俳句例:201句目~
笊より釣銭鷲掴みにし海鞘を買ふ/高澤良一
かたむけて西日の笊の干飯かな/吉岡禅寺洞
ひろげ置くままに笊売れ午まつり/荒井正隆
鰺買ひし笊を置きたる柱かな/長谷川零餘子
笊入れて石もろともに鮴すくひ/松尾いはほ
ぶちまけて海鼠の笊を空にせり/加藤かけい
笊干して日が当りだす走り蕎麦/松本千鶴子
笊に入れて置く双六の蜜柑かな/長谷川かな女
皆少し動いてゐる清浄笊の生蝦/安斎櫻カイ子
夏星一顆母の笊よりこぼれ落ちむ/磯貝碧蹄館
ぬかご採るおほかた受ける笊をそれ/福田蓼汀
ぼろ市の笊投げて売る受けて買ふ/上島多勢乃
とこぶしや海女も小笊もずぶ濡れて/石塚友二
笊の影を地ににじませて笊屋の引越し/細谷源二
朝寒や垣の茶笊の影法師/一茶/文政三年庚辰
笊積むへ雲のとどまる春の市/竹腰千恵子/『和景』
日々笊にいつぱいの栗妻の幸/大川幸子/『小春日和』
母がりの飯笊も亦なつかしき/高野素十「素十全句集」
三十日銭がらつく笊の夜寒哉/一茶/文化十三年丙子