歌に関連した俳句の例をまとめました。
歌を含む俳句例
己が身の老松唄へ山田守/柿麿
春雨や枕くづるゝ謡ひ本/支考
歌いづれ小町踊や伊勢踊/貞徳
老守衛口あけ歌ふ労働祭/轡田進
大寒の厨に歌ふ数へ唄/栗原菊枝
粟炊いて邯鄲謡ふ男哉/寺田寅彦
椎夏木當麻を謡ふ二重顎/竹中宏
天平の甍を飾り春唄う/和田悟朗
羅のひと墓原に唄ひをり/日原傳
必よあとなる雁が先になる/白雄
歌いくさ文武二道の蛙かな/貞室
年の瀬の男が唄う女謡/鈴木六林男
天井を見て卒業の歌うたふ/本井英
藁打つて男が歌ふ子守唄/中村苑子
夜もすがら噴水唄ふ芝生かな/篠原
山坂にかかりて唄ふ春祭/大石悦子
胎内で唄い踊れり首里の秋/穴井太
極楽の蓮華や唄ふ蛙かな/野村喜舟
春風や船頭唄ひ櫓が軋り/鎌倉啓三
昔は恋し手毬をつき唄ふ/高木晴子
俳句例:21句目~
廃校に唄ふ鵤や月日星/水木なまこ
第九歌ふ誰も明眸瞠きて/高澤良一
春眠に遠きラジオの唄ひをり/近藤君
桜散る闇より老婆唄いだす/恒成/巧
歌うたひつゝ新妻や蒲団敷く/森田峠
水芭蕉讃歌唄うて湧水過ぐ/高澤良一
つまだちて卒業式の歌歌ふ/清崎敏郎
目を遠くこきりこ唄ふ秋灯下/朝妻力
正月の音なき金鉱山羊歌う/原子公平
着流しの兜太が唄ふ盆の唄/石川文子
砂取節唄ふ翁の着ぶくれて/坂/北濤
虹立つや狂女の唄ふ唄悲し/稲畑汀子
行々子田夫野人の唄うたふ/高澤良一
踊り明し唄ひ明して風の盆/福田蓼汀
鯛網の漁師真白き歯で唄ふ/渋谷亮子
おちぶれて関寺謡ふ頭巾哉/高井几董
眠る山眠らせ歌ふ子守唄/永峰久比古
しきたりの鶴亀謡ひ謡初/小竹由岐子
息吸うて謡ひ出でたる能始/岩田由美
卒業歌えよ励めよとピアノ鳴り/原裕
俳句例:41句目~
能役者亀鳴く如く謡ひ出づ/岸本尚毅
稲積むや啄み足りて鶏歌ふ/石井露月
竹となりつつ筍の歌ひをり/矢島渚男
語り傅へ謡ひ傅へて梅若忌/高濱虚子
花梓引寄せて歌いや遠し/加藤知世子
虫歌ふ壷中の秋も既に尽く/林原耒井
豊年の新車脇引き老の歌ふ/石川桂郎
妻恋の歌いま欲しし星祭/後藤比奈夫
雨よ馬追と秩父鉄道員歌う/阿部完市
コキリコを唄ひ健在炉の主/清水諄子
風の盆恋を唄いて俗ならず/福永鳴風
一息に唄ひ切らねば風の盆/高澤良一
人の世の哀れも唄ひ年忘/田上一蕉子
嘴上げて唄ふ瑠璃鳥軽井沢/伊藤敬子
夕顔や投節唄ふ納屋のうち/角田竹冷
夜濯の婢女唄ふローレライ/吉屋信子
山茶花やだれかが唄い斉唱に/峠素子
昔日は恋し手毬をつき唄ふ/高木晴子
春炉燃ゆ唄ふ人減る三国節/小池和子
思ふことなげぶし歌ふ小春哉/正岡子規
俳句例:61句目~
男娼の唄うシャンソン巴里祭/加藤静子
山火事に蔵戸ほのかや鶏謡ふ/飯田蛇笏
君謡へ打初せんといひしこと/高浜虚子
なんとなく淋し金の歌うたひ/行方克巳
ほがらかに唄ひ奥能登遅田植/中山純子
一人唄ふ一つの歌の手毬唄/池内友次郎
遠足やひとり唄へばみな唄ふ/今津貴尉
踊り尽き唄ひ尽きたる熊祭/椎名智恵子
蟋蟀の今は流行らぬ唄うたう/黒木悦子
メーデー歌うたふ踵に力こめ/菖蒲あや
熊除けに歌いて夏の岬行く/吉岡さち子
蓮掘りの己れ励ます唄うたふ/松永昭子
雪に興じ自在の竹を叩き謡ふ/中川四明
ジャズ唄ひ乍ら菠薐草洗ふ/樋口玉蹊子
十一月古きビートルズが歌ふ/中村明子
向きあふて歌ふ二つの蛙かな/正岡子規
王氏歌ふ招魂祭の花火鳴れば/西東三鬼
髪洗ふ夜の羅馬びと歌ひ過ぎ/小池文子
背の子は空見て唄ふ蝗捕り/加藤知世子
夕涼み人あり屋根に詩を歌ふ/星野麦人
俳句例:81句目~
直立で老歌手唄ふ子供の日/今村きよし
妻居ねば子よ夕焼の歌うたへ/山口草堂
子供等の歌うて来るや杉の月/野村泊月
磨げばたちまち水歌ひ今年米/山仲英子
次の間に唄ひ女の泣く夜長哉/正岡子規
老妓一子に背かれ唄ふ晩春譜/近藤一鴻
手毬唄上手につけぬ子が歌ふ/松田美子
手鞠唄子守りの唄として歌ふ/柴田奈美
春の夜の讃美歌歌ふ男女かな/正岡子規
春の虹坂は自転車の上で歌ふ/石川桂郎
春一番歌ひ出したる地球かな/仙田洋子
校歌まだ歌えるふしぎ秋夕焼/渡邊禎子
竹伐りの酔うては唄ふ声優し/鈴木鷹夫
四高寮歌うたひ焚火の媼かな/松下信子
秋曲浪あゝ偉いなるもの歌ふ/林原耒井
歌ひ女と名に歌はれて夏痩る/寺田寅彦
子にだけは唄ふ父なり青葡萄/能村研三
ちやつきらこ青き汀も遠唄ひ/野澤節子
水仙をとりまく青は歌ういろ/鎌倉佐弓
我が唄ふ守唄淋し夜半の秋/山家和香代