死顔に関連した俳句の例をまとめました。
死顔を含む俳句例
間断の妻の死顔白菫/斎藤玄
低鼻の死顔寒夜昇天す/津田清子
硝子戸に夏山睡り父死顔/中拓夫
死顔は人の輪の中鰯雲/古舘曹人
春の川雲の死顔流れくる/橋本渡舟
色白き死顔を置く春の家/桑原三郎
死顔のほのともゆれず星月夜/秦夕美
死顔が満月になるまで歩く/平井照敏
死顔のよく知つてゐて花盛り/松澤昭
死顔に涙の見ゆる寒さかな/大野林火
死顔に眼鏡ありけり法師蝉/飯田龍太
死顔の妻のかしづく深雪かな/石原八束
ひとよりも死顔のよき鰤一尾/平井照敏
死顔の寝顔を捉え月が射す/林田紀音夫
児の死顔端正と見つ藤の花/中塚一碧樓
死顔の見たる山河は枯か否か/藤田湘子
死顔を逸れて夢なす木瓜の花/和田悟朗
山茶花や死顔の又ありありと/岸本尚毅
死顔撫ぜていとしむ指の皺深し/高島茂
明治女は死顔緊まる雪明り/加藤知世子
俳句例:21句目~
昔から死顔でいるばったかな/四ツ谷龍
死顔のうすばかげろふ歩くなり/齋藤玄
死顔のやすらかなるや雪明り/近藤一鴻
師の死顔花に遊べる童女めく/和田耕三郎
死顔のなほ人に逢ひ葬られず/林田紀音夫
死顔のおぼろおぼろと花のいろ/向井去来
死顔がうづもれてゆく秋夜かな/萩原麦草
死顔の写真いでゝ紙かくれたり/渡邊水巴
父の死顔そこを冬日の白レグホン/森澄雄
死顔や林檎硬くてうまくて泣く/西東三鬼
花ひひらぎ寝顔死顔にはあらず/野澤節子
鏡中にふしぎな死顔と白牡丹/宇多喜代子
寒紅を引きなつかしやわが死顔/恩田侑布子
屏風ともり姑の死顔に手を仕ふ/柴田白葉女
死顔に化粧する紅が見あたらない/小澤武二
昆虫のねむり死顔はかくありたし/加藤楸邨
雁のあと死顔もつとも母が見る/神尾久美子
死顔に蚊がとまる何として死にし/栗林一石路
死顔の母の枕辺を起ちさて人寄せの事/栗林一石路
死顔にもの云えば悲し死顔にもの云わず/橋本夢道
俳句例:41句目~
もう吸う血がない死顔を蚊がはなれゆく/栗林一石路
さびしかつた生涯の死顔に化粧してさむき/栗林一石路
死亡室の白布の下の死顔もう一度見たい母が叱られる/橋本夢道
火祭りの輪を抜けきたる青年は霊を吐きしか死顔をもてり/春日井建