胃に関連した俳句の例をまとめました。
胃を含む俳句例
胃を病めり貝殻に似て寒の月/眸
鱶の胃に春の港と鴎鳥/阿部誠文
夜噺の脾胃の強さよ寒の内/千川
胃洗うて病院桐の秋濶し/飯田蛇笏
秋暑し癒えなんとして胃の病/漱石
四月荻江節家元の胃穿孔/塚本邦雄
満月の泉飲む胃の形見え/今瀬剛一
無胃庵と雀隠れに称しけり/穴井太
片寝して胃が滞る冬旱/中戸川朝人
青草を食む膨大な第一胃/堀米秋良
蟇ねむれ変幻の胃の粘膜も/成田千空
水海月蹄の形の胃をさらす/吉田紫乃
胃なき身の痩躯に年の改まる/原藤吉
粥すする杣が胃の腑や夜の秋/原石鼎
眠れぬ夜潰瘍の胃も梅雨の中/六林男
春暁や罪ほの暗く胃に残る/横光利一
深酒の胃で眺めおり嫁が君/岩下哲也
白菊に氷を抱いて胃安らか/久米正雄
枯蘆の青麦のわが胃は痛み/林原耒井
酸多き胃を患ひてや秋の雨/夏目漱石
俳句例:21句目~
逃水のごと燦燦と胃が痛む/佐藤鬼房
一月の粥と銀河が胃に残る/行川行人
三分の一の胃の腑や盆の月/佐川広治
己が胃をつくる残生今年竹/竹中龍青
薺粥胃の腑に詫びる荒使ひ/山下美典
思ひ草胃なし男に返り咲く/佐藤鬼房
燦爛と胃の荒れゐたり朝桜/小川軽舟
胃の荒れや灰に筋ある大夏炉/吉田紫乃
胃は月型風の瞼をしばたたき/三橋鷹女
胃を照らす月光囲りには寝息/片山桃史
胃を病んで猶こりずまや鰒汁/尾崎紅葉
巖仰ぐや胃が痛みきし秋の暮/渡辺水巴
胃鏡嚥むや夏日千古の隔りに/成田千空
芋畑に醜女が見えて胃が痛し/萩原麦草
料峭や夫の胃カメラ事の無げ/前畑典子
苦行とやこの胃の痛み初茜/新井喜代子
茸など胃の腑に入れし静夜あり/森澄雄
菜種梅雨胃弱を嘆き合えば朋/池田澄子
春一番狂へりわが胃また狂ふ/相馬遷子
麦飯や旅の胃の腑は濁さずに/都筑智子
俳句例:41句目~
春愁や重き胃の腑を持ち歩く/椎橋清翠
逃げ水のごと燦々と胃が痛む/佐藤鬼房
霧にまぎれ重工業の突き出す胃/穴井太
高き濤待つ胃の傷口を洗わんと/稲葉直
朝の水胃に墜ち煙草肺ふかく/片山桃史
パン食の胃である坂の加速感/川端麟太
松茸が胃にある夜の夫婦かな/鈴木鷹夫
松茸を胃の腑に満たし宇陀郡/角川春樹
極暑歩む胃に穴多き課長たち/櫂未知子
満開の桜胃カメラ飲みに行く/小西昭夫
焼酎に胃をやきてすぐ寒風へ/右城暮石
父の忌の胃の腑にたまる柿の冷/坂本登
白椅子に胃の検査待つ漱石忌/伍賀稚子
短夜や胃の腑に飯の残りたる/正岡子規
凧の野もややに青草胃の軽さ/友岡子郷
秋風やひゞの入りたる胃の袋/夏目漱石
胃が痛み通せし夜明け霜の声/右城暮石
胃が痛む月夜や蘭の香の忽と/宮坂静生
胃に落ちて甘さ戻りぬ寒の水/石塚友二
胃の中に水母ゐさうな月明り/保坂敏子
俳句例:61句目~
四分の一の胃の腑も年を越す/角川春樹
地割れして胃までは遠き鏡餅/中村幸子
胃の中に雪降る如き訣れかな/冨田拓也
胃の中の冷麦がみな繋がれる/宮坂静生
胃の底の方笑ひたる松葉酒/藤田あけ烏
胃の腑へ曇天の鳥来たりする/浅沼参三
切りし胃の行方は知らず漱石忌/宮脇白夜
女の嘘牡蠣とレモンを胃に染ませ/三谷昭
うら山に竹伐りに来て胃が痛し/萩原麦草
お百度や胃のひやひやと十二月/角川春樹
寒うらら危機感はわが胃のみに/相馬遷子
胃カメラのするりと入り万愚節/守屋房子
寒の水胃の水琴の鳴るごとし/目迫のりを
荒布干す婆下垂胃を日に晒らし/熊谷愛子
酒断ちて胃の腑澄みゆく昼の虫/橋本榮治
梢の柿落ちてしまへと胃が疼く/林原耒井
潰ゆる胃繞りて朝の蝉湧けり/相生垣瓜人
遠巻きに胃を病む人ら夏の河馬/坪内稔典
遠雷や胃カメラ咽喉を通り過ぐ/高橋恭子
胃を切つて三年ごころ初ざくら/斉藤夏風
俳句例:81句目~
春星や胃の無き妻ヘビスケツト/今泉貞鳳
梅桜いちどきに咲く胃のくすり/寺田京子
暗さもつ石の重たさ胃を病める/安養白翠
釣忍紅葉ずる今日の胃の在り処/池田澄子
霰降る胃カメラ呑みに行く道に/村本畔秀
一口の白湯に鳴る胃や夜の朧/馬場移公子
胃に入りし標茅の見ゆる月夜かな/森澄雄
交し飲むビールの琥珀胃の琥珀/高澤良一
胃に滞るもの匂ひ出す秋の暮/中戸川朝人
元日真夜わが胃を点す玉子焼/磯貝碧蹄館
烏蝶来ては胃の腑に陰すなり/相生垣瓜人
枯蘆に遊びて痛みなかりし胃/相生垣瓜人
曙のうぐいすあそぶ不眠の胃/八木原祐計
胃ぶくろにすごもる虫や暮の秋/飯田蛇笏
白鷺はいちにち重き胃をもちぬ/佐川広治
胃の腑とも見えて寒夜の路傍石/荒川楓谷
焼酎を胃の腑にをさめ健次の忌/佐川広治
秋暑し胃のなき義兄のこごみ癖/羽部洞然
歎異抄読むリラ冷えの胃なし腹/石原廣紹
爽やかにあれば血にじむ胃の嚢/林原耒井