俳句例:201句目~
一枚の落葉盃日をすくふ/阿部みどり女
短夜の蛾が死んで居り盃洗に/岡本松浜
わが膳は盃伏せしまま秋夜/猿橋統流子
菊の杯上げて百寿にあやからむ/堀恭子
歯朶の上に置けば傾ぐよ小盃/高田蝶衣
葡萄の美酒夜光の杯や唐の月/正岡子規
星冴ゆる窓やワインの杯重ね/吉村容子
舞ふ田鶴に盃すすぐいとまなし/森川暁水
朝寝して馬上杯てふおもしろし/田中裕明
酒盃絶つ寄せなべの卓くさぐさに/及川貞
父の匂いの盃伏せゆく峰々に/小泉八重子
鴨鍋や師にまゐらする小盃/ミュラー初子
しぐるゝやねむごろに包む小杯/渡邊水巴
にぎやかに酒杯かさぬる桜鯛/福永みち子
湯豆腐や持薬の酒の一二杯/久保田万太郎
熱燗や手酌いかしき一二杯/久保田万太郎
炉のへりの盃あつし小鳥焼く/大橋櫻坡子
袂もたげて盃さしぬ宵の春/長谷川零餘子
厚杯の木のでつしり座る霞かな/正岡子規
古酒盃中の秋に堪えすや泣上戸/尾崎紅葉
俳句例:221句目~
夜光杯胡人をまねて年酒酌む/阿波野青畝
屠蘇の杯重ね余命を惜しむかな/石川風女
悴める手にさし上げぬ火酒の杯/高浜虚子
盃洗に浮くを野焼の穢と思ひ/波多野爽波
曲水の大杯に吐く詩魂かな/安斎桜カイ子
こでまりや盃軽くして昼の酒/波多野爽波
かたはらに玉杯のある目刺かな/深川正一郎
可盃のおかめひよつとこ秋のこゑ/田口風子
独活和へて祝ぎの盃いただかむ/石田あき子
屠蘇くむや下戸大盃をとりあげて/正岡子規
盃を取りおとしけりけふの月/鼠丸女-つね
屠蘇の杯船乗りびとと肩ならぶ/小川濤美子
杯盤狼藉蜜柑の皮のところどころ/正岡子規
勇み駒盃にふくるる屠蘇を酌む/中戸川朝人
うつつに蝶となりて此盃に身を投げむ/大魯
牡丹活けて昼一杯の用欠きぬ/阿部みどり女
夏きざすガラスケースの馬上杯/小林美冶子
今日ありて二人にあつき屠蘇の盃/橋本宏子
生き死にやさもあらばあれ馬上盃/並木邑人
盃かさねたるまなうらの初景色/鷲谷七菜子
俳句例:241句目~
わが歳と同じに古りし屠蘇朱盃/小川濤美子
ふたり棲むつめたき酒の盃挙げて/黒田杏子
パリ夜長シヤンペン抜きて杯上げて/稲畑汀子
又来たぞ手の盃を火とり虫/一茶「九番日記」
なまはげのもぞと酒盃に手を出しぬ/高澤良一
すゐつちよの鳴く葡萄酒の盃を乾す/原子公平
菴の猫玉の盃そこなきぞ/一茶/文化十年癸酉
花聟あばかれ酒杯に冬灯溢るるよ/赤城さかえ句集
玉杯に雨を受けたり未草/吉田愛子「かつらぎ選集」
年の夜の盃一つおかれけり/『定本石橋秀野句文集』
昼中の盃取りぬあらい鯉/紅葉山人俳句集/尾崎紅葉
盃に散れや糺のとぶほたる/一茶/寛政四年壬子