒踊るかうぢのや/中勘助
壬生の鐘一打ちごとに鬼踊る/陣場直雄
夏炉端こきりこ踊る少女が来/宮坂静生
夕立のやめばジプシー又踊る/岩崎照子
帯結び貰ひつつ手は踊る姿態/川村紫陽
帰り来て踊るも盆の供養かな/浜岡常生
建長寺かつぽれ踊る鬼やらひ/西本才子
廻廊にかつぽれ踊る鬼やらひ/阿部トキ
摩崖仏踊るがごとし蝉しぐれ/石原八束
春霞踊る宗徒のトラホーム/田川飛旅子
浜木綿の花の月夜に海女踊る/下村非文
深鍋のパスタの踊る霜夜かな/栗山政子
湯に踊る燗徳利や不死男の忌/佐野克男
烏瓜/どの蔓引いたら踊るやろ/金子徹
熱湯にこんにやく踊る目借時/雨宮抱星
白脛をかくさず風に踊るなり/藤田湘子
俳句例:121句目~
着ぶくれて遅刻教師の踊る足/福永耕二
稲終る腰抜けるまで踊るべし/羽部洞然
穂芒のかげ踏み踊る一遍忌/鎌須賀礼子
竹串の抜いては刺さる踊る鱒/佐藤文子
繭玉の踊るがごとく咲くごとく/林昌華
花の下ぢゝばゝ踊る皆わらふ/河野静雲
花祭踊る設楽の真闇雪降らす/村上冬燕
あからさまなる恋唄に踊るなり/大坂黎子
あたたかや意味なく踊る心電図/八木邦夫
散りゆくも踊るさまなる踊り花/石井青歩
八月尽蟹を踊らすテレビ見て/百合山羽公
かの後家のうしろに踊る狐かな/黒柳召波
冬ぬくし竹踊らせて篭を編む/黒田さだむ
影産んで女は過去を踊るなり/鳥居おさむ
踊るとは生きることかも風の盆/中村苑子
弾着よし否悪し渚に踊る橘よ/鈴木六林男
すすき野に撞木で踊る念佛なり/筑紫磐井
たて臼もともに踊るや祇園の会/服部嵐雪
宣澄幽魂祀ればとて踊ればとて/西本一都
踊るならタンゴに如かず高脚蟹/高澤良一
俳句例:141句目~
どんどこ舟囃子に急かれ櫂踊る/山本淑子
文科の徒踊れり紅葉四方に照り/岸風三楼
散るときも踊るさまなる踊り花/石井青歩
暖炉灼く夫よタンゴを踊ろうか/三橋鷹女
老人のおくれて踊るあはれなり/京極杞陽
やまぎりに濡れて踊るや音頭取/飯田蛇笏
ゆうに六尺彦三頭巾の踊るかな/高澤良一
わたしでも狐でもなく踊るなり/五島高資
川床替へて祇園小唄を踊るかな/西村和子
タンゴ踊るきままな白き日曜日/赤尾恵以
病むわれが笑へばおどけ母踊る/坂上村童
ボレロ踊る汗の肋を反らせつつ/工藤茶亭
山の温泉に海女来て踊る小正月/野原春醪
万愚節踊る埴輪は口ひらく/鍵和田ゆう子
火男の踊れるごとくとんどの火/高澤良一
この旅の終りは布哇踊らばや/保田白帆子
踊る手のあまたが中の亡者の手/鈴木貞雄
小さき人鳴らぬ太鼓をもて踊る/如月真菜
大津絵の鬼も踊るか月おぼろ/長谷川史郊
炎ゆる海少女が踊るフラメンコ/佐川広治
俳句例:161句目~
湯口に踊る白繭小春の糸を繰る/古沢太穂
土器なべて踊るかたちをして涼し/黒川宏
繭の糸引きつくされてなほ踊る/長坂子葉
花の中踊るかたちに蟻死んで/みわさかい
足をかう手をかう首をかう踊れ/角田竹冷
河童忌や噴井に踊るまくはうり/小林羅衣
踊る輪の暗きところを暗く過ぎ/鷹羽狩行
踊る輪の灯影佞武多の眉強し/梶山千鶴子
踊る夜を嬢っこ真紅のしごき帯/高澤良一
輪を少し縮めて雨後をまた踊る/吉年虹二
踊らんとするわれを見る恥しき/敷藤五城
砂浜のライブ水着のまま踊る/宇井久美子
踊らんと顔を包めばうつくしき/後藤夜半
母と踊るうなじの二十歳巴里祭/小池文子
阿波乙女腿すり寄せて踊るなり/山本良明
踊れよと呼びかけられて旅の我/高濱年尾
残照や踊るチューバをしんがりに/原浩輝
雨打って山あぢさゐの葉が踊る/高澤良一
烏賊釣火踊るひと火はダキニ天/足羽鮮牛
吾ら鬼火の仲間生死の裏で踊る/深谷守男
俳句例:181句目~
初富士の輝やく窓にリス踊る/碓井のぼる
朱の闇や踊るひとの荷まもりつつ/渋谷道
阿波に来て木偶と踊れり年の暮/後藤春子
阿波踊らしく踊れてをらずとも/稲畑汀子
月に踊る中にはいれば輪となりぬ/上村占
霜の花踏んでタンゴを踊らうか/仙田洋子
旅の夜を人の踊るを見て明かす/下村梅子
うどんげの花を踊らせ刀打つ/八木三日女
風を抱きタンゴ踊ろか鬼やんま/比嘉幸子
煖炉灼く夫よタンゴを踊らうよ/三橋鷹女
どん栗の猪口をかぶりて踊らばや/中勘助
踊ること老にもたのし夜々の霧/金子伊昔紅
かせどりの障子に踊る影のばし/八牧美喜子
きかぬ気の眉うつくしく連れ踊る/高井北杜
げじげじの踊るかたちにあたり見る/岸田稚
しやしやむしやを踊る女は砂の色/下中悦子
風に踊る土筆/野の神出て来さう/河野南畦
たなごころ月にひらきて踊るかな/鈴木貞雄
ボイラーの火影踊らせ枯れはげし/伊藤京子
聞きも居るや行くか踊るか鉢叩/松根東洋城