俳句例:201句目~
石に彫り野に捨てておく顔ひとつ/高柳重信
墓餘寒一字梵字を彫りしのみ/久保田万太郎
粗ら彫の臼飾り土間濡るるかに/村上しゅら
遺跡の石蜥蜴の手話を彫りとどむ/八木三日女
冬ふかくほとけの彫りも見えがてに/室生犀星
みちのく老人夏も皺頸こけし彫る/百合山羽公
とこしへに面はさみしと菊に彫る/野見山朱鳥
無限小数彫る北壁のたそがれどき/若林波留美
すぎてゆくものらに野火の透かし彫り/渋谷道
彫られては柔らぐ石や薔薇の昼/鍵和田ゆう子
彫みある寝釈迦のまとひたまふもの/後藤夜半
梧桐に少年が彫る少女の名/福永耕二「踏歌」
石仏の眉を彫り出す音涼し/岸原清行「海境」
雌雉子彫り雄雉子に添はす秋の風/野見山ひふみ
磨崖碑は爪彫りとなん滴れる/大橋桜坡子「竜の玉」