俳句例:201句目~
炉塞いで爪の長さを鋏みけり/安斎桜カイ子
わがほとりもつとも冴ゆる花鋏/古賀まり子
随所に鋏の類い日曜の午前終り/林田紀音夫
雪の日のそれはちひさなラシャ鋏/中岡毅雄
消えてしまふしんこ細工に鋏入れ/三橋鷹女
汝鋏まばあまくなるらし青蜜柑/阿波野青畝
ざりがにの鋏かざして後づさる/小川ユキ子
棚へ置く鋏あまりに見えすぎる/林田紀音夫
植木屋さんの鋏さくさく冷夏切る/清水伸子
炬燵の上に温もる鋏もう寝ねん/田川飛旅子
百足虫の頭くだきし鋏まだ手にす/橋本多佳子
アネモネ剪る鋏に匂ひうつしつつ/古賀まり子
牡丹いま活けをはりたる鋏かな/久保田万太郎
嚢駝来て寒ンの鋏を鳴らしけり/久保田万太郎
温仙花散りて落つれば小さき蟹鋏をささげて驚き走る/窪田空穂
「鋏、庖丁、かみそり研ぎ/研ぎやでござい」研いで貰おうか/橋本夢道