ペンに関連した俳句の例をまとめました。
ペンを含む俳句例
ペン皿のうすき埃や花曇/風生
窓拭が来てペンを擱く鰯雲/蓼汀
秋扇校長室のペン皿に/西村三穂子
ペン皿の整理男の年用意/勝原文夫
採点のペンを離さず春惜む/森田峠
原稿紙ペンの遅速に遠蛙/吉屋信子
啓蟄や怒りて折りしペンの先/耕二
ペンに倦む心遊ばす蝿叩/吉屋信子
ペン皿にうすき埃や花曇/富安風生
落第生励ますペンの太く鈍し/林翔
片栗よ夢の母描くペンとなれ/林昌華
校正の赤きペンもつ寒の入/山口青邨
修正ペン滲む憲法記念の日/大森理恵
ペン皿の燈りに光り春近し/内田百間
ペン立てに立錐の余地鳥曇/小宅容義
冬ごもり朝より朱きペン使ひ/岡本眸
指冷えて時流れ去る糊口のペン/林翔
冬鴎わがペン先に来つつあり/皆吉司
引き出しにGペンねむる星祭/穴井太
大雨警報世界ペン大会了る/林原耒井
俳句例:21句目~
夕刊がくるペン皿に繭一つ/菅原鬨也
囀や横に流るる医師のペン/貝瀬久代
ペンだこの手もて仏飯初供ふ/井上雪
鰯雲ペン皿硝子ペンも硝子/田村了咲
ペンの文字右に傾く鳥雲/大竹多可志
採点のペンが凍て又林檎凍て/木村蕪城
教会と枯木ペン画のごときかな/森田峠
春嵐のペン先かわく心の隙/柴田白葉女
ペン先で人めつた切りペン始/木田千女
永き日や蛍光ペンを縦よこに/加藤国子
ペン皿の谷の辺りを羽蟻這ふ/高澤良一
目借時ゆふべのままの紙とペン/井上雪
筆立にいろいろのペン花疲れ/矢村三生
筆談のペン落つ床の寒さかな/竹口十外
ペン先をのぼる睡魔や鳥曇/山元志津香
聖燭の夜をまな妻が白鵞ペン/飯田蛇笏
花時の遠の灯りをペンが享く/木村蕪城
雪女郎恋文氷柱のペンで書く/黒田杏子
ペンうれしペン始め黄の原稿紙/不死男
風死せり板書を写すペンの音/高井去私
俳句例:41句目~
馬つつじ文豪像はペンを持つ/綿引/明
鶏頭やペン先太いペン選び/黒沢美紗緒
行秋のペン措けばある雨の音/山田弘子
ペンだこも小さくなりぬ桜桃忌/福島胖
ペンに執す幾日交互に雪と霜/栗生純夫
宵越しのペン擱く刻や流れ星/富永小谷
ペン皿にたまる夕日や朴の花/木村敏男
拾ひたるペン夏草の匂ひ持つ/牛島玲子
ペンさしてインキ壺あり冬の雲/福田蓼汀
子を肩に夜店のペンの試し書き/長岡貝郎
鶯のあまり近ければペンを擱く/山口青邨
ペン皿のちちろお前も淋しいか/木田千女
ペン胼胝の白く乾きて露伴の忌/赤木真理
ペン胼胝や刑務所桜ほつかりと/寺田京子
寒晴や飛行機がペン先のやう/龍野よし絵
寒林やペン画の中にゐるおもひ/朝倉和江
寒燈を遮蔽して紙上ペン涸れず/渡邊水巴
ペン皿に橡の実ひとつ闇にほふ/西尾照子
彼岸中ペン胝の手のやすらはず/萩原麦草
猫のゐてペン~草を食みにけり/村上鬼城
俳句例:61句目~
暑く睡し機上の床にペン落す/田川飛旅子
春服や青緑のペン胸にあり/竹下しづの女
夏送るペン胼胝ひとつ指に殖やし/樋笠文
ペンだこにつきし白墨年つまる/行方克巳
糧支ふペンにはあらず一葉忌/つじ加代子
ペンの影白紙にありて死を論ず/浅井冬男
金のペン先を買ひ替へ八雲の忌/村上/清
芒野に手慣れのペンを失ひし/上野さち子
十二月と思ひペンとる常のごと/福田蓼汀
惜春やペンの進まぬ日でありし/石川風女
花ミモザ雨の冷あるペン使ひ/前田陶代子
ペン先にゐる冬耕のひとりなり/石川桂郎
凍るペン絶えざる鼠の歯音澄む/岩田昌寿
ペン先の渇きていたる四日かな/宇咲冬男
ペン先の金やはらかき暮春かな/小川軽舟
ペン重し霜月六日雨と書く/阿部みどり女
葛餅や口茶ですますペンを置き/石川桂郎
ペン割れて木枯のあと吼える海/佐藤鬼房
虫の夜の子よりも古き金のペン/坂本宮尾
冬に入る厚き赤絵のペン皿も/上野さち子
俳句例:81句目~
ペン描きの冬木のなかの狙撃兵/滝口佳代
床薄暑滑らせしペン突きささる/宮武寒々
見詰めれば指にペンだこ啄木忌/吉屋信子
頬杖にペンを遊ばす黒セーター/金井/栞
ペン皿にひろひし木の実二三日/吉屋信子
梅雨の机上ペン一本が不逞なり/大山安太郎
今宵またペン凍ることまぬかれず/木村蕪城
どの部屋もペンとメモおき紅葉忌/近藤節子
ねんごろな枯金ペンを寝かし置く/丸山嵐人
ペン胼胝を撫でつつ聞けり法師蝉/芦沢一醒
朝の間のペンはかどるや金見る/堀田千賀子
デッサンのペンをすばやく夏柳/片山由美子
ペン先を蟻に近づけ詩に飢うる/上田日差子
四温かなペン胼胝一つ芽のかたち/成田千空
ペンの走り固しとおもひ行火抱く/臼田亞浪
ペンはしるよりひそかなる雪の音/西島麥南
ペン休む間も芋の葉に露はしり/赤城さかえ
ペン先に小さき陽炎生みつつ書く/加藤楸邨
急須/ペン炬燵の嬶座常に混む/平井さち子
指冷えて柿のかたへにペンを擱く/加藤秋邨