歳月に関連した俳句の例をまとめました。
歳月を含む俳句例
歳月の暗き沼より鷦鷯/森澄雄
歳月や老年に草芳しき/森澄雄
歳月はいま急流や実南天/北登猛
山門に古りし歳月勝頼忌/深沢京
歳月の八十八夜銀の匙/伊藤君江
歳月や夜霧の中を鉱滓車/穴井太
歳月の露こそ走れ翁塚/小林康治
霜真白歳月土に新しき/野澤節子
雁や歳月沈む石の下/櫛原希伊子
絶海の漂流壜の歳月よ/三橋敏雄
夫と来し歳月を財青嵐/黒坂綾子
病葉や歳月つもる塔の膚/桂樟蹊子
山羊の髯梳くは歳月風車/中島斌雄
爼の傷の歳月胡瓜もむ/藤井寿江子
歳月のように崩れる遠花火/冬木喬
歳月の鈍き飴色籐寝椅子/狩野朝子
火を創るにも歳月や鳥渡る/大串章
歳月をわれし得ず鴨帰る/杉山岳陽
恙なく九十七歳月今宵/田中えみ子
歳月や蜜の香のせる木下闇/岸田稚
俳句例:21句目~
歳月を語る露けき窟の彩/稲畑汀子
人縛るものに歳月冬の雁/伊藤敬子
歳月は砂山となる夏帽子/対馬康子
癌癒えてよりの歳月冷奴/添野かよ
歳月の石段まろし夏椿/日浅千恵子
青の洞門歳月幽き秋湿り/関根紀恵
歳月の磔像の錆冬の風/木場田秀俊
お花畠雲歳月を押し戻し/福田蓼汀
朴落つる音の歳月過ぐる音/斎藤玄
雁渡し歳月が研ぐ黒き巌/大野林火
栗の花歳月詩神信じ来し/河野南畦
根つめて歳月逝かす日日草/大牧広
学生と在りし歳月鳥曇/上野さち子
歳月が倒れ行くなり薄桜/永田耕衣
歳月や異人の砦梅雨募る/小林康治
歳月が凡に落着く根深汁/清水基吉
確執を歳月消しぬ年賀状/牧野寥々
天壇の瑠璃の歳月秋の天/伊藤敬子
歳月や地獄も霞む硫黄島/川崎展宏
硯面の歳月の疵洗ひけり/藤井凌雪
俳句例:41句目~
夫婦てふ歳月刻む梅焼酎/三木節子
歳月の母の胸裸の冷まじや/小林康治
うすれゆく歳月へ結ふ笹粽/武居国子
歳月の流れてけぶる松の花/山口誓子
歳月の素肌のように柿若葉/坪内稔典
歳月の障子の疵を洗ひけり/鈴木龍生
歳月の風吹けば翔び沙羅の花/小林実
歳月のささやき山帰来の花/鷹羽狩行
歳月は心の流転花は葉に/吉村ひさ志
歳月は水にもありて冬紅葉/宮原双馨
歳月やまた鉄骨の冬錆びて/杉山岳陽
歳月や大きな鮑がやや動く/和知喜八
歳月は人を隔てし木の葉髪/本岡歌子
みづからの歳月を経し山桜/津田清子
わが箸の白の歳月水溢れる/寺田京子
セーヌ川航く竪琴と歳月と/伊丹公子
歳月や秋蚕の棚にひびきあう/安西篤
久女逝きし歳月杳と冬日向/伊藤敬子
歳月や風船虫に会はざるも/石川桂郎
人の世の歳月もまた明易し/下村梅子
俳句例:61句目~
歳月や魚?秋の風に痩せ/猿橋統流子
死者に無き歳月烏瓜手繰る/佐野美智
母の亡き歳月長し梅を干す/菖蒲あや
母の背の丸き歳月茄子の花/大堀春野
冬銀河歳月をもて測る距離/辻美奈子
凍死者に朝の太陽躍り出づ/結城昌治
切干に妻の歳月ありにけり/早立栄司
泥底につもる歳月たひら貝/山田尚良
流燈に川の歳月古りにけり/石谷秀子
浮く雲に歳月はなし枯木山/大井雅人
焼薯屋佇つ歳月はすべて雪/成田千空
片削ぎのままの歳月栃黄葉/福永耕二
鬱然たる樟の歳月葉を落す/川崎展宏
四月馬鹿歳月誰か幸あらむ/石原八束
埋火や歳月煌と過ぎゆくも/角川春樹
献水に寄せる歳月原爆忌/金田八重子
夫の亡き歳月淡し松の花/塩谷はつ枝
瓢箪のくびれる前の歳月や/山崎佳子
石斛に庭の歳月たゞならず/秋吉方子
臘梅が咲き歳月の流れだす/家里泰寛
俳句例:81句目~
花の歳月ふところに墓一つ/篠崎圭介
寡夫めける歳月の中椿実に/大内英衛
山笑ふ歳月人を隔てけり/鈴木真砂女
花透いてわが歳月のはかなさや/龍男
蟲干しや絹の歳月均らされて/渋谷道
蟻地獄歳月人をへだてけり/青木重行
被爆地の歳月封じ小米咲く/宮崎良樹
贋作に歳月の艶枇杷の花/中戸川朝人
身ひとつの歳月迅し蓼の花/坂間晴子
怠りの歳月を埋め飛雪なほ/小林康治
悴みて洋奴たりゐし歳月よ/小林康治
連翹や歳月我にうつつなし/角川源義
鉛筆を削りしまでの初仕事/結城昌治
雪つもるつもる歳月何得しや/石井保
飾り臼歳月母へつもりけり/黒木野雨
馬酔木咲き歳月戻す雨の中/古館曹人
春疾風歳月に耳朶奪はるる/河野南畦
歳月のいま鎮まりし葛湯かな/渡辺澄
歳月のくらき坂より初音売/宮坂静生
歳月のすこし呆けし黄水仙/漆島文子