俳句例:201句目～
けもの臥すごとくに汚れて残る雪/大橋櫻坡子
けもののごとき温さ黄濁の初夏長江/金子兜太
けものの眼ぴかぴかと夜も笑ふ山/藤本草四郎
けものの眼もて雪中に火を焚けり/櫛原希伊子
青き踏むひともけものもやまんばも/仙田洋子
けものの香ふつとありたる夏の月/猪俣千代子
冷たくて鼻さき見ゆるけものみち/山上樹実雄
月の芥子けもの等は地に眠れるや/柴田白葉女
炬燵してさるのこしかけものがたり/松山足羽
冬滝の行者けもののこゑを出す/鍵和田ゆう子
床磨くはけもののかたち樹々に生毛/寺田京子
男の背後の蒼いけものを抱きしめる/大西泰世
其処よりはけものの径や蕎麦の花/塩澤美津女
けら鳴くや地図にあれどもけもの道/中島木曽子
けものども人にみられて日脚のぶ/久保田万太郎
目で冬のけもののごとくわれを嗅ぐ/栗林一石路
闇の梅ばけものがるたはやりけり/久保田万太郎
猫じゃらし触れてけもののごと熱し/中村草田男
すさまじく亡びゆくべしとりけもの/岸本マチ子
けものゐしあとにほふなりやぶれ傘/大森三保子
俳句例:221句目～
たらの芽をわかきけもののごとく嗅ぐ/能村登四郎
冬夜大きなけもののごとくスクラムす/栗林一石路
しのびあふけものありけり花さんしゅゆ/田波富布
春闘に”狎”といふ字は”けものへん”/富安風生
降るものにして日和は梅雨のまうけもの/正岡子規
山羊が鳴くけもののにほひ春日かな/飛鳥田れい無公
キューイフルーツけものの色や神の留守/山口万千穂
おぼろの月にあるく影けものなりけり/冬の土宮林菫哉
捨てられて河豚けもののごとく目をつぶれり/山口草堂
流氷来ず海のうねりのけものめく/笠井操/『雪の紋』
竹皮を脱ぐにけもののにほひかな/井上弘美「あをぞら」
けもののごとくがさがさと冬の部屋をさがす/栗林一石路
月光にうづくまりをるわがなかのけものよ風に髪毛そよめかす/森岡貞香
忍びやかにけもののよぎる束の間の移り気よ春の雨温くふる/中城ふみ子
鳥/けもの。遊べる園に入り来たり、けうとくゐたりー。春すぐるなり/釈迢空
