櫓に関連した俳句の例をまとめました。
櫓を含む俳句例
本丸の櫓普請や青嵐/寺田寅彦
流燈を送るは肉を櫓とし/齋藤玄
南座の櫓仰がず寒念仏/山田桂梧
十一月祭京大に櫓建つ/田井洋子
傘櫓甲突川は火の如し/塩川京子
洗はれて櫓櫂細身や注連飾/林火
うち仰ぎ石川門は花櫓/高橋睦郎
盆踊終り櫓に灯を残す/池田秀水
槻に結ふ芝居櫓や夷講/堀口星眠
雪代の猛るに花見櫓かな/辻桃子
蚊の声や太鼓櫓のくづれ口/許六
つばくらの矢返り早し角櫓/素丸
初午や火見櫓の下稲荷/中川四明
夷講近づく提灯櫓組む/山本馬句
初嵐櫓の足場崩れけり/正岡子規
藻の花や白壁落し角櫓/正岡子規
烏帰る櫓に二十六夜神/古舘曹人
花海桐群監視の櫓組む/脇坂啓子
有明の花静かなり角櫓/正岡子規
船に組む櫓より吹く津島笛/久保武
俳句例:21句目~
大太鼓担ぎ上げたる盆櫓/古市文子
踏青や城は櫓を残したる/下村梅子
翌朝の踊櫓を犬が嗅ぐ/鳥居美智子
燈台は砂上の櫓蟹寄せて/古舘曹人
廃坑の山消し櫓消して霧/井上蘇柳
秋袷火の見櫓の鐘しづか/飯田龍太
故郷は火の見櫓と空つ風/児玉岳陽
春寒き炬燵櫓を握りけり/会津八一
春水のくらきに映る城櫓/京極杞陽
祭壇は櫓の上に角切り会/鈴木青扇
春風や船頭唄ひ櫓が軋り/鎌倉啓三
石膏の固まりつつぞ貝櫓/岡井省二
時鳥なくや木の間の角櫓/中村史邦
藻の花や白壁落ちし角櫓/子規句集
袖櫓つたひに夏の蝶荒し/後藤夜半
角櫓より寒雀こぼれ落つ/渡辺彦陽
角櫓明るく見ゆる初句会/原山英士
隅櫓釣瓶落しを支へをり/澤田緑生
鰯雲火の見櫓の残る村/高橋日出美
初場所や鴎来て舞ふ高櫓/新井徳子
俳句例:41句目~
檜皮葺して櫓門苔の花/外久保南城
初霜や鯔待ち櫓に鶫群る/前/孝治
千姫の化粧櫓が花こぼす/萩原麦草
千姫の化粧櫓や笹子鳴く/谷中隆子
土俵櫓菊の香蘭小学校/中戸川朝人
玉取祭櫓に宝珠高く吊り/石谷秀子
木の末に櫓見えけり水練場/正岡子規
老鶯や八洲見ゆる城櫓/長谷川零餘子
うす暗く踊櫓の仕上がれる/吉井幸子
およぎつゝうしろに迫る櫓音あり/貞
すみの江に高き櫓やおぼろ月/炭太祇
秋めくや三番櫓見上ぐれば/井上秀子
秋の浜見張櫓にからす鳴く/山田節子
石蕗の黄のいまも櫓へ隠道/古館曹人
盆過ぎの櫓解きゐる蜑の声/荻原芳堂
枯蓮やくづれかゝりし角櫓/寺田寅彦
櫓田を犬は走るや蛙を行く/高濱虚子
二丁櫓や初松風の綴るなか/池上樵人
井戸掘る櫓をちこちの春/小酒井不木
内浦の波のやさしさ鯔櫓/滝沢伊代次
俳句例:61句目~
栗の花散るや櫓端の古菖蒲/小川牛里
櫓に変へるまでの水深芦の花/長田等
春禽を溜め湯櫓の前の寺/中戸川朝人
春風や巨燵櫓のよそよそし/正岡子規
盆櫓解く清め塩身に打つて/吉田初江
潮くれて櫓臍なだむる漁始/小早川恒
櫓組む寺や火攻の鬼やらひ/富田潮児
井戸掘りの櫓を組めり鳥雲に/坂内佳
初漁や櫓臍に盛りし浄め塩/鈴木夢亭
朝日まづ火の見櫓に鵙高音/福田蓼汀
櫓の声波を打つて腸氷る夜や涙/芭蕉
葉櫻の櫓をのぼることも旅/古舘曹人
初戎櫓櫂を雪にねむらせて/中村翠湖
盆櫓組む校庭に神酒を撒き/高萩弘道
虫ぼしのすゞしさかたれ角櫓/炭太祇
凍つる夜の櫓に垂らす女帯/加藤耕子
蜀魂なくや木の間の角櫓/中村史邦/
蜥蜴這ふ遺跡の物見櫓かな/山本麓潮
春場所や櫓太鼓に揺るる天/町田一雄
見上げ行く芝居櫓や日の盛/野村喜舟
俳句例:81句目~
小綬鶏や物見櫓は靄に泛き/児玉道子
火見櫓曇天を冬の刻移る/中村草田男
大屋根の「櫓烟出」遅日かな/及川貞
郭公や烏城にのこる角櫓/水原秋桜子
銃櫓まで攻めて火の蔦もみぢ/岬雪夫
春暁の枕いでゆく櫓音かな/佐々木咲
冬雨に炬燵櫓をはたくかな/室生犀星
青鷺の塒となれり櫓山荘/神田美穂子
顔見世の一つ残りし櫓かな/正木茂次
顔見世や櫓の月も十五日/水原秋櫻子
風やめば櫓が映り鴨の濠/後藤比奈夫
馬具櫓太鼓櫓と落葉掃く/相原左義長
櫓いま故老笛とる踊らめや/皆吉爽雨
鶏頭の小火出す火の見櫓下/高澤良一
鼓うつ櫓古めく踊かな/長谷川かな女
あくる日は虫の声寄る櫓かな/若井新一
くだり吹く鰡待櫓過ぎてより/斎藤史子
不二見えて火の見櫓の涼み哉/正岡子規
不知火や櫓臍のきしむ父の海/中村石秋
冬の月火の見櫓にかゝりけり/寺田寅彦