医師に関連した俳句の例をまとめました。
医師を含む俳句例
藪医師や鴬啼いて捨枕/調古
老医師に磧芒のなびく道/龍太
からももの花や医師の一構/暮西
時ぞ医師女子の琴引く郭公/材種
年用意医師は薬とり揃へ/築山能波
町医師や屋敷がたより駒迎へ/芭蕉
垣霙医師の車の小さゝよ/久米正雄
花枇杷や盛衰もなき老医師/隈柿三
医師に草靡く短き日なりけり/直人
肌寒し封閉づ医師の紹介状/平野冴子
囀や横に流るる医師のペン/貝瀬久代
お花畑執刀医師の声に覚む/影島智子
老医師の菊作りして休診日/添野光子
平服の医師に薬臭曼珠沙華/奈良文夫
はつ雪や医師に酒出す奥座敷/炭太祇
節分や鬼も医師も草の戸に/高浜虚子
やぶ入や命の恩の医師の門/高井几董
春光に君見る医師の眼もて/相馬遷子
青柿や医師の偽り妻と聞く/内山亜川
医師へ行子の美しき頭巾かな/炭太祇
俳句例:21句目~
爽やかな一語青年医師信ず/都筑智子
一度は医師ものとはん帰りばな/許六
医師来て医師去りたる青あらし/白雨
事なきと医師の一言天高し/高橋多賀
熱帯診療所の医師未婚なり/中嶋志摩
大綿や医師季石いま手術中/細川加賀
往診の医師の白衣や二月尽/加藤澄子
医師日記俳諧日記二つ買ふ/江本如山
医師迎ふ仔豚の顔や流感期/堀口星眠
医師迫る最大の礼す虹の方/岩田昌寿
町医師や屋敷方より駒迎へ/松尾芭蕉
医師の前春深き躬を隠し得ず/岡本眸
寒灸の後の背さらす医師の前/三島隆英
笑茸食ひしわらひぞ医師の前/白岩三郎
アンペラの夏帽古き医師かな/正岡子規
龍淵に潜む透視図医師と見て/高澤良一
回診の医師ら五月を従えて/佐野とも子
三揃ひ夏服の医師きびしかり/石川桂郎
病医師と病者をへだつ雪の山/三嶋隆英
休診もならず医師の暑気中り/本多美勝
俳句例:41句目~
夏の宵医師の白衣は感傷なし/藤本阿南
病人も医師もしづかに聖戦下/藤木清子
疫痢児の母よ医師は神ならず/藤後左右
夜光虫医師を迎への船おろす/村田眉丈
医師の顔仏めくとき秋日射す/岩田昌寿
春寒し医師招かれて死の儀式/相馬遷子
医師の来て垣覗く子や黐の花/富田木歩
医師来て夢揺すらるる蝉の中/石川桂郎
医師ゐて御僧がゐて河豚料理/岩垣子鹿
春の昼医師は正面向いて話す/高澤良一
医師牧師癩者栗咲く道をゆく/村越化石
死ぬときが医師の停年燕来る/後藤綾子
正月を休む医師となりにけり/水原春郎
炬燵出て医師心となつてゐし/矢倉矢行
灯蛾や医師鮮紅の薬吾に与へ/橋本榮治
医師達の非常階段カンナ咲く/対馬康子
十薬を干し巡回の医師を待つ/伊佐新吉
卯の花や恋する医師の同い年/二村典子
医師招く苺の花のような女児/対馬康子
古傷を医師に問はれし二月尽/大室易子
俳句例:61句目~
早春の水田きらめく医師通ひ/河野南畦
君子蘭咲く老医師の診療所/淡海みゆき
狐診し医師戻るに霰かな/菅原師竹句集
珠と受く医師のひと言菊日和/島村久枝
蚊帳はづし友を医師として迎ふ/及川貞
蜩短し隣家に忽と医師越し来/栗生純夫
術創を美しと医師いふ虎落笛/岡本利英
裏庭に十薬咲かせ医師病めり/衣川砂生
酒ゆるす医師も見えてゆふ涼/高井几董
金孵し雉子を孵して怠け医師/堀口星眠
難病を告知する医師秋立ちぬ/坪井一子
青年医師面輪きりりと医務始/筒井源枝
医師探す知らぬ街角冴返る/加藤知世子
飯蛸で飲む医師は友果報なり/平田直樹
鯛焼の順を待ちをり田舎医師/堀口星眠
古都のどか医師が構へし冠木門/北野民夫
四五人を診て正月の和服医師/下村ひろし
大根を蒔きしやなどと医師同士/堀口星眠
子は医師に委ね家路の霜踏めり/石塚友二
子を走らす医師への丘雪如何に/石川桂郎
俳句例:81句目~
寒卵追ひ来て医師の手に一つ/金子伊昔紅
寒緋鯉医師への言葉整ふる/鍵和田ゆう子
射干や医師に出す舌やゝ巻きて/今村俊三
医師吾に妻がつくりし梅酒あり/川田長邦
待うけて医師にすゝむる甜瓜哉/高井几董
手術後の医師白鳥となる夜の丘/金子兜太
手術日を告げ涼風と医師去りぬ/中嶋秀子
打診する医師の両手の日焼かな/佐藤サヨ
春寒くわが言ふ医師の言葉かな/新明紫明
春暁と思ひ寝ざりし医師と思ふ/相馬遷子
月光や雪眼の医師のとぼとぼと/細谷喨々
梅に問ふ癌ならずとふ医師の言/相馬遷子
湯婆や忘じてとほき医師の業/水原秋櫻子
犬橇を駆る町に一人の医師かな/野村泊月
男泣きの若い医師去る詩人の死/伊丹公子
お互ひに医師として老い旅紅葉/嶋田一歩
若き医師ら集ふに一望の干潟/波多野爽波
ねえ医師毟り取る翅綺麗だから/石川青狼
虫の声医師の額上ミうかゞひぬ/富田木歩
蚊帳はずす静かな音に医師来ぬ/中尾白雨