俳句例:101句目～
炎天のいづこか笑ふ閻魔寺/殿村菟絲子
煤払ひ閻魔の貌を逆か撫でに/河上風居
熱き茶のうまくて閻魔詣かな/綾部仁喜
百円で閻魔のお告げ旱梅雨/吉岡千都子
秋闌けて閻魔の鏡くもりをり/加藤久枝
立ちよれば焔のあつし閻魔堂/正岡子規
笑ふとも見えて閻魔の口四角/花輪芳子
紙縒よる閻魔蟋蟀友として/石田あき子
老独りおきふし馴れて閻魔堂/小松月尚
胡座かく我と閻魔の蟋蟀と/佐々木六戈
蚰蜒眉むずと吊り上げ初閻魔/高澤良一
蝋燭に照らし出されし閻魔王/京極杞陽
踊子に閻魔詣での手をひかれ/星野石雀
身ほとりの沼潰さるる初閻魔/宮坂静生
道服のだぶだぶ閻魔詣でけり/高澤良一
閻魔参り奪衣婆のがれ鶏ねむる/渡辺昭
閻魔堂出てところてん大口に/山口冬男
親不知抜けとの予告閻魔の日/柏木志浪
うしろより紙のつぶてや初閻魔/下田童観
願ひごとひとつにあらず初閻魔/村上尚子
俳句例:121句目～
枯野原閻魔の大きな口があり/関口眞佐子
寒鱈を提げて閻魔に見られゐし/吉田紫乃
寒紅を引きて閻魔をあざむかん/松久素子
笑ひ閻魔あさりの舌が水を噴く/貝谷妙子
昼暗き閻魔の舌や梅雨じめり/加藤知世子
大団扇もらひて閻魔まうでかな/小谷廣子
水仙の横たへてある閻魔かな/鈴木しげを
線香の燃えてをりたる閻魔かな/若林北窗
からだからこぼれて閻魔蟋蟀は/柿本多映
黄泉にては閻魔の褌の丈詰めん/高澤良一
敷き茣蓙に守る村の子等宵閻魔/宮脇和正
目を寄せて覗く晩夏の閻魔かな/橋本榮治
咳きこみて閻魔の前を忘れけり/下村槐太
初閻魔飴なめ幸は縷のごとし/柴田白葉女
蒸籠より湯気立ちのぼる初閻魔/鈴木渥志
初閻魔詣で去りゆく女人かな/鈴木半風子
接待のこんにやく熱し閻魔の日/浜崎晃子
ふえて来し子供の声や宵閻魔/深見けん二
初閻魔合格祈願のだるま買ふ/下瀬川慧子
えんまこほろぎ冬越す壷の物語/倉橋羊村
俳句例:141句目～
白萩や克己のかほの閻魔王/鍵和田ゆう子
かねをうつ閻魔祭の裸形あり/吉岡禅寺洞
年守るとさても瑠璃香えんま香/藤田湘子
みちのくの蝦夷の顔の閻魔かな/下村梅子
まだ燃ゆるちびし蝋燭宵閻魔/浜井武之助
脱衣籠えんまこおろぎ宿しけり/高澤良一
ひゆう～と風鳴る日なり初閻魔/井上猴々
黒ぶだう閻魔の舌となりにけり/高澤良一
木の実落つ閻魔の前に額づけば/谷中隆子
閻魔こおろぎ書きやめて眉の白/河村四響
たそがれの菎蒻閻魔ほとゝきす/正岡子規
こんにやくを藁縄で提げ初閻魔/杉崎月香
屋根雪のずだずだ落ちる初閻魔/堀/文子
こんにゃくを閻魔に供へ街薄暑/山崎祐子
閻魔堂出て蜘蛛の囲に捉へらる/大橋敦子
閻魔王化粧欲りしてお在しけり/河野静雲
尻からげ下ろして詣る閻魔かな/橋本鶏二
砂まみれの蚯蚓が目ざす閻魔堂/松木泊舟
こはごはと地獄絵のぞく宵閻魔/鈴木胡月
母の背に舌を出す子や初閻魔/岡部六弥太
俳句例:161句目～
真っ黒な閻魔の怒気をふりかぶり/高澤良一
縁起絵の閻魔はやさし秋の風/鍵和田ゆう子
日盛りや閻魔の舌を見てかへる/田村ひろし
初閻魔かなしみあれば捨てにきて/金田初子
亡者らを白く塗りたる閻魔かな/阿波野青畝
わが肩にすがるはたぞや閻魔堂/久保より江
詣で来て誰やらに似る閻魔かな/平木智恵子
こんにやくに更けし灯影や初閻魔/河野静雲
閻魔参りに流涕しけりまむし取/玉出雁梓幸
あたたかい雨ですえんま蟋蟀です/三橋鷹女
くちなしの花の錆びたる閻魔さま/斎藤夏風
おしろいのにほふ子供や宵ゑんま/橋本鶏二
くらやみのえんまこほろぎ湯が熱し/池島晃
こんにゃくの落ちて弾めり初閻魔/江口千樹
閻魔蟋蟀歎くを闇が十重二十重/玉出雁梓幸
こんにゃくに更けし灯影や初閻魔/河野静雲
閻魔堂守が立つたり坐つたりする/加倉井秋を
こほろぎを閻魔と呼ぶはあな可笑し/丸山嵐人
死ねば指組むえんまこおろぎ少し鳴き/穴井太
閻魔の口に胡桃噛ませて割るべかり/加藤楸邨
俳句例:181句目～
金色の笏を手握り閻魔王/高浜虚子「虚子全集」
酔うて踊ってえんまこおろぎ鳴いている/穴井太
閻魔参りの子にばつた飛ぶ径かな/長谷川かな女
人民はいつも苦しいとえんまこおろぎ/橋本夢道
うそつかぬといううそをつく閻魔の日/浅田典子
人民はいつでも苦しいとえんまこおろぎ/橋本夢道
香煙の四簷しみ出て閻魔かな/阿波野青畝「万両」
こんにゃく閻魔冬の日たぐり人たぐり/諸角せつ子
据ゑられし竈のごとき閻魔かな/佐久間慧子「文字盤」
からくりの鉦うつ僧や閻魔堂/川端茅舎「川端茅舎句集」
声のなき声恐ろしき閻魔かな/恩智景子「かつらぎ選集」
たはぶれに夭死のははの名を呼べば閻魔蟋蟀すずしく鳴けり/轟太市
おかめよヴァイオリンもささらほうさらとえんまこおろぎ/橋本夢道
