けものに関連した俳句の例をまとめました。
けものを含む俳句例
けもの道獣臭くて蘖ゆる/原裕
けもの篇引けば巷の秋の暮/原裕
けものらの三角の耳夏の闇/石寒太
けものまづ渡りて暁の氷橋/千葉仁
鳥けもの驚かす冷え古き村/上村占
十三夜けものにの眼あり/綾部仁喜
藤切や祭若衆のけもの声/大坪景章
終に風けものの性を斑雪山/緒方敬
秋の雲あまた偏けもの偏/須川洋子
けものめく鴉の仕草大枯野/吉野義子
猪狩の男けものの眼で走り/宮坂敏美
夏蓬けものの匂まぎれをり/沼澤石次
暖冬や仔犬怯ゆるけもの道/石川桂郎
かけものの壁に跡あり冬ごもり/涼莵
冬眠のけもののにほひ吉野山/小島健
けものから淋しき合図芋嵐/中井洋子
冬落暉檻のけものら声挙げて/三谷昭
春星や縁の下よりけもの径/中山純子
けもの径落合ふ峠独浦の花/毛塚静枝
雪山のかへす光に鳥けもの/木村蕪城
俳句例:21句目～
雪の道けものの足の梅鉢型/品川鈴子
踊見る犬はけものの息荒く/野澤節子
襖絵の金銀を着る鳥けもの/尼崎/澪
橋越えし人もけものも半夏生/伊藤梢
羚羊の現れて今年のけもの道/濱佐文
目覚めたるけものに春の波頭/西村明
息ひそめ花火の夜の鳥けもの/小早川恒
水しぶき空に氷るやけものみち/上村占
けものめく太き鶏頭弥陀の前/山崎繁子
けものめく葛うちはらふ盆支度/飴山實
外套のけものがくさき年の市/古舘曹人
けものらの冱てたる土の赤椿/原コウ子
黄落期けものの檻に日の当り/池田秀水
黄落の山の寡黙に酔うけもの/対馬康子
けものらの鼻先伸びし春の間/能村研三
鶏頭もけものの類/閂や/たむらちせい
けもの居る気配の霧に月夜茸/沼澤石次
毛皮着し女その時けものの目/滝沢幸助
夜出てしけものゝ跡や草清水/石井露月
鳥けものまはりに遊び川施餓鬼/桂信子
俳句例:41句目～
けもの径盆路刈のゆきしのみ/伊藤晴子
瓜畠のけものの跡や夜が明けて/中拓夫
霧舐る梅雨の信濃の鳥けもの/井澤子光
霧晴れる瘤の木黐の木けもの道/穴井太
月蝕の静かにけものめく冬木/原子公平
けもの等の眼に青炎の月の罠/井沢正江
霧昏しけものの勘をとり戻す/津田清子
雪解沢見て引き返すけもの道/栗原稜歩
雪渓をけもののごとく叩き撫す/岡本眸
径どれも萱原へ外れけもの径/千田一路
犬撫でて炎天けもの臭くせり/川村紫陽
隠沼に消えし深雪のけもの跡/山田弘子
銃身にけものの匂ひ山眠る/森田かずや
爽節とや人もけものも淋しきに/澁谷道
けもの鍋こと～煮えて寝正月/石橋秀野
冬隣るけものの予感疎林行く/熊本良悟
襟巻や氷の国のけものにて/徳永山冬子
山粧ふけものの道もくれなゐに/檜紀代
満天の春星ねむるけもの達/柴田白葉女
裏山にけものの殖ゆる良寛忌/石川桂郎
俳句例:61句目～
木枯やけものの如く傷舐めて/青木重行
半眼で人見るけもの梅雨深し/川崎慶子
港凍つ積荷に遠き地のけもの/対馬康子
春近し禽もけものも雨ごもり/藤田湘子
穂草野を母の膝とす鳥けもの/津田清子
水飲んで息けものめく油照り/川村紫陽
もうけもの雨後の望月正面に/高澤良一
禽けもの睡るくらさの霧氷林/堀口星眠
堂朧絵を出て歩く鳥けもの/猪俣千代子
月明し門扉の彫の鳥けもの/大橋櫻坡子
岬鼻の枯れて匂へるけもの径/水見壽男
白き息黙ればけものめく息よ/津田清子
枯山のけものみちとは美しき/伊藤敬子
木枯をふりむきざまにけもの道/石寒太
草いきれ子供のころのけもの径/古川幸市
草の名に鳥やけものや川施餓鬼/青木重行
蝙蝠のけものの影が顔にさす/榎本冬一郎
谿紅葉褪せてむき出すけもの径/北澤総石
酷寒はけものの如く思考なく/比江島嵐峰
闇ふっとけものの匂ひ木の芽時/笹家栄子
俳句例:81句目～
けものとも鳥ともいふや呼子鳥/正岡子規
雪原の泉へけものみち寄れり/中戸川朝人
雪国やけものの仮面あれば足る/対馬康子
雪積る谷けものの眼さかなの眼/藤田湘子
零余子熟れけもの道はた仏道/安達実生子
風花や貌あげて鳴くとりけもの/長篠旅平
風邪臥しの夕べや隣るけもの谷/村越化石
けものの香失せたる檻や雪雫/大木あまり
けものみち抜けて寺領や夏木立/吉野昭子
けものみち猟夫の刺し子紺匂ふ/鈴木竜骨
けものみち磧かに見えて良夜かな/竹内旦
鮎落ちて曼陀羅山のとりけもの/黒田杏子
けものみち鳴るをはげます修羅落し/原裕
けものめく学校裏のさくらの樹/星永文夫
鳥けもの喜雨山中に出で逢へや/村越化石
けものらのさわに山駆け翔る冷夏/林荘俊
けもの径仏への径枯れてをり/藤田あけ烏
けもの径抜け出て茶屋の白障子/福原紫朗
けもの等のひそめし息や万燈籠/細見綾子
しなやかなけものを檻に山開/神尾久美子
