手鞠を使用した俳句

俳句例:101句目~

七五調乱れて手毬こぼれけり/今瀬剛一

二三日衣桁のかげの手毬かな/野村喜舟

手毬突く石の仁王に唄聞かせ/宮津昭彦

要なきに十まで覚え手鞠唄/能村登四郎

手毬唄歌ひつきつゝ終りなく/特留菖堂

良寛の遊びしといふ手鞠見る/後藤夜半

聴きたしや杉田久女の手毬唄/菅原鬨也

老の掌にはずむ心のなき手鞠/後藤夜半

手毬唄赤子の泣いて終りけり/関戸靖子

唄ひつつ母を廻れる手毬の子/伊藤道明

手毬唄終りは海の父待つ唄/加倉井秋を

声にせば覚えてをりぬ手鞠唄/大橋淑子

手毬唄手紙の中にこもるなる/滝井孝作

大和路の塔づくしなる手毬歌/安田晃子

枝豆や手毬の中にオルゴール/藤岡筑邨

大手毬小手毬手毬ほろぶとも/矢島渚男

天竺は古りて遠しや手毬唄/櫛原希伊子

手毬の子妬心つよきはうつくしき/舟月

嫁が君妹が手鞠をかくしけり/大谷句佛

紙漉きの乾きし土間に手毬つく/長田等

俳句例:121句目~

紀の国の海の明るき手鞠唄/栗田ひろし

手毬つく髪ふさふさと動きけり/波津女

手毬唄賽の河原の児も冷えて/中丸義一

岩木嶺は大きく手毬唄やさし/成田千空

年玉の十にあまりし手毬かな/高浜虚子

庭広うなげなげ手毬遊びかな/玉越琅々

庭訓によるともどちや手毬唄/飯田蛇笏

永劫の一瞬のため手毬つく/鈴木六林男

立て膝の袂よけたる手鞠かな/羅蘇山人

手鞠つく天の渚にゐるごとし/奥坂まや

毬抱いて歌ひて手毬歌淋し/池内友次郎

恋知らず唄ふや恋の手毬唄/相川紫芥子

恙なきこの世ならねど手毬唄/佐藤鬼房

母老いてなほ確かなる手毬唄/岡安仁義

さくらの芽紅を含める手毬つく/岸風三楼

しもやけや忘じてとほき手鞠唄/屋崎道子

つきそれし手毬を拾ひ夕ごころ/福田蓼汀

つく手毬つかぬ手毬と両脇に/中村七三郎

つまづきし如く忘れし手毬歌/橋本多佳子

はつはるや金糸銀糸の加賀手毬/田村愛子

俳句例:141句目~

ほつれたる手毬の糸は今は赤/河越燕子楼

みちのくのかなしき節の手毬唄/村上三良

人のつく手毬次第にさびしけれ/中村汀女

全滅の地をしずめんとつく手毬/内田正美

唄のなき手毬つきして根室の子/大島早苗

唄切れて手毬つく音つゞきをり/中田はな

夕日の宿消え入りさうな手毬唄/大野林火

大年の父にとびつく子の手毬/百合山羽公

山風のつのる手毬をかはりつく/木村蕪城

廊わたる月となるまで手鞠かな/飯田蛇笏

忘れてはとばしとばして手毬唄/下村梅子

我が門やよその子遊ぶ手毬歌/高橋淡路女

手に弾み返し来る地手毬つく/後藤比奈夫

手毬つくてんてん響きくる書斎/山口青邨

手毬つくはこせこの鈴下駄の鈴/松藤夏山

手毬つく今は無き橋唄ひつぎ/池田琴線女

手毬つく唄のなかなるお仙かな/飯田蛇笏

手鞠唄母恋ひをればもどかしく/藤木倶子

抱へたる大緋手鞠に酔ふごとし/飯田蛇笏

手毬唄坊主づくしはにぎやかに/河野静雲

俳句例:161句目~

日のあとをめぐれる月や手毬歌/齋藤愼爾

手毬唄加賀の手毬を飾りけり/酒井みゆき

手毬唄日暮は亡き父恋ふ唄に/加藤知世子

昼寝覚赤き手鞠のかがられし/波多野爽波

手毬買ふ城ある町を風が巻き/鍵和田釉子

椽につき庭につき手鞠一人かな/会津八一

手毬唄この辺の子でない子ゐる/鈴木伸一

沈む日の大きかりける手毬唄/片山由美子

灌仏のお寺の庭に手毬つき/阿部みどり女

手毬唄母の世に古りいまに古り/齋藤愼爾

焼跡に遺る三和土や手鞠つく/中村草田男

獄に棲む魑魅が手毬ついてをり/角川春樹

玻璃の中手鞠は彩をしづめたる/大橋敦子

盲腸のあたりで手毬ついてをり/大石雄鬼

笹蟹にかゞり初めたる手毬かな/中村烏堂

手毬の子家へはいりぬ藪の風/大峯あきら

終ひの地と思へば手毬強くつく/小澤克己

黄の手毬黄の棒が地に立ちにけり/上野泰

老の手にもてあそばるゝ手毬あり/たけし

手毬唄日向のひとつづつ消えて/関戸靖子

俳句例:181句目~

軍港と呼びし世のあり手鞠唄/立石せつこ

手毬つく布哇生れの祖母と孫/保田白帆子

手毬つく土間やはらかに牛の息/阿部子峡

手毬唄やがて消ゆべきものなれど/齋藤愼爾

手鞠唄明日死んでもいいやうな/佐々木六戈

手毬つく門出るでなく入るでなく/千原草之

海老網を干す道せばに手毬つく/鈴鹿野風呂

手毬唄うたひくれたる人のこと/池内たけし

佝僂の子の帯うつくしき手毬かな/西島麦南

覚えよき子よとたたへつ手毬唄/小澤満佐子

春宵や地震にまろびし加賀手鞠/宮崎みさを

ふるさとや雪きしませて羽子手毬/臼田亜浪

獅子遂に面白くなる手毬かな/長谷川零餘子

ふくろふに真紅の手鞠つかれをり/加藤楸邨

はこせこの子を憎みけり手毬つく/松藤夏山

手毬唄とぎれて手毬それたるや/大木さつき

甘茶寺手鞠がたきのなつかしや/若林いち子

病むひとのうたひはじめし手毬唄/廣瀬町子

歌ひつぎてのこる明治の手鞠唄/古賀まり子

手毬ころがつて七いろ溶けにけり/山田弘子