俳句例:101句目~
門内や秋耕の馬十五頭/竹下しづの女
十五夜の紙人形は寒からむ/田上公代
雪明りして二階まで十五段/片桐和子
風見えて石の十五の暮れ早し/岸田稚
十五夜や杜の上野もここは池/上村占
十五夜を吹きさらしたる西の空/嵐竹
月は十五夜入魂の樟となる/稲垣晩童
百姓の股引のつぎ十五夜に/中山純子
おもえば長し十五夜の雨の丈/池田澄子
十五城を豊子にわたせ茗荷の子/中勘助
雨雲姿十五年間動かぬごとし/阿部完市
いつまでもいつも八月十五日/綾部仁喜
自転車の荷に十五夜の花すすき/瀧春一
蓮華会になびく七十五峯かな/右城暮石
十五夜とかたかたよらず朧月/五車反古
茣蓙を巻くことも八月十五日/柿本多映
彌陀在す扉を十五夜に両開き/津田清子
この花に泣き上戸あり十五日/正岡子規
十五夜に一旦帰京いたします/岡田史乃
近づききて過ぎゆく八月十五日/的野雄
俳句例:121句目~
九十五齢とは後生極楽春の風/富安風生
若葉照十五で逝きし男の碑/伊藤いと子
宿題がいっぱい八月十五日/石井紀美子
十五夜のこそつく風や烏瓜/阿波野青畝
一文字菊出来たり舟型十五弁/高澤良一
てのひらのほてる八月十五日/浅沼艸月
義士の日や殿の戒名十五文字/西内千里
八月十五日朝母音のゆたかなり/石寒太
睦みては拒み忘春の石十五/能村登四郎
瓜揉や佗び住む事も十五年/高橋淡路女
十五夜の豪雨しぶくや洗ひ鯉/渡辺水巴
十五万石の櫓につばめの巣/新子喜代子
十五夜の和服黒がち地影がち/古沢太穂
十五夜の醤油とくとく匂ひけり/岡本眸
十五夜の地下水脈の水の音/高野ムツオ
十五夜の工場鉄扉とざしたる/菖蒲あや
十五夜の干草の香の母屋まで/太田土男
十五から我酒のみ出て小正月/加藤郁乎
十五夜の醤油の匂ひして妻よ/岸本尚毅
十五夜の月のひかりを瀧の壁/黒田杏子
俳句例:141句目~
初心ありとせば八月十五日/小檜山繁子
十五夜の月ふり出すや馬の首/正岡子規
八月十五日どどどどどどと浪/篠崎圭介
十五夜の月寝ながらに拝みゐし/磯崎緑
父と子に十五夜の森黒ふかく/大井雅人
十五夜の松風に雨まじりつつ/岸本尚毅
十五夜の水門古りぬ恋古りぬ/木村蕪城
時雨忌や芭蕉にのこす十五年/加藤楸邨
十五夜は大雨なりし既望かな/富安風生
きさらぎの橋十五尺なすな恋/秦/夕美
僧や俗や梅活けて発句十五人/正岡子規
山百合に十五里先の海青し/加藤知世子
八月十五日ぺつたんこに坐る/大坪重治
十五年目の夏の色ロゼワイン/山田弘子
十五夜の舟にすつくと男立つ/西東三鬼
十五夜の花暮町に灯の入りて/高澤良一
みんなで映る十五夜の水溜り/高木智恵子
十五夜と声のきこゆるお茶の水/川崎展宏
十五夜と黒板に書きしるすのみ/木村蕪城
十五夜に扉を放ちある大伽藍/河合佳代子
俳句例:161句目~
十五夜に手足ただしく眠らんと/西東三鬼
十五夜のおだやかなりし峡の村/加藤君子
十五夜の月はシネマの上にあり/横光利一
十五夜の吾が影とゞく吾子の床/杉山岳陽
十五夜の手足を委ねゆかんとす/高澤晶子
十五夜の月を忘れて寝てしまふ/小坂順子
十五夜の月浮いてゐる古江かな/村上鬼城
十五夜の田をぶらつけば雲迅し/佐野良太
十五夜の病室に妻よんであり/土橋石楠花
十五夜の空へこぞれる糸瓜加持/高澤良一
妙に明るい八月十五日の蛇口/藤井真理子
八月十五日少女のわれに会ふ/小檜山繁子
水くゞる虫十五夜となりにけり/中島月笠
八月十五日とほくが見ゆるはず/大島雄作
十五から酒をのみ出てけふの月/宝井其角
十五歳抱かれて花粉吹き散らす/寺山修司
十五輛編成で駆けてくる秋か/田邊香代子
十五夜を箒とならんこころざし/杉本雷造
十五夜もいさよひも水溢れけり/菅原鬨也
八月六日九日十五日共残業す/五十嵐研三
俳句例:181句目~
十五夜の高まりゆきて力ぬけ/松本たかし
七月が終りて六/九/十五日/相原左義長
春眠や水深十五センチばかりにて/加室鳴
元祿十五年極月十四日夜の事也/正岡子規
十五夜の屋根に出て柿もぎたり/太田鴻村
海行かば山行かば八月十五日/根岸たけを
行く年にかゝはらず主客十五人/島田青峰
きさらぎの日和もよしや十五日/上島鬼貫
隣人と帰るたまたま十五夜なり/橋石和栲
かな女亡きあとの十五夜十三夜/落合水尾
十五夜の船へ陸よりとゞけもの/森田愛子
十五夜のたうもろこしの影の庭/長谷川素逝
ここに這個あり十五の石に雪ふる/橋本夢道
十五夜の土佐に酌みけり唄ひけり/篠崎圭介
十五夜の皆既蝕後もよく照りて/鈴木洋々子
コップの氷見てをり八月十五日/千代田葛彦
十五夜の蜂の子飯をもてなさる/瀧澤伊代次
日焼して乙女の十五あどけなし/稲垣きくの
白萩といひ十五夜に刈りしといふ/高濱年尾
春子盗る猿は「さうさな十五頭」/高澤良一