鍵に関連した俳句の例をまとめました。
鍵を含む俳句例
万緑の天地有情や杣男/原裕
初午や鍵預りの古袴/西山泊雲
朧月鉛の鍵を響かせる/秋尾敏
金色の鍵奉る山開き/神沢英雄
胸もとに鍵の鈴鳴る花衣/井上雪
鶴の棹先頭替るとき鍵に/城萍花
毛衣の男が鳴らす鍵の束/有働亨
鍵をどる自動演奏春隣/山本武司
銀色の鳩舎の鍵の曇りかな/林桂
家の鍵換えて朧の鈴の音/中里行雄
考への鍵をあけたて夕端居/上野泰
特急の冷房効きて帽子脱ぐ/鍵岡勉
留守の戸の鍵を袂や花衣/皆吉爽雨
黒猫と鍵を預る去年今年/諸岡直子
鍵ささぬ木喰堂や蟻地獄/渡辺立男
収穫のあとも鍵掛け葡萄園/檜紀代
鍵倉の雪かゝる松納めけり/万太郎
鍵冶町に古簷ひらふ萩の雨/齋藤玄
抽出しの古鍵いくつ春愁/羽豆英子
鍵束を鳴らし女達に雪解/対馬康子
俳句例:21句目~
朝月夜鍵鳴らし来る窟守/田中英子
教会の大いなる鍵月涼し/有馬朗人
鴨渡る鍵も小さき旅鞄/中村草田男
下に鍵かくして桜草の鉢/木内怜子
夕闇や腰に鎰鳴る門涼み/立花北枝
仏殿を一ケの鍵で閉す冬/古館曹人
鍵穴に鍵差したまま朧月/塩見恵介
鶯や白黒の鍵楽を秘む/池内友次郎
共稼ぐ鍵頒ち合ふ鳥総松/山口英二
冬の雁深夜の鍵を穴に挿す/淵脇護
春晝や大鍵さげて案内僧/皆吉爽雨
堂塔を花へ開けんと鍵の束/川崎展宏
森の家の鍵孔さがす蟇の闇/堀口星眠
悴みし手に残業の鍵の束/長谷川史郊
鍵ひとつ握らせてゐる花の下/今井聖
掛乞は鍵買ひたる負目かな/会津八一
鍵束のそばの荒野で眠りおつ/岡宣子
筒鳥や農夫に托す留守の鍵/堀口星眠
檀の実鍵屋の辻を通り来て/川崎展宏
歳晩の夢のかけらの桃色鍵/横山白虹
俳句例:41句目~
黄落や一人の鍵を持ち歩き/金井典子
返すべき鍵が小箱に星祭/片山由美子
男来て鍵開けてゐる雛の店/鈴木鷹夫
片附かぬ家に鍵かけ石蕗の花/澁谷道
高階で泳ぐ瞳に鍵をさし/八木三日女
春眠や鍵穴つぶす鍵さして/日野草城
鍵穴に鍵の確かさ冬銀河/松倉ゆずる
味噌倉の鍵あづかるや冬籠/会津八一
蛙鳴く闇夜秘仏に鍵を垂り/松村蒼石
霧冷や秘書のつとめに鍵多く/岡本眸
町中や鍵晴れの山近くみゆ/滝井孝作
電鍵守る薄き化粧も逓信日/岸風三楼
鍵置いて遠くの方へ麦の秋/森田智子
夜の秋の鍵鎖す音を憚りぬ/西村和子
天国の鍵わすれたる星月夜/仙田洋子
籾浸し終日昏らき自在鍵/鍋谷ひさの
無住寺の鍵大きめに蕗の薹/角川春樹
胡桃割るこきんと故郷鍵あいて/林翔
ゆく春や一人暮らしの鍵二つ/皆吉司
満月のひかりで探す家の鍵/対馬康子
俳句例:61句目~
復活祭神父の腰に鍵あまた/有馬朗人
裏木戸の鍵壊れをり青木の実/白岩三郎
部屋の鍵ささず出でしが草の花/悌二郎
都わすれ去就の鍵は妻子らに/水口千杖
鍵束のなかの一つが囀れり/佐々木六戈
鍵束の紐を真紅に父亡き秋/神尾久美子
鍵束の鍵みな合はぬ春の暮/沼尻巳津子
野兎とぶ鍵はひと冬火の横に/伊丹公子
鍵束を鳴らす守衛の四温かな/山田弘子
こぞ新生鍵の穴より冬日射す/岩田昌寿
鍵かけし井に春水の滾ぎる音/栗生純夫
浴衣にて鍵をしめをり古物商/川崎展宏
鍵穴の鍵が大和を見ておりぬ/高桑弘夫
湿原を見むためかけし冬の鍵/対馬康子
冬暖くく人焼く竈の鍵を手に/松村蒼石
鍵つ子の鍵下げてゐる夕野菊/中村明子
鍵のある日記長女に買ふべきか/上野泰
鍵をかけ忘れていたり天狗茸/五島高資
この鍵で錠ひとつあく星の秋/池田澄子
鍵をもて導かるるや北風の獄/松村蒼石
俳句例:81句目~
鍵かけてしばし狂ひぬ春の山/攝津幸彦
ひたと閉づ鍵屋の辻の春障子/茂里正治
鍵提げて雨月の校舎見て廻る/真砂松韻
鍵鳴らし一途に老いぬ枯木中/古舘曹人
降り立ちし鍵屋の辻の初時雨/菖蒲あや
万緑へ山小屋の鍵ひびかせり/渡辺桂子
三日月の鍵かけ閉す真夜の岳/福田蓼汀
雪嶺へ通ふゴンドラ外より鍵/大橋敦子
霧冷えや秘書のつとめに鍵多く/岡本眸
典獄の鍵をさくらに預けおく/筑紫磐井
露深し濡れてかからぬ荘の鍵/稲畑汀子
別れ霜鍵っ子の部屋灯りけり/浅利康衛
割箸を差し込みて鍵ごり生簀/茨木和生
啓蟄の鍵を失くした貯金箱/長谷川治子
図書館の鍵ひそと開け震災忌/嶋田麻紀
寒灯にカチリと鍵の合ひし音/毛塚静枝
小鳥来る出港漁夫の忘れ鍵/小野恵美子
蔵開き老いたる母に重き鍵/伊藤由起子
暖房のぬくもりを持ち鍵一房/有馬朗人
月を見る一人住居の鍵掛けて/野崎加栄