俳句例:101句目～
眠るごと唄へるがごと雛かな/成瀬正とし
唄ひては植ゑまた唄ふ御田植祭/丸山則子
幼ならは病室にとほく雪を唄ふ/原田種茅
緑蔭の「石狩挽歌」碑を唄ふ/伊東よし子
室の津の歌ひ女の哀実むらさき/志摩知子
唄ふ唇が夜空に老いて老いゆく世紀/林桂
腕組んで唄へば雪嶺ゆらぎ出す/岩田昌寿
新豆腐夕べ故人の唄う聞く/長谷川かな女
蕎麦の花鳥も啼かねばわが唄ふ/林原耒井
年忘れ神父祖国の歌うたひ/佐々木美津子
霜焼頬赤く泥鰌ッ子鮒ッ子歌ふ/金丸鐵蕉
闇に燭手に～歌ふクリスマス/吉良比呂武
沖縄の闇にひきよせて歌うなり/牧野桂一
目貼剥ぐ空のひろさに歌ふ子よ/豊山千蔭
玄武かな歌うことなき民駆けり/和田悟朗
角振りてでんでんむしは唄ふ虫/高澤良一
雪は松にゆたかに狂女唄ひ出す/岩田昌寿
極月の煮立ちて唄ふ鍋の蓋/鍵和田ゆう子
君ら樹になれ鴉のごとく唄うべし/家木松郎
第九唄ふドレスに真綿忍ばせて/佐々木和子
俳句例:121句目～
干して唄ひ手となるちやつきらこ/金子篤子
雪嶺や頭を寄せ合つて唄ふ看護婦/岩田昌寿
ねんねこの中で歌ふを母のみ知る/千原叡子
みずうみの泥ほつほつと唄うらし/鎌倉佐弓
榾火とろとろ一人唄へば皆唄ふ/福田キサ子
ひとつ歌うたひつづけて木の実山/木村蕪城
降されて初荷のヒヨコ歌ひ出す/森川健太郎
コキリコを唄うてみせて夏炉守る/松永紫水
一人つき二人が唄ふ手まりかな/安達つかさ
うぐひすのいろの姪来てよく歌ふ/筑紫磐井
旅人に遠く唄へり蓴採/飯田蛇笏「山廬集」
裏に出て若き婢唄ふ日脚伸ぶ/ミュラー初子
花売女カーネーションを抱き歌ふ/山口青邨
唄ふ子の同じ丈なりクリスマス/室積波那女
鳥唄ふ中きようろろのまぎれなし/岡田日郎
うすものを着て長崎の唄うたふ/久保田万太郎
木の芽垣にくらき灯洩れつ唄ふ子よ/富田木歩
螢飛んで淋しくなれば唄ふ子よ/長谷川零余子
炎天の犬捕り低く唄ひ出す/西東三鬼「今日」
カチユーシヤを妻が唄へば冬近し/松井ふみを
俳句例:141句目～
唄へといへば唄ひやまぬよ裸子ら/岩淵喜代子
地球は歌う惑星春立つオリオンヘ/原子/公平
日の入るを待つと唄へばしぐれけり/猿橋統流子
撃ちし子ら唄ふ子にもどる雪の車窓/平井さち子
ねんねこの子へともなしに唄ひをり/片山由美子
「雪」/を唄う盲目の眼に冬の燭/長谷川かな女
ビールうましおばこ唄へば褒めらるる/皆川白陀
ケロンチョン歌うシャンデリアは火の矢/伊丹公子
凍み雪踏み着くまで唄ふ一つ歌/笠井操/『雪の紋』
梅雨旭ざせたたかう乙女の歌う輪に/赤城さかえ句集
ががんぼにパラフィン紙の唄うたつてやる/後藤綾子
夏夜の一角で労働歌うたふのもきこえる/栗林一石路
車中に歌う若きは西日にまみれどおし/赤城さかえ句集
大寒小寒吾につれ唄ふ児のふたり/田口俊子/『こととひ』
柿の花こぼれる木かげ少年がみどり児のため唄う子守歌/武川忠一
五十歳過ぎて結語をもたざれば夜の酒場に来たりて唄う/石田比呂志
ただ一度生れ来しなり「さくらさくら」歌ふベラフォンテも我も悲しき/島田修二
