映画に関連した俳句の例をまとめました。
映画を含む俳句例
映画館出て春陰の影に遇ふ/麦南
春塵や欅並木に映画館/西本一都
早春の雲の形に映画街/宮武寒々
雁ゆくや古き映画の二本立テ/敦
杏咲き古き映画に雨降れる/関成美
白黒の十一月の映画かな/小原すさ
映画村訪ひし吟行始かな/岩崎照子
映画館裘匂ひ穢土なるや/山口誓子
暖房に橋のない川とふ映画/内野修
奔放な男の映画罌粟坊主/都筑智子
女もす口笛夜涼映画待つ/岸風三楼
映画村セットの池の水馬/橋本一水
人日や古き映画に原節子/木内満子
母と見し映画白黒浅蜊汁/井上宗雄
冬ふかし朝は煤降る映画街/金子潮
校庭の納涼映画裏から見る/石原透
秋雨は無声映画のやうに降る/仁平勝
山頂駅寒き映画の闇のぞく/石原八束
弟はまだ優曇華の映画館/高野ムツオ
映画館出て春寒の街となる/吉屋信子
俳句例:21句目～
麻畠白黒映画とともに伸ぶ/攝津幸彦
愛鳥日まだ封切らぬ映画あり/皆吉司
戦傷兵征けり薄暑の映画街/宮武寒々
駅前の寒さ貧しさ映画ビラ/右城暮石
両窓に稲妻ゆたか映画会/中戸川朝人
九年母や映画半券ポケットに/小平湖
青葡萄島の祭に映画あり/加倉井秋を
軍属は映画好きなり松の内/田村了咲
草餅や映画となりし大師伝/大島民郎
海猫が観にくる岬の映画館/伊丹公子
母遠し映画の中に雪がふる/岩崎健一
天然色映画の雪が実に白し/内藤吐天
霰ふる悪しき映画のポスターに/杞陽
納涼映画裸電球椰子に吊り/水田光雄
日盛りの老人割引利く映画/高澤良一
宿団扇持ち故郷なき映画館/宮武寒々
納涼の映画渚が近過ぎる/山口波津女
雪嶺を負ふ映画館恋やぶれ/堀口星眠
初飛脚通路も埋まる映画館/高澤良一
ふるさとの映画の中に舞ふ蝶よ/原裕
俳句例:41句目～
十薬や映画を見ては鬱を増し/日原傳
雨のふるふらんす映画栗の飯/穴井太
映画では恋を囁く露台かな/守屋明俊
校庭に映画はじまるまでの蝉/大牧広
吾が好むドンパチ映画春休/高澤良一
噴水の向うは無声映画なり/岸田竹女
閉山や花野となりし映画館/西本一都
釘づけの映画館あり鯨来ず/福本鯨洋
夏の雨白黒映画の画面ぶれ/高澤良一
映画観て夕空蒼き毛皮夫人/榎本冬一郎
映画館いまは釣堀婆も釣る/尾形不二子
映画館入りて出て来し年の暮/右城暮石
月涼し映画をひとつみて帰る/古沢太穂
枯蟷螂無声映画のごとき雨/佐藤あすな
これは観たことある映画煤籠/高澤良一
桜貝映画のやうな恋は無く/真田/清見
梅の咲く窓を映画の如く見る/岩田由美
梅雨さむく映画製作の深夜あり/瀧春一
椋鳥逃げず映画へ急ぐ懐手/田川飛旅子
水の秋映画はヴェニスにて終る/皆吉司
俳句例:61句目～
泣けぬ映画観て歳晩の橋渡る/寺井谷子
涅槃会の煙着たまま映画みる/近江禮一
炎天の葬儀モノクロ映画のやう/岡崎光
煤逃や映画三まはり半も見て/杉山とし
納涼映画国境越えて逃亡せり/鈴木栄子
納涼映画小学校の椅子出され/池田秀水
花みかん野外映画に誘ひあふ/和田祥子
若き日の映画も見たりして二日/大牧広
ソ連映画見て新鮮なセロリ買ふ/及川貞
リバイバル映画満席文化の日/佐藤弘子
人が生き返る映画や四月馬鹿/松尾隆信
仲秋や場末映画にカラマゾフ/西本一都
元日の孤独を映画館にもまれ/藤木清子
入れて来し懐炉があつし映画館/及川貞
冬深しイタリア映画観て眠る/岡田匡子
冷房の映画寝台のシーン長し/内藤吐天
凍る夜の悲劇映画を遠ながめ/飯田蛇笏
北極の映画白かりき天の川/殿村莵絲子
古きよき雨の映画やパリー祭/鷹羽狩行
夏休ゴジラ映画に夜を更かす/高澤良一
俳句例:81句目～
大学祭闇に映画のビラ替はる/林原耒井
天竺や涼み映画の客として/佐々木六戈
天高しいま見し映画の筋忘れ/吉屋信子
寅さんの映画に行けり生身魂/蟇目良雨
忘れ霜モノクロ映画に血の騒ぐ/小池溢
映画出て銀座の夜長喫茶店/成瀬正とし
戦時下映画深夜に及ぶ敗戦日/高澤良一
映画の日耳聡き日を想ひをり/河野南畦
映画会病者ら寒く椅子余す/肥田埜勝美
黄落や刻ゆるやかに小津映画/児玉寛幸
映画散じ一樹秋めく月の広場/野沢節子
映画終り続篇として鳥わたる/工藤克巳
映画街に辛夷小さく咲きにけり/三宅隆
はまなすや映画になりし小燈台/西本一都
おはぐろ蜻蛉無声映画の齣落し/湧井信雄
かの映画T市にきたる百日紅/鈴木しづ子
かの映画ではサイレント夏怒濤/依田明倫
きさらぎの映画見に出し忌中人/宮武寒々
被爆映画終わる冷房止めしまま/嶋谷陽子
すきまから入る秋の日や映画館/長谷川櫂
