地図に関連した俳句の例をまとめました。
地図を含む俳句例
秋風や麺麭の袋の巴里の地図/敦
新涼の壁に珈琲分布地図/岩崎照子
地図の上旅する町の烏瓜/能美澄江
初飛行近畿立体地図の上/日野草城
緑さす下に少年地図ひろげ/大高翔
登高や地図の形に佐渡が島/鈴木尚子
少年の机に地図と空蝉と/大木あまり
晩餐や万国地図の紅も盛り/攝津幸彦
春隣古地図は川を太く描き/友岡子郷
山の地図に三人額寄せて秋/鈴木鷹夫
登山地図見て打合はす岩釣/茨木和生
登山地図滝一徹の音止めず/河野南畦
現在地不明枯野に地図拡ぐ/津田清子
地図にある蒼い境界鳥と人/対馬康子
雁の声地図をめくりて旅ごころ/林力
金亀子古地図の海に昏倒す/高尾方子
地図になき沼に霧湧く杜若/児玉小秋
忠敬の歩みし地図も土用干/牧/一男
大地凍つ地図と眼鏡と油顔/古川塔子
読初の張謇傅に地図添へて/田中英子
俳句例:21句目~
敦煌を地図に探すや鳥曇/竹中碧水史
伊能地図歩幅はるかに青岬/大内秀夫
読初の島原乱史地図ひらく/河野静雲
元旦や地図中央に日本あり/池田啓三
南米地図壁に茨の実卓に挿す/及川貞
枯蟷螂立ちて鞄の上の地図/北条壬生
山の地図そへし妙見栗を買ふ/岩田余志
山上に拡げし地図に小鳥来る/中川忠治
想い出は地図画くような草蛍/高澤竹光
掌が白い武漢の地図となる/富澤赤黄男
ふるさとは地図の一点青山河/原槙恭子
ぼろぼろの地図を遍路が折り畳む/薫風
まくなぎや三万分の一の地図/二戸秀郎
よれ~の汗の作戦地図を焼く/樋口南盆
探梅や古地図にある道たどり/朝木芳子
斑雪田に地図のごと残りけり/蓬田佳穂
旅の荷を置きて地図見る芝桜/稲畑汀子
日本がまん中の地図終戦日/東条すみゑ
水の地図たどりて利根の春浅し/石寒太
春を待つひらきし地図の野は緑/上野泰
俳句例:41句目~
京の地図折目に御所や花曇/猿橋統流子
村の地図古きほどよし大南風/長谷川双
梅雨鯰古地図にのれる屏風岩/足立/紅
体内の地図を菜の花色にする/岡村行雄
切株の平らに開く登山地図/遠藤若狭男
棒切れで地図を描ける花の許/高澤良一
榾主が壮図の名残壁の地図/石島雉子郎
母老いぬ地図に泉の記号欲し/江里昭彦
流星やパリの古地図の青表紙/小澤克己
浪寒し港湾地図から目離せば/友岡子郷
古地図に松のいろ濃き恵方道/赤尾恵以
淡雪や古地図の日本国やさし/大井雅人
略地図に枕丁花の先雲の手前/伊丹公子
畳這ふ深山の霧に地図案ず/鈴鹿野風呂
秋風や地図を鉛筆ころげでて/川崎展宏
移り住む田舎の地図や年始状/高浜虚子
色鳥や折目通りに地図畳む/中川/忠治
花曇地図ずつしりと掌にあまり/原田喬
蚊が行くや欧洲現勢壁の地図/石塚友二
蝙蝠となり鉄神の憩む地図/八木三日女
俳句例:61句目~
地図に無き満州国や鳥雲に/南/冨美子
蝙蝠や案内の地図の昏れて来し/脇収子
地図の上に子らと顔よせ夏休/上野巨水
踏青や通行止めの迂回地図/倉瀬たけ子
鎌倉や梅雨の七口地図に指す/石川桂郎
隠岐の夏潮とは地図の海の色/芦高昭子
地図ひろげ次の札所へ夏遍路/吉田敬行
雪中に地図ひらく音鶴となる/中島斌雄
霜焼の耳かぶせ読む岬の地図/桜井博道
地図を手に寺から寺へ丈草忌/佐藤善也
地図を見て春山の名の悪四郎/大橋敦子
地図北に向け歩き出す福詣り/森田君子
地図好きの方と初旅して三河/高澤良一
地平線へ女歩く地図深く裂け/和田悟朗
坂鳥や地図に確かむ縦走路/大久保白村
風花や信濃の地図を壁に貼る/木村蕪城
大地に書く地図北方に秋篠や/和田悟朗
大阪の地図をひろげて草芳し/山本洋子
早春の便りに開く電子地図/大曽根育代
屋上の鈍器/空席/東京地図/上野敬一
俳句例:81句目~
北風の灯を近づけぬ聖書地図/田川飛旅子
颱風の生れたる地図日本小さし/右城暮石
雪が降り地図にない道あらわれる/穴井太
春風や鹿がうばひし奈良の地図/大島民郎
広告裏に狂院の地図描きて寒し/岩田昌寿
寄生虫己れの地図を持っており/山本佳子
ベルリンの地図につつみし桃二つ/皆吉司
一片の地図越えてゆく蜥蜴の歩/対馬康子
丹前やまたアメリカヘ地図の旅/大島民郎
留学の子ありしぐるる壁に地図/皆吉爽雨
開きたる地図の静かに花の旅/成瀬正とし
秋の夜の畳せましと旅の地図/尾堂美和子
胡桃割る閉じても地図の海青し/寺山修司
短夜や地図には小さき血の孤島/渡邊水巴
赤い地図なお鮮血の絹を裂く/八木三日女
観梅や地図に名もなき川耀ふ/松本三千夫
古地図では武家屋敷なり草の花/三浦叙之
古地図閲覧図書館の蚊に刺され/佐藤恵子
台風の生れたる地図日本小さし/右城暮石
向日葵の蕊焼かれたる地図のごと/今井聖