楽に関連した俳句の例をまとめました。
楽を含む俳句例
北風へ壁も膨らむ楽の渦/林翔
鶏頭や楽人町の垣根より/大魯
風鐸の天楽となる雁渡し/原裕
松風や初荷車の楽過ぎて/波郷
指缺けて楽舞俑群油照/柚木紀子
神苑の奏楽として百千鳥/落合均
仲秋や赤き衣の楽人等/高野素十
星流る街には風の辻楽師/秋尾敏
冱返る夜を遊楽の頸飾/飯田蛇笏
行人に歳末の街楽変り/中村汀女
楽澄めりうつむける人蒼々と/篠原
悦楽か怡楽か桃の花ざかり/森澄雄
楽果てたり帰去来緑蔭を/大橋宵火
白樺の中より楽や夏来る/岸風三樓
春の日や楽声起る塀の中/正岡子規
成人の日の髭落す管楽士/澤田緑生
鶯や白黒の鍵楽を秘む/池内友次郎
雪吊の百本の絃楽なさず/田中朗々
永日や新生児室楽流れ/佐藤美恵子
利休忌や一楽二萩三唐津/大矢静江
俳句例:21句目~
首切島遊船来ては楽流す/大橋敦子
楽きくと影絵の如き国にあり/篠原
越天楽奏で始まる蹴鞠祭/平野照子
雪螢泉の楽はをはりなし/堀口星眠
囀りを天の楽とし骨納む/岸風三樓
楽迅し翅に眼のある蛾も来り/篠原
男山そびらに舞楽放生会/谷口八星
舞殿や薫風昼の楽起る/河東碧梧桐
姥杉に大日舞楽奏さるる/荻原映☆
金玉音楽室に古りにけり/藤田湘子
胡座かく大安楽や榾の主/玉越琅々
耳しひに声々は楽年忘れ/皆吉爽雨
楽書も訴へに満つ雪明り/中島斌男
老楽の口もと寒し御仏名/向井去来
秋霖の曲馬の楽が瘠馬出す/穴井太
散華なす落葉に灯る舞楽殿/鈴木公二
楽人の晏起に啼けり百千鳥/島田青峰
鶯に奏楽童児ひかりもせず/藤田湘子
鴉五十九羽の樫の逸楽よ/沼尻巳津子
青春の楽続きをり今日の月/酒井郁子
俳句例:41句目~
雲は春の草千里浜楽降らせ/石原八束
雪吊は宝生の楽俟つごとし/中岡草人
春星に悲しき楽の起りけり/江口竹亭
雪原の青さ身に沁む朝の楽/堀口星眠
雪の夜の昇楽太夫あなとちり/岸田稚
狸痩せ五月は楽の旺んなる/木村蕪城
一斉に蓮の花揺れ楽湧けり/高橋良子
黄鶲を聴く生誕の楽として/堀口星眠
三寸は楽に小鮎の育ちかな/尾崎紅葉
下萌えて土中に楽のおこりたる/立子
野毛山の春の夜浅く辻楽士/高澤良一
中庭の冬の日向の辻楽師/池内友次郎
大雪を報ぜしあとを楽流れ/伊藤京子
舞楽面鬼の白息たちのぼる/吉原文音
楽の音の滝なしふるにゴム青き/篠原
天上の楽零れ来る落花かな/長山あや
臘八の門遊楽の徒は入れず/安陪青人
月天子氷柱も楽を奏すべし/下村梅子
喇嘛寺の楽の高鳴る臘八会/武田禅次
行年のラジオしづかな楽送る/上村占
俳句例:61句目~
坂邸楽はずませて雪降れり/飯田蛇笏
火鉢恋ひ合ひて互に老楽師/佐野ヽ石
紡錘形に鳩の彫刻楽涼し/中戸川朝人
山中に楽師の宿や夏の月/大須賀乙字
楽人一団陸橋わたる春烈風/伊丹公子
楽聞え花ふり御魂降るらし/正岡子規
山頂駅迅風は寒し楽鳴らし/石原八束
巣燕に昼のラヂオが楽送る/中村汀女
北風やかなしき楽の曲馬団/福田蓼汀
楽きけり白蛾はほそき肢に堪ヘ/篠原
楽澄めり椰子の瑞葉は影かざし/篠原
年の楽怒濤の如く胸に胸に/岩田昌寿
遊船の楽にただよひ松花粉/伊藤京子
短日の曲馬ひねもす楽同じ/中杉隆世
弾き終へし楽士と語る氷水/岩瀬木蘭
楽に更けて短き夜也公使館/夏目漱石
百姓の楽寝のそばに油虫/百合山羽公
喫茶房支那楽かけて松の内/飯田蛇笏
遊楽の夜を蒸す翳に謝肉祭/飯田蛇笏
迎神の楽喨々とおきまつり/下村ひろし
俳句例:81句目~
酒場帰る楽手夏めき辻に群る/宮武寒々
鈴虫の壺中の楽の澄みわたり/青木芳草
雪霏々と船の別れの楽に和す/横山白虹
音なき画彩なき楽に暮るる秋/福田蓼汀
風の凌霄楽の終曲高まりつつ/野澤節子
餅花や名代の蕎麦屋楽ひくく/高井北杜
野薊を潰して頭蓋を楽にせん/攝津幸彦
ついそこに救世の楽や年忘れ/清水基吉
デスマスク蒼くうかめり楽燈めば/篠原
一家皆高きに上る和楽かな/佐々木北涯
初空へ舞楽の弓を鳴らしけり/澤島郁子
別れの一歩花野溢れて楽のごとし/楸邨
喇叭水仙軍楽隊の楽変はる/平井伊都子
回転木馬停れば秋の楽とまる/中村明子
夏蝶や楽人の頭のみな揺れて/原コウ子
大噴水楽の音変わり崩れけり/篠田真水
天上の楽のやまねば夜の雪/片山由美子
寒の雨楽堂の灯を明うせよ/柴田白葉女
山楽の花鳥もむせぶ青あらし/大島民郎
常世なす秋日に煌と澄む舞楽/太田鴻村