俳句例:201句目~
祖母ありし日よ日盛りの藁匂ふ/鍵和田ゆう子
熱き炬燵抱かれしころの祖母の匂ひ/野澤節子
祖母小さし行火に顎をのせかけて/吉住白鳳子
花茣蓙やこの母祖母にすることなく/鈴木栄子
言の葉のちりぢり祖母の咳きに咳く/橋本榮治
渋紙をのばして祖母の日は佳けれ/津沢マサ子
いとど跳ぶ夜の寝の夢に祖母がくる/森川暁水
花火買う/祖母に逢いたい数ほどです/松本恭子
吾子の着るネルの寝巻は祖母のもの/稲畑広太郎
祖母も母も並びて小さし屠蘇をうく/古賀まり子
下駄に足袋の混血児連れ日本の祖母/田川飛旅子
むかし祖母廻し呉れたる木の実独楽/飯田波津恵
木瓜の紅は祖母の形見のどこかの色/加倉井秋を
はじめまして祖母です紅葉のような稚/菊地京子
しづかなるよろこび萩に祖母となり/高橋淡路女
この火の色は祖母のだ大根煮えている/伊丹公子
干すずいき簾かげをなすに祖母が縫う/古沢太穂
螢火きれいな人魂きれいな祖母ありき/阪口涯子
白湯の湯気祖父祖母の影かすかなる/杉本青三郎
あまり寝る火燵の祖母をのぞきけり/大橋櫻坡子
俳句例:221句目~
嫁/母/祖母の名に痩せ淡き星まつる/加藤知世子
吾子がその子と日氷を来る祖母とよび/柴田白葉女
雨音のかむさり祖母は裸で寝る/星野石雀「延年」
母に似し祖母に似し子やちゃんちゃんこ/高田敬子
祖母よりも父遠かりし誘蛾燈/加藤楸邨「雪後の天」
いつも二階に肌ぬぎの祖母ゐるからは/飯島晴子「八頭」