俳句例:201句目~
棺に手をいれる激しい霧である/河村まさあき
父を棺に日を抱きゆけと掌を組ます/細谷源二
木瓜の朱は匂ひ石棺の朱は槌せぬ/水原秋櫻子
きさらぎのアネモネいろの棺かな/北見さとる
でんがでんがと石棺の這ひ出す雨月/後藤綾子
土用白菊弟の嫁を棺に閉じ/相原左義長「地金」
石棺に下駄音高き帰省かな/吉本伊智朗「柝頭」
泣きメロン泣きバナナ棺詰めてをり/赤松けい子
石棺や濡れたるものにひめぢよをん/夏井いつき
石棺といふ世に重きもの散るさくら/小笠原照美
雨冷えて吾子を寝棺にうつしがたし/川島彷徨子
烏がばたばたととぶ棺のなか町のよう/西川徹郎
ゆられかたむき棺がゆくぬかるみ道を/栗林一石路
棺蓋じしとき泣け杜鵑「清かりし」と/平井さち子
うどんげや棺に別れの硝子窓/秋元不死男「甘露集」
いくつも手が出て/棺がたたみから浮いた/南波竹二
人死すや胃袋のことは言わずに棺に蓋される/橋本夢道
棺を担げば棺の下ゆく黒揚羽/吉田さかえ「海程句集」