瞼/目蓋に関連した俳句の例をまとめました。
瞼/目蓋を含む俳句例
額散るや瞼瞬く蟇/島村元句集
潮寒し瞼沈みて石仏/桂樟蹊子
仏見し瞼重しや白椿/澤村昭代
幸うすく瞼のうすき寒雀/八束
瞼の裏朱一色に春疾風/杉本寛
紅梅を瞼の花に薪能/平畑静塔
春眠や瞼のうらの雨の彩/美恵
綿虫や露坐の仏の厚瞼/石川文子
冬空の薄き瞼を裂く青さ/澁谷道
猟犬の瞼を撫でて疲れ癒す/狩行
落葉焚き円空仏の腫れ瞼/森洋子
海棠や虻の瞼の重き時/浜田酒堂
薄瞼簾の風が白湯さます/桂信子
瞼とづ命のきはの網の鳥/森田峠
菊慈童さめし瞼も菊の中/登四郎
過ぎゆきし指や瞼や牡丹雪/楸邨
白藤や代々の女の伏瞼/香西照雄
瞼閉じ荒き息する雀の子/宮田祥子
亀石の厚きまぶたや稲の花/小澤實
瞼より覚えはじめし花疲/吉年虹二
俳句例:21句目～
ひた眠る瞼は生きて秋の風/斎藤玄
夏柳薄幸の瞼匂ひたつ/長谷川秋子
寒鯉のしづかなりけり瞼深く/青邨
梅早し瞼の重き道祖神/影井貴美子
ねむれざる瞼の裏に雪降らす/楸邨
雪女めく就中汝が二皮瞼/清水基吉
長生きの猫の目蓋雪催/宇多喜代子
山吹やひとへ瞼の木曾女/橋本鶏二
愛怨を襲ぎ来し瞼寒燈下/石塚友二
朝霧や瞼おもたき馬の上/加舎白雄
粕汁に酔ひし瞼や庵の妻/日野草城
麦秋や瞼に子連れ観世音/堀口星眠
麻畠金剛の瞼こゝに尽く/福田蓼汀
相へだつ目蓋耳蓋露けしや/齋藤玄
亀鳴くと亀石重き瞼上ぐ/都筑智子
人の躬は瞼に重き返り花/牧野桂一
今死なば瞼がつつむ春の山/齋藤玄
仔育ての鳥の瞼よ夜の風/三橋敏雄
俊寛が瞼の花の盛りかな/永井龍男
桃の世へ一歩それより薄瞼/鈴木鷹夫
俳句例:41句目～
おん瞼開け給へと涅槃西風/高橋利雄
このごろの重き瞼に龍の玉/細川加賀
青蛙とろりと瞼の母おもふ/攝津幸彦
雪片の瞼に降りてきたるあり/中田剛
梅日和目瞑りて知る瞼の血/北野民夫
長杖の茅舎瞼に茅舎の忌/小原菁々子
逆子いて瞼つむれる青葉月/和知喜八
行く雁を仰ぎ能はぬ瞼かな/角田竹冷
蚕豆の朝花瞼閉づるもあり/香西照雄
一冬の囮鵜瞼縫はれけり/岡野風痕子
一噴煙蔓の瞼のつねは閉じ/中島斌雄
停りても瞼ひらかず橇の酔/田村了咲
寝不足の瞼の腫れし定家の忌/檜紀代
初茜とぢし瞼も薄あかり/加倉井秋を
小春日や鸚鵡に薄き瞼ある/岩田由美
蘭の香にかなひて眠る薄瞼/飯田龍太
浪の間の千鳥を見むと薄瞼/鈴木鷹夫
初茜とちし瞼も薄あかり/加倉井秋を
花冷やうすき瞼を鶏も持つ/福永耕二
息白う馬は二た重の瞼かな/林原耒井
俳句例:61句目～
去年今年江ノ島の波瞼にす/渡辺桂子
蚋の跡瞼に残る一ト日かな/金子久子
凍鶴に瞼を熱くしてをりぬ/鈴木鷹夫
日盛や鯉に瞼のあるらしく/山本洋子
羽抜鳥瞼ゆるめて眠りをり/上野澄江
冬苺瞼の闇は濡れてをり/小檜山繁子
目の玉を宥める瞼被爆地忌/池田澄子
春の蝿馬の瞼にとまりけり/高柳重信
冬日今瞼にありて重たけれ/高浜虚子
春眠の妹が瞼や吸うて見ん/中野三允
八重桜瞼重たくなりにけり/高澤良一
卒業歌瞼とづれば暗かりし/落合水尾
瞼垂れ蝉も烈日も忽と消ゆ/相馬遷子
茅舎忌や瞼にのこる杖地蔵/河野静雲
真紅とは瞼にともる唐辛子/中村明子
枯れ蟷螂瞼なければ泪なし/山本呆齋
白睡蓮閉ぢて普賢の重目蓋/田口一穂
秋日の鶏己が白さに瞼閉づ/羽部洞然
鵜はどれも瞼をもてり春怒濤/原田喬
花菖蒲瞼の裏に神を喚び/田川飛旅子
俳句例:81句目～
寒牡丹目蓋のうらの色なりし/辻直美
黄沙降る夕日駱駝の腫れ瞼/佐野美智
まぶた重き仏を見たり深き春/綾子/
夏帽の笑顔瞼にありて亡き/加藤楸邨
冬日向まぶたの重き地蔵尊/上田俊二
凍鶴のふたゝび閉ぢし瞼かな/河野静雲
多寿黒顔の冬眠の亀瞼素く/中村草田男
小屋に寝て深山の月を瞼にす/相馬遷子
山廬忌の瞼あふるる曼珠沙華/三宅一鳴
新樹の香瞼閉ざして赦すとき/前島勢津
日当れば瞼のぬくし花八つ手/鈴木鷹夫
星今宵瞼の母となりにけり/本田由生恵
春の夢みてゐて瞼ぬれにけり/三橋鷹女
杏熟れ落つ飛騨つ子の重瞼/橋本多佳子
梟の瞼を閉ぢるわれも閉ぢぬ/鈴木鷹夫
水温みうすき瞼となりにけり/渡辺恭子
淡雪に瞼うごかしゆくめしひ/田村了咲
火祭のどちらむいても火の瞼/津田将也
狐火や次郎の瞼ゆるぶころ/石田阿畏子
甘茶ぬる瞼くぼめる女かな/三宅清三郎
