俳句例:101句目～
藁ぼっち羅漢の如く並びをり/井川伸子
滴りの羅漢の膝を濡らしをり/吉田静穂
日焼して笑ひ羅漢と向ひ合ふ/広瀬直人
憩えよと五百羅漢や秋の蝶/角田恵美子
煤掃や羅漢の杖も一はらひ/五十嵐播水
風化して羅漢に秋思秋語なし/高橋秋郊
巌窟の羅漢どもこそ寒からめ/夏目漱石
五百羅漢ひとり抜け出て落葉焚/田村恵子
五百羅漢御灯明は松の花なりし/渡辺恭子
北山のしぐれは雪に泣き羅漢/豊長みのる
十六夜に五百羅漢のひしめける/岡田泰成
夏負けて五百羅漢の端に坐しぬ/奈良文夫
寝そべるもをりて四温の百羅漢/大井戸辿
笑ふ羅漢の大音響の中の蚊よ/猿橋統流子
羅漢どち夜は露けき石とならむ/福永鳴風
羅漢ども己れ見詰むる油照り/加藤知世子
蚋打つて意中の羅漢うしろにす/水野輝枝
羅漢みな秋日失せゆく目が凄惨/加藤楸邨
羅漢堂静かに懐炉利いてきし/八木千代子
羅漢寺の竹伐ることを許されし/原田耕二
俳句例:121句目～
木の実降る羅漢仏はうつむきて/松本久子
羅漢笑ふにわれら黙せり秋の暮/吉野義子
羅漢親し露のわが身を近づけて/渡辺恭子
涼しさうな羅漢熱さうな羅漢哉/正岡子規
自画像のごとき羅漢や華鬘咲く/山口苔石
落葉被て人目に隠る泣き羅漢/八牧美喜子
うつ伏して泣ける羅漢や残る虫/森田君子
藤の蔓羅漢を指してゆれてをり/下村槐太
藷の蔓羅漢を指してゆれてをり/下村槐太
蛙聴くわれに羅漢のあばらぼね/古舘曹人
蟻出づる笑ひ羅漢の頤のひび/小間さち子
うらゝかや写楽顔して泣き羅漢/河合未光
阿羅漢のあとついてゆく二日月/奥山芳子
阿羅漢の笑ひすぎたる寒さかな/斎藤梅子
ででむしの迂闊や片目羅漢攀づ/桂樟蹊子
みな違ふ羅漢の面輪冬に入る/清水みさ江
上元や膚てらてらと胡座羅漢/下村ひろし
五百羅漢の眠り覚すや木下闇/鈴木久仁江
五百羅漢の笑顔恐ろし冬の昼/大高芭瑠子
羅漢寺の障子あきをり薄紅葉/高橋淡路女
俳句例:141句目～
笑ひこらへし叱り羅漢や母子草/福田万紗子
亀鳴くや羅漢の耳うち聞きとれず/田中水桜
やや寒し蝶が羅漢の目をふさぐ/本田ひとみ
かげろひの笑ひ羅漢となりたまふ/奥田節子
著莪咲いてかくれおはしぬ泣羅漢/椎橋清翠
春雪拭へば我も吾もと羅漢たち/山田みづえ
羅漢一つすねし顔して梅雨の底/小松崎爽青
樫の実の落つる羅漢のみぎひだり/秋篠光弘
よく来たと五百羅漢がみんみんが/中里晶子
寝羅漢を起こしに来たる石叩き/小笠原掬江
羅漢一体につくき人に似て寒し/鈴木真砂女
春著着て五百羅漢のつむり撫で/深見けん二
吾も石か露の羅漢にとりまかれ/田畑美穂女
十六羅漢に夏なだれゐる日本海/河野多希女
猫じやらし羅漢の腰をくすぐるか/中井一木
頭照りつつ己れ涼しき羅漢たち/柴田白葉女
羅漢堂春の松毬ころげたる/吉武月二郎句集
五百羅漢の一体と化し涼みたり/奈良比佐子
羅漢ども見て来たる夜のぬかご飯/木村三男
五百羅漢に揚羽巡礼くりかへす/きくちつねこ
俳句例:161句目～
ほろ酔ひの羅漢を百舌が来て叱る/平井さち子
羅漢寺の秋を惜しみてふりかへる/秋野寿々喜
おはぐろ蜻蛉とんで羅漢の笑まひ顔/橋本榮治
父惚けず死なず羅漢に降る木の実/相川玖美子
秋刀焼く羅漢のごとき吾が貌見よ/田中午次郎
泣き羅漢の泣き止むを待つ赤のまま/小島千架子
沙羅もみぢ子負ひ羅漢の子は寝落つ/平井さち子
児抱く羅漢に触れし痛みや春寒く/鍵和田ゆう子
膝抱て羅漢顔して秋の暮/一茶/文政二年己卯
五百羅漢に一と世の相あり落花の雪/鍵和田ゆう子
ゆらゆらと羅漢柏や青蛙/竹の門句集/筏井竹の門、木津螢雪編
