渡船に関連した俳句の例をまとめました。
渡船を含む俳句例
探梅の渡舟をかへし戻かな/風生
桜餅心に描く夕渡舟/島村元句集
秋祭とて沼渡舟旦より/福田蓼汀
雷や白浪立ちて浦渡舟/楠目橙黄子
山火事の灰降って来る渡舟/澤草蝶
竹林の渡舟今なし梅の村/西山泊雲
枯蘆や揖斐の渡舟のなほ存す/帚木
春暁や舷ぬれてゐる渡舟/田村了咲
月島の渡舟の中の定斎屋/青木芳草
門川のかりの渡舟や菖蒲園/橋本鶏二
夜を春に俥乗せたる渡舟かな/原月舟
柳ちるや鉄瓶たきる渡舟小屋/原月舟
露寒の土間の炉たいて渡舟守/林蓼雨
桑の実や行きて返さぬ渡舟/小島昌勝
桑摘女のせて一番渡舟出づ/江口竹亭
頬被り渡舟の席の座り沢/中村草田男
鮪船かかれる中に渡舟着く/寺井久治
麦秋の刻なしに出る沼渡舟/永野清風
沼渡舟春雨傘の娘に棹せる/橋本鶏二
島渡舟着いてそこより初戎/白石峰子
俳句例:21句目~
眠るには寒し渡船の二等室/森岡花雷
渡舟場に常夜燈あり雪濁り/西本一都
ストーブを囲む渡船の国訛/野村つる
渡船は帆を巻きおろす霰哉/寺田寅彦
焼藷の屋台も乗せて島渡船/大塚郁子
帰り花宿の入江に渡船着く/北川酔歩
帰省子や父に替りて渡舟守/大森積翠
短日やみな荷を負へる渡舟客/森田峠
七夕の渡舟に並び少女かな/松藤夏山
引鴨の又たつ沼の渡船かな/赤木格堂
万歳にたわめる藪や夕渡舟/飯田蛇笏
対岸の見えて渡舟の冬帽子/都筑智子
神の留守を風吹く宮の渡舟/正岡子規
秋風を面に聴ける渡舟かな/中島斌男
五月雨の馬の渡舟といふとかや/素十
競渡舟卸す打込み太鼓かな/林かつみ
日焼して娘盛りを渡舟守/田草川一求
舳波たつ阿武隈渡舟鮭の秋/皆吉爽雨
麦秋の小雨にぬるる渡舟銭/飯田蛇笏
葬人は山辺や露の渡舟こぐ/飯田蛇笏
俳句例:41句目~
葭切や客あれば出す夕渡舟/青木重行
春立つや一便殖えし島渡舟/徳永玄子
蓮如忌や善根渡舟今もあり/本多握月
蘆刈も渡舟もやすみ小正月/福田杜仙
蛍の夜渡舟気易く出しくれし/梶尾黙
蝗とびつきて出水の渡舟着く/森田峠
朝靄に合歓の鴉や渡舟漕ぐ/西島麥南
木苺をかざして渡舟待つ汀/井阪月子
行年の往来皆乗る渡舟かな/野村喜舟
壷焼やしばし間のある島渡舟/梅田青逸
うらうらと渡舟を回す仏の座/古舘曹人
川霧や馬も乗せゆく夕渡舟/高橋淡路女
渡舟待つ女がひとり夕水鶏/石井とし夫
葭切やとぎれては出る沼渡舟/浜田坡牛
葭切に渡船への径らしくなる/小林敏朗
秋晴や藪のきれ目の渡舟場/鈴鹿野風呂
渡舟守子らをおろして芹を摘む/吉田笑
でく廻し来て待つ鳴門渡舟かな/里颱風
艫に置く時雨の簑と渡舟賃/石井とし夫
はすかひに渡舟ただよふ夏の河/志城柏
俳句例:61句目~
待宵の石段に着く渡舟かな/大峯あきら
纜を解いて露けき渡舟かな/海老原花村
笑ひごゑ流るゝ春の渡舟かな/幸田露伴
桑畑へあがる渡舟や春寒し/大場白水郎
一人づつ渡舟を下りる霞かな/高浜虚子
一月の波が押しゆく渡舟かな/橋本榮治
日帰りの渡舟に乗りて紅葉狩/椎野房子
梅園や矢口の渡船ほど近く/大場白水郎
氷割る槌を備へし渡舟かな/楠目橙黄子
春水に棹をしわめし渡舟かな/松藤夏山
今日荒るる先帝祭の渡船かな/国友子紅
傾ぎつく河口の渡船走り梅雨/亀井糸游
沼渡舟すれ違ひつゝ秋惜む/大橋越央子
秋嶺や渡舟にまとも尖り立ち/河野静雲
冬凪やうしろ手に待つ島渡舟/塙三千男
春雷や重なり合ふて渡舟牛/楠目橙黄子
初富士に後ろ向なる渡舟小屋/鈴木花蓑
昼顔や神父をおろす島渡舟/坪井かね子
初詣一社は渡船志賀さまヘ/小原菁々子
利根渡舟棚経僧をのせて著く/茂木利汀
俳句例:81句目~
晝霞親死んで渡舟筋替へし/中塚一碧樓
南祭り淀の渡舟は夜もすがら/木田一杉
呼ぶ渡船秋晴れ鳥の水擦りて/内田百間
渡舟場に女の鳴らすラムネ玉/満田春日
朝霧や生徒ばかりの利根渡舟/茂木拾瓶
大いなる夏帽吹かれ渡舟着く/山田弘子
大かたは花見の客や島渡舟/行廣すみ女
泳ぎ子に乗入れて来し浦渡舟/川崎充生
渡舟場に今日の国旗や梅佳節/鈴木花蓑
秋潮や水尾まつすぐに島渡船/満田玲子
眺め居て秋の渡舟を渡りけり/富安風生
山羊も乗せ渡舟八粁風涼し/伊藤いと子
秋水の浅瀬の見えて渡舟著く/稲畑汀子
栄螺焼く匂ひに着きし島渡船/小林一行
島渡船切符売女が海髪を撰る/榊原池風
川甚に渡舟で来たる月見客/吉原田鶴子
蓮の中渡舟のみちの岐れをり/下村非文
蓮如忌の高張立てし渡舟かな/嵯峨柚子
藻の花や母娘が乗りし沼渡舟/高浜虚子
蘆の芽や渡舟をたゝく俄雨/金尾梅の門