俳句例:101句目~
白梅のちりて三十五日かな/正岡子規
否応も言はさず暮れぬ大三十日/青嵐
烈風に鳴く葭切や弟三十/榎本冬一郎
大三十日愚なり元日猶愚也/正岡子規
月十四日今宵三十九の童部/松尾芭蕉
宮樣の門靜かなり大三十日/正岡子規
春服や三十年のひとりもの/日野草城
三十の汗もて女無惨にす/堀井春一郎
三十の憂き黄炎の夏日かな/野澤節子
牡丹の三十年の根を分くる/後藤そえ
文月の三十日おどろく灯籠かな/此竹
療養の餅を小切りに三十年/村越化石
野馬追の三十年の鞭の艶/松崎鉄之介
日没は四時三十二分藪柑子/岡田史乃
三十三回忌の落花とめどなし/山田弘子
マンシヨンの三十軒に配り餅/小路紫峡
煌々と三十路も末の文月照/中村草田男
三十にしてよめらぬ人や星祭/正岡子規
淑気つらぬきて三十三間堂/片山由美子
三十にわが近づきぬ雛飾り/山口波津女
俳句例:121句目~
三十六宮荒れ尽して草芳しき/正岡子規
三十六峰我も我もと時雨けり/夏目漱石
前梅雨や三十六峰京に消え/松根東洋城
三十の子を嫁がせて花浴びむ/青木重行
三十の退けぬ思ひや鵙猛る/八牧美喜子
三十も過ぎぬ紅梅に風ばかり/田中菅子
三十や追儺の雪の勢ひつつ/鈴木しげを
水くれて三十日に近き鵜川哉/加舎白雄
夏足袋の三十路やいまだ星菫派/籏こと
春浅く年譜の稿のいま三十路/皆吉爽雨
不知火や闇の三十日の底明り/正岡子規
朝顔や三十路に貧の甲経たり/清水基吉
元日の餝りながらに大三十日/正岡子規
吾三十谷の中なる炉の名残り/清水基吉
夕幽の牡丹三十輪浮けり/長谷川かな女
完熟の蜜柑手にせる初三十日/高澤良一
年わすれ三十代の出世の差/黒坂紫陽子
寒梅の薫りおさめや大三十日/正岡子規
峯雲や男三十路は賭けるとき/荒井正隆
桑解くや利根は海まで三十里/火村卓造
俳句例:141句目~
梅活けし青磁の瓶や大三十日/正岡子規
梅活けて君待つ庵の大三十日/正岡子規
梅活けて君待つ庵や大三十日/正岡子規
波の旗せつかちにもう三十一/阿部完市
火箸もて三十棒の眞似を炉に/高野素十
炎暑に生れ党は三十父なる牛/古沢太穂
秩父霊場三十四ヶ所か柿の里/逸見竹史
聖五月永久に三十路の原節子/中川岱子
聞き尽す五山の鐘や大三十日/直木燕洋
菜の花や三十五回の婚記念/菊地美智子
菜を洗ふ女三十路の腰据ゑて/椎橋清翠
袖濡れて硯洗へり大三十日/水原秋櫻子
わが三十路果つ法師蝉町に鳴き/有働亨
眉ひらく故郷三十二度とけふ/石塚友二
三十年前に青蚊帳畳み了えき/池田澄子
濃く淹れて三十年の古茶好み/染谷秀雄
炎暑かな三十年の留守のあひ/橋本榮治
雛祭われに三十路の妻ありぬ/岸本尚毅
お城から見るや種蒔く三十里/正岡子規
三十三歳ご機嫌の尾羽立てて鳴く/上村占
俳句例:161句目~
三十三歳夕焼よりもしづかなり/内藤吐天
三十三間堂障子に蝿の拝みをり/亀灘淑子
臥るほどの漆かぶれや三十三歳/久米正雄
一つ趣味をば三十年亀鳴けり/永野由美子
西施/虞姫芙蓉の三十二相かな/高澤良一
葱きざみ妻の三十路も駈くるごとし/昭彦
きぬきぬを樂みにして大三十日/正岡子規
三十二階の釦を押して文化の日/東條未英
三十日月なし千年の杉を抱く嵐/松尾芭蕉
沖雲塩の白さ三十路の汗咲けと/宮津昭彦
行く秋や三十日の水に星の照り/斯波園女
大三十日とおしつまりたる遊びかな/瀾水
薔薇の情われ三十をすでに過ぎ/下村槐太
三十路はや粉雪をいそぐ死化粧/渡辺恭子
揚げ船のとりまく宮や大三十日/岩木躑躅
おん顔の三十路人なる寝釈迦かな/草田男
建立の句碑に紅葉も三十瀬なる/磯野充伯
漱石が來て虚子が來て大三十日/正岡子規
戦死せり三十二枚の歯をそろヘ/藤木清子
日記果つすなはち三十代も果つ/宇咲冬男
俳句例:181句目~
目刺焼く眉晴ればれの三十路妻/石川桂郎
基地音/昭和二十八年ー三十年/古沢太穂
赤灯りて死ぬる人あり大三十日/村上鬼城
三十もあれば風船われを運ぶ/岩淵喜代子
三十人分のスリッパシクラメン/山田弘子
吾子の墓守り三十年芒種かな/伊東テル子
三十年経たり彼の日の蝉しぐれ/石塚友二
夕凍みの直路三十路の靴鳴らす/高澤良一
かわせみの掠めしはわが三十代/植村通草
春の夜や三十路に入りし爪の色/河野南畦
竜の玉三十路の顔となりにけり/古沢太穂
かなかなや三十畳を借り申す/佐々木六戈
赤蜻蛉三十路ふりむくこと多し/行方克巳
レーニン全集三十二巻曝書かな/山本左門
米三十八銭とある反古助炭貼る/吉川一竿
約三十ほし蛸ゆらぐ寝るまでも/平田直樹
胡桃三十詰めし袋をほうと持つ/藤田湘子
日傘さし三十路の貌を持ち歩く/谷口桂子
三十年の箪笥軋める冬銀河/鍵和田ゆう子
あるきあるき年をとる也大三十日/正岡子規