瓦に関連した俳句の例をまとめました。
瓦を含む俳句例
牡丹の棟瓦より夕燕/西本一都
瓦焼く赤土の山初霞/杉町直路
瓦師の端削く音や桐の花/龍男
鐘樓の瓦に露の葎哉/寺田寅彦
雀の子瓦一枚ふんで見る/大魯
きり~す竹の瓦や普請前/車庸
定紋の土止め瓦や竹の秋/一都
九月尽瓦漸く鋭き色に/上村占
蕣の油ぞ瓦灯明けにける/調鶴
荒庭や瓦西行く富士の秋/調機
月光の連銭波の瓦かな/上野泰
擲てば瓦もかなし秋のこゑ/蓼太
犀川や黒き瓦のはだら雪/井上雪
方丈に寄進の瓦花蘇枋/三原清暁
麦秋や火のあそび出る瓦窯/静塔
大栗や瓦に零て居り得ず/麻夕/
春の雨瓦の布目ぬらし去る/綾子
炎天や瓦をすべる兜虫/室生犀星
遠景の瓦を濡らす脱落者/穴井太
連翹や茶室の棟の赤瓦/中川四明
俳句例:21句目~
瓦色黄昏岩蓮華所々/芥川龍之介
麦秋や石州瓦野に低き/松岡英士
冬欅瓦よき屋根谷向う/川崎展宏
漆黒に光る瓦や梅三分/畠山美緒
冬萌や色深くして能登瓦/岸田稚
猫柳遠州瓦色寂びつ/八木林之介
葺きあがる瓦千枚花曇/廣瀬直人
晩夏なり瓦に雨の痕黒く/石嶌岳
お隣の瓦飛びくる鎌鼬/佐藤重子
出兵や乾いて寒い屋根瓦/秋尾敏
観音へ瓦寄進や菊供養/阿片瓢郎
秋遍路瓦一枚寄進せる/室谷幸子
城趾の菊に硯の瓦かな/正岡子規
秋桜寺に寄進の瓦殖ゆ/水野やゑ
名月や墨摺くだす古瓦/加舎白雄
月白し洞雲院の屋根瓦/藤野古白
名月や菊の御紋の丸瓦/正岡子規
山風のいま青嵐瓦切る/宮坂静生
生マ瓦千枚土臭種鶏頭/野澤節子
瓦茸新茶の筒と枕べに/石川桂郎
俳句例:41句目~
小家がち瓦の屋根と橙と/川崎展宏
小春日や瓦船行く須磨の浦/佐藤忍
屋根瓦光るかそけさも秋の雨/誓子
山桜瓦葺くものまづ二つ/松尾芭蕉
新米や瓦硯をとりいだし/野村喜舟
日に光る寺の瓦や遠ざくら/上村占
春もやや瓦瓦のはだら雪/室生犀星
春宵の窯燃えつらね瓦村/三好潤子
本堂の瓦はがれし野分哉/寺田寅彦
つやつやと梅ちる夜の瓦かな/樗堂
東大寺瓦出でたり草の花/長谷川櫂
燕来て瓦のうすき伏見かな/飴山實
瓦やく烟にむせて啼くうづら/許六
三人の童女を照らす冬瓦/永島靖子
伝説を掘り生暖かき赤瓦/和田悟朗
瓦屋根波も静に初日かな/尾崎紅葉
瓦師の端削く音や桐の花/永井龍男
瓦打つ雨は序の口颱風来/高澤良一
瓦窯一日休み稲を刈る/中戸川朝人
砧打つて都の月ぞ瓦屋根/尾崎紅葉
俳句例:61句目~
冴ゆる夜の瓦音ある礫かな/碧梧桐
冷やかな瓦を鳥の遠近す/夏目漱石
能登瓦越えて舞ひけり浪の花/林徹
初雪の瓦屋よりも藁屋哉/正岡子規
花供養瓦寄進を吾もせん/中田余瓶
菫野に士竜のあげし瓦哉/加舎白雄
台風に瓦浮きたり日吉館/志賀松声
名月や寺の二階の瓦頭口/正岡子規
落ち瓦つまれて伽藍雪解かな/爽雨
西陣の低き瓦や冬に入る/那須淳男
土筆野に作州瓦並べ干す/鈴木妙子
在五忌の寄進瓦に女文字/太田/暁
城下町瓦光りて夏めきぬ/宮口征子
逝く秋や萬の瓦の東大寺/椎橋清翠
雪ぐれや接骨院の黒瓦/中戸川朝人
雪しろと照り教会の青瓦/伊藤京子
雪悲しいつ大仏の瓦葺き/松尾芭蕉
鴨引くや昔瓦の野郎葺/八木林之介
天壇の遅日の空の瑠璃瓦/福井圭児
家紋打つ三州瓦寺の秋/吉野恵美子
俳句例:81句目~
寿福寺に瓦屋のゐる秋日和/下田稔
低き瓦低き瓦鯛売られけり/永島靖子
瓦職人仲秋の空一人で占め/福岡浪子
かげろふや破風の瓦の如意宝珠/許六
きさらぎや布目瓦に銘一字/鹿島静子
彼岸御堂百年寄進瓦乞ふ/百合山羽公
鬼は遺り鬼面瓦は愛蔵す/百合山羽公
瓦落ち軒の蓬も飛びにけり/寺田寅彦
ことごとく寄進の瓦花の寺/長谷川櫂
年の市瓦寄進に附きにけり/野村喜舟
ぬけ落る瓦のおとや五月雨/橘田春湖
鰯漁すみて瓦を焼きはじむ/水谷晴光
一枚の梅雨の瓦の雨跳ぬる/倉田紘文
夕焼の瓦冷えびえ波をたゝみ/上村占
破瓦うづ高うしてきり~す/寺田寅彦
梅雨いよよ瓦煎餅にぞ来たり/辻桃子
冬潮に石見瓦の照るを見よ/中村汀女
立浪を瓦当に並べ蜜柑村/中戸川朝人
紋入りの瓦積む縁蟻地獄/小路智壽子
無住寺の瓦のずれし涅槃吹/岩井三青