ビルに関連した俳句の例をまとめました。
ビルを含む俳句例
東京のビルの屋上午祭/板谷芳浄
両岸にビル建ち並ぶ都鳥/岡安仁義
小伝馬町ビル雑然と雁渡る/轡田進
稲雀たるべき頃のビル雀/茨木和生
寒鴉ビルの一角掴み鳴く/中村居月
歳晩のビル耿耿と新聞社/稲田眸子
ビル風の中の一角花御堂/高木聡輔
透明なビルに入りけり裘/永島靖子
春昼のビルを港に飛行船/田中櫻子
夕顔や人間の影ビルの影/落合冬至
いわし雲ビル屋上の観覧車/竹澤/聡
青嵐ビルの鉄骨吊られ浮く/中井啓子
春雷や灯りてビルうら若し/奥坂まや
ビルの影踏絵の如し冬の朝/落合冬至
炎天を来てビルといふ影の箱/塙告冬
矢狭間よりビルの林立冬霞/小林迪子
ビルはみな角を失ひ霾れる/山田弘子
ビル映る池に番の残り鴨/加瀬ゆきえ
葉柳や四角四面のビルばかり/近風昧
艟艨のごとくビルあり霾れる/森田峠
俳句例:21句目~
ビルとビルの隙八重葎籃坂/六本和子
ビルの窓に大坂城と春の雲/高濱年尾
京橋のビルの座敷や葛ざくら/森総彦
ビル底に蝦散らし食ふ後の月/石寒太
ビル暗く運ぶ氷塊朝を告げ/大井雅人
新しきビル全館に夜業の灯/山口恵子
ビル番に傘借る退社震災忌/亀井糸游
暮早きビルの画廊に商談す/山田弘子
薬屋のビル立ち並び神農祭/田上悦子
取り壊すビルの空翔け初燕/三村純也
川に映ゆビルの林や初夏の朝/峰山清
夜濯やビルに灯れる非常口/樋口芦笛
放蕩やビルに前世の落花生/攝津幸彦
凧上げてビルの谷間の校舎かな/啓又
打水やビルの谷間の小待合/清水基吉
ビルの間に残る一軒布団干す/中村和子
生姜市抜け来て白いビルの胴/菖蒲あや
生き物の足裏乾けりビルの街/森田幸子
冬雲やビルが動いている東京/高林菊次
冴返るビルを映してビルの窓/小林月子
俳句例:41句目~
鰊来る地上のビルに汚職の髭/金子兜太
湿舌やビルは窓々灯をつけし/岩崎照子
雁帰る神田もいまはビルの町/山本歩禅
江東にビルふえにけり鯊の秋/富岡桐人
水の面に夕日のビルや浮寝鳥/関口謙太
はたと遇ふ秋風の眼の緬甸僧/川崎展宏
ビル壊す男ら日の丸弁当なり/五島高資
引鶴やビルの真ん中素通しに/西川知世
谺せずビル高階のつくり滝/船坂ちか子
幕張のビルの谷間に穂草刈る/海野/勲
ビル投影みだして進む藻刈舟/栗原蕎村
ビルの稜初金毘羅の燈を囲み/有馬籌子
サイダーや金属光のビルの駅/平林孝子
ビル朧どこにでもある中央区/中田美子
歳末のビルに灯ともる美容院/吉屋信子
蔦若葉もえて小暗きビルの口/山田弘子
ビルと云ふ直方體の夕おぼろ/高澤良一
ビル空へ伸びて名城末枯るる/山田弘子
総ガラスのビル夕焼の立方体/星野明世
ビル街に焼藷屋来て三時どき/井熊秀男
俳句例:61句目~
ビルに囲まれたばこ屋の蔦紅葉/青木梢
稲光りビルは発光体となり/加藤瑠璃子
秋風や酔歩掴みしビルの端/米沢吾亦紅
ビル街の炎暑闘となり抜ける/新江たか
ビル街の細き横丁夏来たる/成瀬正とし
新豆腐ビルの谷間に商へり/堀之内和子
朔太郎忌ビルの狭間に一風樹/吉田銀葉
ビル谷間山鉾ずんと空晴るる/坂井信彦
ビル街に残る黒塀ちちろ鳴く/秦野淑恵
向日葵にビルは裏側もて聳ゆ/古舘曹人
君が香やビル街に一つ秋の星/梶川祐子
秋風や昼餉に出でしビルの谷/草間時彦
ビル高層友ら耳立て内部の滝/仲上隆夫
春風や伸びゆくビルの安全旗/藤本朋子
ビルの街曲り上手に初つばめ/斉藤恵鼓
ビルの裾だらだら祭つづきけり/杉本寛
春の雪ビルの一角灯しをり/金尾梅の門
一人また一人ビル出て晩夏かな/植松紫
鳥帰る墓場のやうなビルの街/鈴木由江
ビルの影みな劃然とうまごやし/木下夕爾
俳句例:81句目~
ビルの影水底に秘め芦芽組む/市野沢弘子
ビルの根にすばやい守宮蘭匂う/伊丹公子
ビルの窓ビルばかり見え秋の暮/石崎晋象
ビルの花壇東京陽炎生まれけり/松山足羽
ビルの間に火星を挟む西鶴忌/佐野まもる
ビルの霜雲とびちりて光り盈つ/飯田蛇笏
ビルは灯を枯木は風を並べけり/岩垣子鹿
ビルは無番地枯るる柳を郵便夫/皆川盤水
ビルを組む大暑の影をおきつ放し/浜芳女
ビル住みの目線は城と霞む空/安田みさを
ビル巨体冬雲遠く寄らしめず/細木芒角星
ビル影は地に貼りつきて原爆忌/大東晶子
ビル毀つための後退シャベルカー/土方鐵
ビル街の日々暑く征歌日々おこる/瀧春一
ビル街の日替りランチ春めきぬ/伊東白楊
ビル陰に薄っぺらなる夏至の月/塚田采花
ビル陰の深きを行くも冬至かな/田淵定人
ボーナスやビルを零れて人帰る/辻田克巳
七月や彼方のビルを真帆と見て/岡田貞峰
冬の虹ビルの高さに来て消ゆる/稲畑汀子