俳句例:101句目~
仔猫眼をひらきて花卉の露あさき/石原舟月
四つ足の堪へるあゆみの仔猫かな/藤後左右
土に下ろされて仔猫の尾が立ちぬ/山本洋子
虹消えゆく仔猫一匹いりませんか/鮫島康子
棄仔猫モーゼと名付け育てしと/田川飛旅子
大地怖れて這へぬ子猫を嘲る子等/河野静雲
拾ひ来し子猫の三毛はよごれ居る/高木晴子
日日草子猫可弱くあそび居る/長谷川かな女
親とゐてはらから多き子猫かな/山口波津女
明るさの這ひくる方へ仔猫這ふ/中村草田男
親の胸毛に埋もるる子猫の一つは/喜谷六花
解き捨てししごきの中の子猫かな/野村喜舟
泣き虫の子猫を親にもどしけり/久保より江
流れゆくものを啼き追ふ捨仔猫/加藤知世子
貰はるゝまでの仮の名子猫たち/上野白南風
猫の子に抱くより早く鳴かれけり/橋本榮治
人見知りせぬ仔猫から貰はるる/ねこやなぎ
猫の子のざれて臥しけり蚊屋の裾/中村史邦
猫の子のなくくさむらや秋の雨/金尾梅の門
猫の子のなつくいとまや文づかひ/飯田蛇笏
俳句例:121句目~
猫の子のひとり遊びを見てひとり/細川加賀
猫の子のみな這ひ出でゝ眠りけり/鈴木花蓑
子に泣かれ子猫に啼かれ負けにけり/河野美奇
アノラックふくらみゐしは仔猫抱く/大島民郎
死者とわれあひを子猫のぬくぬくと/橋本榮治
次の間がありて仔猫の道はなし/長谷川かな女
ふるへつつ子猫貰はれゆきにけり/桂川美穂子
抱き上げてみし猫の子の軽きこと/松浦由美子
ひとを待つ間に猫の子に名を授け/宇多喜代子
子猫啼くうすももいろの口あけて/今井千鶴子
生れてすぐ猫の子として闇を見る/鈴木六林男
子猫ねむしつかみ上げられても眠る/日野草城
子猫すでに馴れたる家に馴染めずに/田中英子
猫の子のつくづく視られなきにける/日野草城
蕗の葉に糸を引く血や子猫居ず/長谷川かな女
子猫くれに薄暑のバスに身を揺られ/田中英子
子らの世は子猫もわらふことありき/加藤秋邨
蝦夷菊に渦巻いて寄る子猫の尾/長谷川かな女
猫の子のつくづく見られなきにけり/日野草城
眼があいて捨つべき子猫なかりけり/岩田幸子
俳句例:141句目~
眼つむりて親のそばなる子猫かな/山口波津女
見るだけのつもりが子猫貰ひ来し/今橋真理子
スリッパを越えかねてゐる仔猫かな/高浜虚子
猫の子と通夜の僧侶を迎へに行く/福田甲子雄
猫の子のもらはれていく行く袂かな/久保より江
地に下りて浮足踏める仔猫かな/吉武月二郎句集
仔猫等に宙ひびかせて颱風来る/赤城さかえ句集
梅雨夜仔猫の諸声ひしめく一息毎/赤城さかえ句集
脱ぎ置きしエプロンに仔猫いつもゐる/小間さち子
猫の飯相伴するや雀の子/一茶/文政六年癸未
つけてやりし鈴ふりならす子猫かな/久保田万太郎
爪もあつて仔猫は猫となりつつあり/長谷川かな女
西もひがしもわからぬ猫の子なりけり/久保田万太郎
猫の子のほどく手つきや笹粽/一茶/文政四年辛巳
猫の子の命日をとぶ小てふ哉/一茶/文化十三年丙子
猫の子のくる~舞やちる木のは/一茶/文政三年庚辰
猫の子が蚤すりつける榎かな/一茶/文化十二年乙亥
猫の子や秤にかゝりつゝざれる/一茶/文政元年戊寅