俳句例:101句目~
菩薩顔おでんをすゝむ誕生日/石塚友二
とろろ汁愚妻でとほし誕生日/中川博子
燃ゆる頬花よりおこす誕生日/寺山修司
素裸を朝からたのしむ誕生日/高澤良一
毛糸ふと乳房のぬくみ誕生日/国弘賢治
誕生日わが名二音の涼しかり/内田美紗
牡蛎好きの夫誕生日牡蛎の飯/内田愛子
雨の薔薇濡れても切りぬ誕生日/及川貞
神宮の菖蒲見てあり誕生日/大橋櫻坡子
軽雷やきのふ過ぎゐし誕生日/岸風三樓
木守柿はや暮れて来し誕生日/徳永真弓
枸杞残花もうすぐ私の誕生日/徳永義子
誕生日の生家に坐って見る桜/池田澄子
豆飯をわれ炊きわれの誕生日/下村梅子
誕生日靴の重たさだけがある/佐藤鬼房
誕生日雨に憑かれて雨がある/藍原弘和
蜥蜴の尾鋼鉄光りや誕生日/中村草田男
独房に林檎と寝たる誕生日/秋元不死男
父の日は子の誕生日朝晴るる/横田昌子
誕生日鉄板の冷え踏み鳴らし/佐藤鬼房
俳句例:121句目~
誕生日あかつきの雷顔の上に/西東三鬼
誕生日過ぎたる臍や麦の禾/鳥居おさむ
誕生日この一日の薔薇を買ふ/河野南畦
誕生日冬至南瓜を煮て祝ふ/大塚とめ子
誕生日過ぎし文月のひとり旅/山田弘子
冬の薔薇たくさん活けて誕生日/合原泉
冬薔薇挿すそれだけの誕生日/筒山房子
誕生日秋の日暮のすぐ到る/百合山羽公
凍る夜のハム厚く切り誕生日/菖蒲あや
誕生日すぎし水無月ただ真青/井沢正江
初蝶や歩みそむ子の誕生日/加藤みさ子
誕生日祝はれてゐてうそ寒し/片山依子
初音もう聞くころ誕生日の微醺/益田清
卒然と萱活けられし誕生日/秋元不死男
古織部に鮎ひきつるる誕生日/塚本邦雄
名を書くと硯洗ひし誕生日/八木三日女
吾よりも蝉の逸れる誕生日/相生垣瓜人
大いなる花火被れり誕生日/八木三日女
絵屏風に入つてみたき誕生日/浦川聡子
妻に来て天皇に来て誕生日/松倉ゆずる
俳句例:141句目~
誕生日暁けの月からまず蜂が/川口重美
秋草と斜面に吹かれ誕生日/上田五千石
我が誕生日祝ぐ色揃へ寒椿/五十嵐播水
玉子茹でて妻よ晩夏の誕生日/原田青児
打敷くは霰なりけり誕生日/鈴木しげを
明治節明日なる父の誕生日/五十嵐播水
旭が木瓜に紅贈るごと誕生日/野澤節子
順序よき子の誕生日夜の新樹/都筑智子
茄子曲り胡瓜歪める誕生日/相生垣瓜人
飛花空を深くゆくなり誕生日/大石悦子
飾羽子そのままにあり誕生日/後藤夜半
餅を焼く釦ほとぼり誕生日/瀧澤伊代次
駒鳥いる高さに窓あり誕生日/寺山修司
鰆焼く火を離れずに誕生日/蓬田紀枝子
二階ひゞきやすし桃咲く誕生日/寺山修司
仙人掌のわつと咲きたる誕生日/内田美紗
便追の尾の見えてわが誕生日/正木ゆう子
入学をしてあくる日の誕生日/大橋櫻坡子
チューリップ壷に溢れし誕生日/畠野旬子
寒すみれ摘まれ来しこと誕生日/後藤夜半
俳句例:161句目~
秋晴を夜までたまひて誕生日/山口波津女
藤垂れてわが誕生日むらさきに/山口青邨
蝉気負わせて驟雨幾過す誕生日/古沢太穂
誕生日の夫や落葉を焼き飽かず/細見綾子
ぶなの根に湧く清水飲む誕生日/山形悦子
誕生日シヤネル五番の封を切る/山田弘子
梅雨憂しや今日亡き父の誕生日/大橋敦子
空にゐる蝉のいろいろ誕生日/猪俣千代子
流氷で割るウイスキー誕生日/北見さとる
終戦忌あの日はたちの誕生日/関口ふさの
誕生日日傘購ひ自己満足に陥つ/津田清子
誕生日日除にのこる陽あたる雪/桜井博道
誕生日桜湯すこし濃ゆけれど/後藤比奈夫
腑分されし雲のひた飛ぶ誕生日/江里昭彦
田螺鳴く父母亡きわれの誕生日/那須乙郎
野に遊びたるだけのこと誕生日/大橋敦子
逆さまの椅子がずらりと誕生日/五島高資
茄子苗はつきたるらしき誕生日/細見綾子
釜蓋のあく日誕生日なりけり/鈴木みや子
銀杏やほろにがく来し誕生日/平井美代子
俳句例:181句目~
時雨るるを今日の贅とし誕生日/綾野道江
雪となり父母天降りくる誕生日/品川鈴子
母の日がわが誕生日薔薇貰ふ/伊藤いと子
雪解富士よく見ゆる日や誕生日/三澤たき
零余子飯わが誕生日忘れられ/石田あき子
いちじくの葉陰に熟れて誕生日/望月皓二
おすましに渣滓や亡父の誕生日/池田澄子
ためらはず向日葵を誕生日の妻に/伊能洋
どくだみの十字に目覚め誕生日/西東三鬼
どつと来し暑さや四十の誕生日/奈良文夫
はくれんに彗星の来る誕生日/大屋多詠子
ばら五月わが誕生日その中に/矢田部芙美
ラムネ玉鳴らして兄の誕生日/中島ちなみ
七夕過ぎ誕生日過ぎ何待つ日々/吉野義子
鰻食べて少しうれしき誕生日/奈良比佐子
鱒二忌は師の誕生日山女どき/福田甲子雄
旅にゐて秋の玉の日誕生日/阿部みどり女
母づてに聞くうぐひすを誕生日/野澤節子
残る蚊のひとこゑ過ぎし誕生日/秋元不死男
初音とて見かへれば風誕生日/鍵和田ゆう子