俳句例:101句目~
青田より鯰を得たる夕餉かな/野村喜舟
風呂吹や二人の夕餉静かなる/吉村容子
初秋刀夫が夕餉をせかせけり/伊藤圭子
初雪にこのしろ灸る夕餉かな/野村喜舟
北風あと心呆うけし夕餉かな/富田木歩
十月を送る夕餉のあとに柿を/森川暁水
夕餉あと尚明るくて蚊食鳥/山口波津女
夕餉には戻ると答へ初時雨/中戸川朝人
夕餉時葭切は何の刻ならむ/相生垣瓜人
大寒の独りの夕餉冷めやすし/竹内恒男
妻の呼ぶ夕餉早めや花鬼灯/冨田みのる
子の為に朝餉夕餉のトマト汁/星野立子
容赦なく関節折つて蟹夕餉/江守美千代
平凡に生きて秋刀の夕餉かな/前川良雄
庭に敷く夕餉の筵こどもの日/坂本竜門
接木ふと心もとなき夕餉かな/田村木国
旅果ての夕餉のすしの金目鯛/村上辰良
旅籠屋に夕餉待つ間の暮遅し/正岡子規
早春の寺の夕餉に湯気のもの/中山純子
姉妹夕餉のじやが芋煮ゆるとき/川崎展宏
俳句例:121句目~
遣羽子に負けてくやしき夕餉哉/正岡子規
茄子汁にすこし早めの夕餉とる/高澤良一
花合歓の下のままごと夕餉まで/小松絢子
かの家も夕餉や寒く父を待つ/千代田葛彦
溝川の澄むに夕餉の烏賊洗ふ/下村ひろし
夕焼けに少しおくれし夕餉かな/関村光子
解禁の日なり夕餉の安房若布/兼巻旦流子
病院の夕餉は早し木瓜は実に/柳沢健一郎
大北風の煤降る中に夕餉かな/金尾梅の門
それぞれの花愉しんで来し夕餉/山田弘子
たらの芽を摘みて夕餉の湯治宿/遠藤文江
西日なほ北に遊べる夕餉かな/阿部ひろし
皿替へて夕餉はなやぐ若葉季/古賀まり子
ちろちろと夕餉たく火や苫の雪/正岡子規
新藷に夕餉すゝみしうれしさよ/中尾白雨
紫陽花や水辺の夕餉早きかな/水原秋櫻子
夕餉して居どこにまよふ土用風/石塚友二
まどろみの後の夕餉の干し鰈/能村登四郎
夕餉すみて根岸を出るや酉の市/正岡子規
蚊遣火をまづ置く坊の夕餉かな/今里満子
俳句例:141句目~
蕗の薹煮てかんばしき夕餉かな/富田木歩
夕餉まだひとり帰らず良夜かな/藤田久子
ペンションの夕餉の早し火焔菜/大平房江
膝折りて寒き夕餉をもてなさる/原田濱人
夕餉はてゝ迎火を焚くいそぎ哉/正岡子規
乾いた手ばかりで掴む夕餉の蟹/久保純夫
京菜あるに白を得たる夕餉かな/渡邊水巴
夕餉焚く母の顔みてちゝろ虫/百合山羽公
凍てし髪の綿屑知らで夕餉かな/渡辺水巴
葉唐辛子一枚簾下げて夕餉/長谷川かな女
海の南風入れて夕餉の卓大き/岡本差知子
火蛾狂ひ夕餉の睦み荒さるる/加藤翠苑子
夕餉時いつもの守宮来てをりし/小玉孩子
山小屋の夕餉早しや目細鳴く/大野今朝子
朝よりの跣足のまゝの夕餉かな/村上星洞
牡丹を活けておくれし夕餉かな/杉田久女
新涼の灯が早かりし夕餉かな/楠目橙黄子
母の日の常のままなる夕餉かな/小沢昭一
夕餉まで炉に吊る鍋の小春かな/小杉余子
松過ぎてサラダ色めく夕餉膳/初川トミ子
俳句例:161句目~
田楽に夕餉すませば寝るばかり/杉田久女
郭公とたしかめて取る夕餉かな/巌谷小波
夏雨に炉辺なつかしき夕餉かな/杉田久女
陶工の夕餉ほうたるなだれけり/黒田杏子
雛の灯も忘れてそそと夕餉かな/富田木歩
霜くすべ夕餉了へても明るかり/中原道夫
地虫なく農家と同じ夕餉どき/百合山羽公
向日葵に人の夕餉となりしかな/永井龍男
火の匂ひして紅葉村夕餉どき/友永佳津朗
三十三才あとばたばたと夕餉かな/中村汀女
何時止みし花火か夕餉済みにけり/野口南枝
明るくて夏の夕餉はすでに終ふ/山口波津女
玉虫を子がもたらせし夕餉かな/瀧澤伊代次
夜学終へし妻との夕餉子は眠り/石井とし夫
禅林に夏日まともの夕餉かな/久保田月鈴子
稲積んで忙しき夕餉さんま焦ぐ/柴田白葉女
新酒上りて安堵の杜氏と夕餉かな/野村泊月
筍流し沈める屋根を被て夕餉/長谷川かな女
夕餉よばふ声にわかれぬ雪遊び/金尾梅の門
凧の子を掴まへ帰り夕餉かな/長谷川零餘子
俳句例:181句目~
聖画のような夕餉が見えて冬の月/伊丹公子
波郷忌の夕餉のものを買ひに出づ/関戸靖子
艀の夕餉に倉庫を曲るまで見られ/金子兜太
芋掘れば芋の夕餉になりにけり/日野六花子
波郷忌を言ひてだまりし夕餉かな/関戸靖子
夕餉まで山葵田めぐりせよと言ふ/川井玉枝
萵苣欠ぎて夕餉の支度とゝのひし/平野一鬼
夕餉すみ夏山のさま母は問ひぬ/石橋辰之助
湖よりも凍みて根場の夕餉どき/依田由基人
夕餉あと裏の川べり焼きにけり/金尾梅の門
はかり炭買ひゐて夕餉おくれけり/森川暁水
酒そはぬ四日の夕餉すましけり/山田佐々子
かなかなの近づき過ぎる夕餉かな/内田保人
かなかなやどの家も父のゐる夕餉/鈴木栄子
隣人も夕餉の早きキャンプかな/笹本カホル
さゝやかな夕餉すまして暮遅し/高橋淡路女
垣間見ゆ父母の涼しき夕餉の灯/冨田みのる
そらまめのみどりに汗し夕餉の父/桜井博道
ちぬ貰ふ夕餉すみたるところなり/伊丹丈蘭
手づくりの胡瓜夕餉のサラダかな/麻生良昭