俳句例:101句目~
初亥詣今年の厄を払ひけり/大月春天子
初大師なほ後厄をねがひけり/籾山梓月
初護摩の炎に厄を投じけり/歌川雅秋子
総身に火の粉を浴びて厄落す/辰巳秋冬
十畳の草鞋踏んまへ厄払ふ/折井ふじ子
厄のもの落ちゐて浜は休/宇津木未曾二
火を叩き火を叩きゆき厄落す/塩川雄三
厄の年尋常に地蟲出でにけり/田中裕明
厄人形両手上げても雪詮なし/太田土男
誰が為の厄坂の銭踏む遍路/大山クニ子
賓頭蘆に負はす身弱の妻の厄/西本一都
厄塚に火の色変へしものは何/二塚元子
厄塚に火を移すとき鬼魅乱舞/宇田零雨
厄払ひ女あるじに呼ばれけり/岡本松濱
厄払来ずなりてより年久し/瀬戸口民帆
厄落したる男のおろおろす/瀧澤伊代次
厄落し来し表情となりしかな/稲畑汀子
厄落し赤ふんどしを落しけり/高須稲村
厄落す絹のつめたき襟かざり/田中裕明
髪切つて還暦の厄落しけり/築山八重子
俳句例:121句目~
毛皮着て如何なる厄を落す人/後藤比奈夫
ふるさとに戻りて厄を落さばや/吉井莫生
酒よよとこぼして厄を落しける/宇田零雨
つまづいて厄落しけり昼の月/小島千架子
闇のいまうながす厄を落しけり/皆吉爽雨
中将湯の女のまなざし厄落し/平井さち子
燃えつきしものを哄ひぬ厄落/吉本伊智朗
この永き風邪もつて厄落すべし/細川加賀
厄払ふ酒のちからも借りにけり/寺田善樹
火酒をもて咽を焼きたる厄落し/能村研三
雨やんで下駄はいて行く厄詣/やしま季晴
無事厄を終えし破魔矢を炎とす/川端静子
厄落あをきもの欲しほしと思ふ/田中裕明
一難の去りけり厄を落しけり/徳永山冬子
猛火にて般若波羅蜜多厄を絶つ/平畑静塔
厄払ひきて木屋町に待ち合はす/吉年虹二
厄塚や水引かけし一とたばね/野村くに女
大焚火かこみて漁夫の厄落し/桑原れい子
厄塚へ一寸拝んで捨つるもの/池内たけし
厄塚に一寸拝んで捨つるもの/池内たけし
俳句例:141句目~
朱のコート着て大厄を振り落す/御崎敏江
一の酉もまれて厄を貰ふまじ/大木あまり
落す厄もう無くて焼く目刺かな/田中英子
厄落す火の粉とび散る雪の上/福田甲子雄
寒明のけふ酌みまけて厄もなし/森川暁水
零余子摘む女の厄もたうに過ぎ/勝又春江
厄今な女流を抜いて入れてかな/筑紫磐井
厄落しして来てふれず相逢ふも/清水基吉
厄落しきて木屋町に待ち合はす/吉年虹二
訪はねども厄出て会釈名草の芽/星野立子
厄はらひ余りに下手もおもしろき/言/左
出し抜けに尻を打たるる厄落し/福永京子
佞武多舟厄もろともに流さるゝ/柏木農人
折る膝に冷えのつたはり厄落し/伊藤麦城
大厄のもうなき齢灼けはじむ/野見山ひふみ
火の粉浴び火屑を踏みて厄落す/萩原十三枝
烏賊焼きを啖ひぬ厄の落ちたるか/宮坂静生
厄捨つるひそかなるもの手を離れ/皆吉爽雨
燃え陥ちし厄塚をがみ下山かな/中尾夢六郎
厄塚のいつとはなしにうづたかし/岡田蘆村
俳句例:161句目~
厄塚に過去をぽんぽん投げ入れる/山戸暁子
厄塚のけぶりそめたる木の間かな/岸風三楼
厄捨てし戻り声するめでたさよ/阿波野青畝
一人来て一人待ちゐる厄落し/丸山ひろあき
厄まけのことしうたてや木の葉髪/増田龍雨
蝉なくや諳厄利亜牡丹ゆるるほど/日夏耿之介
人に逢ふ顔さりげなし厄落し/吉武月二郎句集
身につもる諸厄落とさんすべもなし/富安風生
そこらぢゆう落ちゐる厄を嗅いで犬/波多野爽波
知らんぷりして闇の部分に厄落とす/加賀谷巳左男