杯(盃)に関連した俳句の例をまとめました。
杯(盃)を含む俳句例
棒突に盃をさす花見哉/太祇
盃に漆の臭やけふの菊/成美
盃は老を養ふ合歓の花/原裕
初春や炬燵の上の小盃/重厚
盃になるもの多し卵酒/炭太祇
盃や山路の菊と是を干す/桃青
盃を持て出けり雪の中/炭太祇
盃もさゝん銜ん牡丹かな/嘯山
盃やおさへて走る梅の花/梅女
金粉は盃の底七日暮れ/平野卍
盃を天に飛ばして花筵/上野泰
遠山や霞にうかぶ投げ盃/丸石
盃に泥な落しそ群燕/松尾芭蕉
盃の中に鶴亀お元日/榎本栄子
盃の開眼せばやけふの月/之道
日中の盃把りぬ洗鯉/尾崎紅葉
卓上や菊の盃菊の酒/石井露月
曲水や盃の舟筆の棹/正岡子規
同座して老母も屠蘇の小杯/衛
盃の七福神や月の宴/西本一都
俳句例:21句目~
三井寺や十日の菊に小盃/許六
盃にちるや櫻の歸り花/正岡子規
玉子酒賓主を分つ小盃/黒柳召波
王朝の雅びを今に盃流し/野田武
盃やなるとの入日渦桜/井原西鶴
盃の下ゆく菊や朽木盆/松尾芭蕉
盃はめぐり望月とゞまらず/躑躅
十六夜の母の前なる小盃/桂信子
嚊殿に盃さすや菊の酒/正岡子規
白やおもひの淵を絵杯/加藤郁乎
交りやもみぢ照り添ふ小盃/樗良
家の春盃一つ洗ひけり/角田竹冷
山おろし盃へ青葉や花の楯/三角
西日照る盃一つ無宿墓/高橋六一
草の戸や盃赤く菊白し/正岡子規
影こぼす最中の月や十分盃/雪遊
冬の湖大盃として拝す/檜山哲彦
献杯や山芍薬に夜の影/黒田杏子
重陽や子盃なる縁の金/鷹羽狩行
盃の花押し分けて流れけり/鳴雪
俳句例:41句目~
老残といふ春愁の小盃/西本一都
小盃うけてまはすや生身魂/成美
屠蘇重し軽き朱金の酒杯に/草城
小盃雪に埋てかくしけり/炭太祇
梅寒し奴にくるゝ小盃/高井几董
白酒や玉の杯一つづつ/村上鬼城
流れ行く大盃の落花哉/正岡子規
乞食にも投盃や花の山/井上井月
盃の下に川ある大文字/角川春樹
たまはるや大盃の菊の酒/正岡子規
盃は預けおくなり冬の梅/高井几董
ゆく年や陋巷の夜の小盃/松村蒼石
盃の数の揃へる蝶々かな/石田勝彦
秋雨や空杯の空溢れ溢れ/永田耕衣
秋天下一杯に巻く竜頭かな/上野泰
草の戸や盃足らぬ鶏卵酒/黒柳召波
三献の盃春の夜は更けぬ/正岡子規
盃に松影うけて月見かな/井上井月
杯を啣みて蟇と相見たる/石井露月
杯に白酒音もなく満ちぬ/田村了咲
俳句例:61句目~
恵比須まで屠蘇の盃預けけり/野坡
敦煌の玉杯飾る恵方棚/久保木恒雄
夜光杯月の天山想ふべし/下村梅子
春宵のたがひに交す小盃/倉田紘文
舐めもする引盃やお白酒/下村梅子
鶴の舞ふ盃はよし雪見酒/山口青邨
君にさす盃に紅ねむの花/矢島渚男
曲水の盃いつか我が前に/渡辺恭子
曲水の詩や盃に遅れたる/正岡子規
曲水やよどみに迷ふ小盃/正岡子規
鮭千本供養に受くる小盃/佐藤幸寿
喝士殿に盃さすや菊の酒/正岡子規
杉焼や盃をおく板の上/佐久間法師
栗飯や昼餉の膳の小盃/高橋淡路女
桃酒や大事の大事の小盃/正岡子規
管鮑や花の盃とり交はし/河野静雲
雛段にあづけ忘れし小盃/後藤夜半
金泥の屠蘇や朱塗の屠蘇の盃/漱石
嫁取りの大盃朱し稲の花/三浦正弘
此家に輝くや屠蘇の小盃/石井露月
俳句例:81句目~
秋の土固し盃持つてたつ/飯田龍太
水仙の潮の光りを盃に/平井久美子
曲水や草に置きたる小盃/高濱虚子
治聾酒をつぎし盃の静かな/原月舟
寄鍋や母にまゐらす小盃/山本涼女
盃洗に墨たたへけり時鳥/会津八一
淑気かな盃ほどの池望み/柳田芽衣
盃を重ねていよゝ花夕べ/高野素十
炉開きの盃一つ横ころげ/川崎展宏
盃の蒔絵うららに隅田川/京極杞陽
爐框に置く盃や十三夜/松本たかし
盃を手に眺めゐる庭出水/岡本松浜
盃や先づ打ち笑ふ花の春/上島鬼貫
盃洗の水祝ひけり箸の先/増田龍雨
凪の日の阿国の墓に杯二つ/望月皓二
句を錬るや酒杯に沈む蚊幾疋/森鴎外
このわたや沈思の眼盃へ/磯辺尺山子
妻と杯あげて勤労感謝の日/山脇睦久
鬼灯や天一杯に朱のあふれ/石原八束
つぼふかき盃とらん桃の花/立花北枝