俳句例:101句目～
二度寝して主婦のわれあり春の雨/下村梅子
京菜撰りて主婦に戻れり調律師/村上千鶴代
わらびざわめき主婦の顔になる/雨宮きみ子
主婦らしくなりぬ苗木の市に来て/喜成緑水
豌豆の実のゆふぐれに主婦かゞむ/山口誓子
走馬灯まはりて主婦の起居かな/副島いみ子
自炊子も師走の主婦の渦にをり/黒坂紫陽子
木餅に主婦のなさけをかけ通す/山口波津女
青葉被て今日主婦でなく妻でなく/松木真沙
冴え返るの眼におしなべて主婦/殿村菟絲子
冬すみれ往きは日が透く主婦の籠/友岡子郷
榾火熾んにみごもる主婦の顔つよし/宮武寒々
坪内氏、おだまき咲いて主婦を抱く/坪内稔典
ある日子が主婦の座につく梅二月/篠田悌二郎
炭豊かなるとき主婦の眼かがやく/山口波津女
眠るのみにて主婦の風邪癒ゆるかな/吉野義子
竜胆の湖いろ主婦になりきれぬ/鍵和田ゆう子
夕顔や父母の意にそひ只の主婦/小松原みや子
主婦として梅雨明を待ち佗びてをり/山田弘子
短日をなげかぬ主婦はなしと思ふ/山口波津女
俳句例:121句目～
主婦にあるひとりの自由暖炉もゆ/成嶋いはほ
主婦のよろこび鰊干す針金があつて/細谷源二
金買はず主婦らいづれも豪のもの/波多野爽波
主婦の日は続きのつづき柚子をもぐ/中村明子
南瓜出盛り主婦らの群に妻を加ふ/磯貝碧蹄館
主婦ら出て小溝さらへりあたたかき/石塚友二
主婦多忙つくつく法師鳴きはじむ/阿波野青畝
水ぬるむ主婦のよろこび口に出て/山口波津女
花なき冬主婦が首出すわが太鼓へ/磯貝碧蹄館
主婦たゝら踏むメーデーやヒロシマに/沢木欣一
主婦たたら踏むメーデーやヒロシマに/沢木欣一
山茶花や主婦のしるしのエプロンを/波多野爽波
秋風やかかと大きく戦後の主婦/赤城さかえ句集
夫へ貌出し軽トラックの主婦運転手/五十嵐研三
べたべたと咲く山つつじ主婦の旅/鍵和田ゆう子
ひらがなの会話主婦らに薔薇芽張る/鈴木蚊都夫
連絡船より主婦等出ずオートバイ殘し/金子兜太
主婦の手提にキャベツと雑誌湿りあふ/津田清子
一輪の百合挿し主婦の暑気あたり/阿部みどり女
除夜の湯へ主婦の胴冷えきつて来る/榎本冬一郎
俳句例:141句目～
主婦のわれ風邪もひかねばならぬらし/下村梅子
青田車窓によどみなく沿ひ主婦の旅/平井さち子
炭掴み主婦のよろこびここにもあり/山口波津女
日に焼けし手くびに輪ゴムそんな主婦/京極杞陽
主婦に澄む火と水森に枯れはじまり/神尾久美子
主婦病みてかびはいよいよはげしかり/山口波津女
からたちの芽張りし空澄み主婦を忘れ/河野多希女
濯ぎしあとつばめを見ねば主婦さみし/神尾久美子
歳暮の街の灯基地の主婦の目つきまとう/栗林一石路
メーデーの主婦の群列逞しき/和田博雄「冬夜の駅」
主婦等涼し二の腕ゆたかに寄り集い/赤城さかえ句集
紅花や化粧を直しに行く主婦ら/D/J/リンズィー「むつごろう」
隣人の通夜にさそひあふ主婦たちのいきいきと夜の道に笑ふこゑ/田谷鋭
