妻子に関連した俳句の例をまとめました。
妻子を含む俳句例
葛咲くや妻子に遠き膝頭/原裕
元日や人の妻子の美しき/梅室
雪櫟夜の奈落に妻子ねて/森澄雄
端居して妻子を避る暑かな/蕪村
日曜日妻子緑にまぎれ了ふ/原裕
七福神詣妻子を急がせて/安住敦
乙鳥は妻子揃うて帰るなり/一茶
山国に妻子住ましめ小六月/遷子
鰯汲む夜は妻子も脛ぬらす/鬼房
天の川礁のごとく妻子ねて/飴山實
桃の木に隠れる妻子金盥/桑原三郎
荒磯や鯨の舟を待つ妻子/正岡子規
妻子寝てなほ倖や黴光る/小林康治
妻子ゐて円き食卓青山椒/細川加賀
妻子なき芭蕉を思ふ冬籠/岡本松浜
買初に吹かれ出でゆく妻子哉/枴童
妻子佇つ野や蛍火の栄華なし/原裕
妻子寝て己れに戻る濁酒/福本啓介
乗初の舸子に渚に妻子達/高浜虚子
木の葉髪汝も妻子養ふや/下村槐太
俳句例:21句目~
春窮の妻子置去り旅の酒/小林康治
潮鳴や妻子に遠き春炬燵/加藤楸邨
初刷の極彩版は妻子占む/高澤良一
勝手まで誰が妻子ぞ冬ごもり/蕪村
水盗み終りて妻子愛すなり/阿部完市
雛の軸睫毛向けあひ妻子睡る/草田男
鯨取る舟を見送る妻子かな/正岡子規
妻子いま夕餉のころか初蛙/長谷川櫂
雛飾る妻子は水のあかるさに/源鬼彦
隙間風寝嵩崩さず妻子あり/小林康治
梅雨幾夜妻子囲ふや旅の果/小林康治
秋草や尿りて妻子無き如し/井上静川
銅像は妻子省かれ冬ざるる/山本紫黄
眼前の妻子を恋ふる天の川/高橋馬相
妻子病む冬木の空の昼花火/細川加賀
玉子酒妻子見守る中に飲む/高木良多
牛鍋や妻子の後のわれ独り/石田波郷
銀漢や千里の果に妻子寝て/長谷川櫂
追放の人の妻子や暮の春/石島雉子郎
渡らねば妻子遠のく春の虹/高橋酔月
俳句例:41句目~
草市の妻子に少し遅れ蹤く/辻田克巳
妻子を担ふ片眼片肺枯手足/日野草城
氷菓舐め暢気妻子の信篤し/清水基吉
水番に提灯つけて来し妻子/河野静雲
正月の夜を煌々と妻子遊ぶ/辻田克巳
壬生念仏妻子南京豆かじり/岸風三楼
極寒の胴にまきつく妻子の手/飴山實
竹生島へ妻子を送り秋晝寝/田中裕明
麦秋の妻子を生かす癩の銭/村越化石
柏餅妻子にありて吾になし/辻田克巳
師恩友情妻子の情冬ふかむ/相馬遷子
晩婚の妻子の胼をいたみけり/西島麦南
月の出の露が溢れる妻子の屋根/飴山實
東京西日金なき妻子家におく/古沢太穂
枝豆や友は妻子のこと洩らす/村山古郷
桜草妻子が日射し惜しみつつ/橋本冬樹
梅雨茸や勤め辞めては妻子飢ゆ/安住敦
春寒の妻子襤褸になれにけり/西島麦南
どの春の星にて妻子われを待つ/秋澤猛
汐干潟襤褸の妻子引き具して/小林康治
俳句例:61句目~
にぎやかな妻子の初湯覗きけり/小島健
汗拭いて妻子の一重瞼かな/鈴木しげを
はしり蚊に妻子は遠し酒の中/小林康治
潮がすみ妻子率きゐし旅ならねば/原裕
父母妻子串柿のごと竝びけり/正岡子規
生きて今宵妻子の前に絵双六/目迫秩父
白萩や妻子自害の墓碑ばかり/宮坂静生
秋の夜の深沈と寝て妻子かな/石塚友二
秋風のけふより吾に妻子あり/杉山岳陽
莨火もねむる妻子も梅雨の闇/西島麥南
菖蒲湯へ妻子がゆきぬ眉月が/古沢太穂
虹まどか妻子は切に粥をふく/石田波郷
蛾に怒り妻子に怒りつゝ眠る/西島麥南
螢川妻子消えたるはずもなく/宮坂静生
セル匂ふ妻子なければ帯赤し/森川暁水
一つ燈の妻子に白わかちけり/渡邊水巴
三日月は鋭しまこと妻子は枷/福田蓼汀
光ある中妻子と歩め薄氷期/中村草田男
西行忌妻子が中の無為の日々/石塚友二
八月の雪見ゆ裾に妻子待つ/石橋辰之助
俳句例:81句目~
貧しさに妻子寝て黴尽しけり/小林康治
黴鞄妻子羽がひに病めばかな/小林康治
贖罪のごとし夏野へ妻子率て/楠本憲吉
遠鶯妻子はいつも身のまはり/香西照雄
都わすれ去就の鍵は妻子らに/水口千杖
野生馬に山陰を恋ふ妻子あり/藤後左右
十二月敏雄は妻子詠まざりし/遠山陽子
喪籠りはまた雪籠り妻子ゐて/茂里正治
青梅雨やひとの妻子と壁隔て/福永耕二
青芝を妻子に遺し墓小さし/殿村菟絲子
鳳仙花妻子は神が預り置く/磯貝碧蹄館
夜寒はや妻子の寝嵩みな違ふ/小林康治
妻子とほし弁慶草に夕せまり/鳥居露子
妻子へ金送り果せば秋灯る/石橋辰之助
妻子去るや秋蝶のごと縺れあひ/志城柏
妻子寄り白餅を食ぶ乗のごと/小林康治
妻子措けば漂泊に似て腋の汗/小林康治
妻子見よ冬至南瓜を断ちにけり/小島健
戻り来て白息消えぬ妻子の辺/細川加賀
捨て菊や故なく妻子陥しめし/小林康治