櫟に関連した俳句の例をまとめました。
櫟を含む俳句例
照鷽や春山となる櫟山/森澄雄
楢櫟枝を交へたる雪催/岸田稚
櫟山春の樹氷の宝冠す/矢島渚男
岩山に裸の櫟光りあふ/佐藤鬼房
大綿や波郷の好きな楢櫟/小島健
芽遅き櫟林に日挾まり/京極杞陽
紅梅やゆく水光る櫟原/渡邊水巴
列車今四月の櫟林行く/江藤都月
初茜して楢林櫟山/長谷川浪々子
短日の日向残れる櫟山/清崎敏郎
熱上る楢栗櫟夕立つ中/石田波郷
春雨や切口にほふ楢櫟/向山隆峰
枯櫟日和小枝の山繭に/高澤良一
風花や夕枯櫟ただよはす/森澄雄
夏果てむ雨の深山の櫟の木/小澤實
水鳥の声に行かばや櫟原/渡辺水巴
春蘭の櫟の丘は伐られけり/和地清
かさとゐて容ちの鶉櫟山/岡井省二
泥眼に雪のしぐるる櫟山/斎藤梅子
楢櫟樫椎炭に焼かれけり/尾崎迷堂
俳句例:21句目~
かな~に匂ふ今宵の楢櫟/杉山岳陽
如月の櫟林の日ざしかな/野村喜舟
鋼びかりよ一月の櫟の葉/柳澤和子
雨残る櫟の幹に黒揚羽/小島千架子
松山と火照りて眠る櫟山/川崎展宏
宙に日を十一月の楢櫟/星野麦丘人
雪晴の櫟は青く霧らひたる/瀧春一
青丹波栗も櫟も総を垂れ/丸山哲郎
青櫟文鎮ほどに子を愛す/宮坂静生
枯櫟原厳冬の旭を真赤透く/森澄雄
山繭の二つのみどり櫟枯れ/原石鼎
櫟より櫟に落つる椿かな/芝不器男
冬雲を隕つるひかりに櫟原/瀧春一
卒業や丘は斜めに櫟立ち/中村汀女
真青な雨の櫟と寝冷の子/神尾季羊
枯草にほのと櫟の月明り/広瀬直人
櫟山越冬の蝶かがやかす/矢島渚男
冬暖く後山の櫟葉をたもつ/石原舟月
櫟若葉の銀色回り道にあり/金子皆子
かきくもりけり節分の櫟原/石田波郷
俳句例:41句目~
甲虫死して櫟となりにけり/橋本喜夫
楢櫟見るさへ暑し刻ながし/杉山岳陽
きさらぎの祭を隔つ櫟山/馬場移公子
さう~と梅雨の風ゆく楢櫟/杉山岳陽
楢櫟重たき梅雨の夜月かな/杉山岳陽
雪降り積む櫟林や秀野亡し/関戸靖子
霜夜経て移り住む家の楢櫟/杉山岳陽
櫟山雪の来さうな月上げて/岡本高明
青空に飛距離を伸す櫟の葉/高澤良一
体温計小脇にくぬぎ山霞む/岩間愛子
伐られ伏し櫟限りの花こぼす/及川貞
余花少し櫟林のへりにあり/京極杞陽
川狩の肘につきたる櫟の葉/小原啄葉
国東の山田山田に櫟植う/滝沢伊代次
墓四五基櫟黄葉の下にあり/穴井研石
墓域抽く櫟直々栗鼠とばし/成田千空
夏終る不意に叩いて櫟の木/宮坂静生
添水鳴る月のでばなの櫟山/石川桂郎
大年の日のいろとどむ櫟山/秋山幹生
鬼やんまひとり遊べり櫟原/石塚友二
俳句例:61句目~
妻如何にめぐる西日の楢櫟/杉山岳陽
栗くぬぎ芽立ち霞めり背山垣/及川貞
櫟原錆び色見えて冬に入る/伊東月草
楢くぬぎ枝染め分けて山粧ふ/荒久子
山ざくら雨をさむがる榛櫟/和知喜八
山は今染めんとすなり櫨櫟/武定巨口
山椒喰櫟は花を垂れそめし/山谷春潮
爽籟の櫟の高さ目に測る/鷲谷七菜子
楢くぬぎ雨後のくさびら紛はし/祗室
葉擦れにぎやか一月の櫟山/茨木和生
秋風に櫟山のみつづきけり/佐野良太
秋風の産屋つゝめる櫟吹け/杉山岳陽
空梅雨の夜月をかけし楢櫟/杉山岳陽
立ち並ぶ櫟や幹も影も枯れ/藤田湘子
罷り出づよべ失ひし櫟の実/大石悦子
朝鷹のむかし日を得し櫟谷/岡井省二
櫟の蛾昏睡夫は空翔ぶや/石田あき子
身代りに寒月をあげ櫟の山/和田悟朗
野づかさの多摩の櫟へ斧始/藤田湘子
野阜の櫟伐られぬ二日灸/曽根原幾子
俳句例:81句目~
枯櫟霜除したる木に隣る/吉岡禅寺洞
楢は母櫟は父のごと芽立つ/森田公司
雛まつり櫟の中に道はあり/山本洋子
うるむ瞳の妻に楢の芽櫟の芽/杉山岳陽
武蔵野の櫟もみぢは冬も濃し/高浜年尾
楢櫟夜霜着きしを触れて知る/杉山岳陽
とつぜんに櫟林の落葉どき/岩淵喜代子
露霜を置いて楢の葉櫟の葉/小林たか子
葉もなくて櫟の老樹花満てり/飯田蛇笏
ほぐれては花かとまぶし櫟の芽/及川貞
櫟の実足裏に触れて露天風呂/宮田俊子
もてなしは秋の水音櫟の火/霜田千代麿
夕焼けぬ櫟は雪をつけしまま/川崎展宏
大根焚き庭に櫟の割木積み/龍頭美紀子
腰据ゑてひかる星あり櫟枯れ/宮津昭彦
櫟酒場月ある夜は月に酔ひ/町田しげき
母を待つ子に枯櫟葉を降らす/加藤秋邨
うすらひの季の日のさし櫟山/岡井省二
弓なりの木橋に弾んで櫟の実/内山薫子
雉子鳴きてしぐれ明るき櫟山/根岸善雄