工場に関連した俳句の例をまとめました。
工場を含む俳句例
工場に老当直や初鴉/岡田日郎
工場の塀の間の冬霞/京極杞陽
夏工場深海めく溶接工/敏蔭孤舟
朝顔や同じ工場へ姉妹/田村了咲
工場の暗き静けさ鏡餅/平尾一秀
鵙鳴けり工場金属音の中/桂信子
手毬唄なほ焼工場聳えたり/波郷
地下工場寒水通ふ管太き/細谷源二
工場へ一筋の街夏終る/川島彷徨子
地下工場鋼鉄の階幅広き/細谷源二
東洋紡大町工場春しまく/宮坂静生
麦笛を捨て工場の塀黒し/萩原麦草
工場の塀迂回して汐干狩/右城暮石
野の中の腸詰工場麦の秋/原田青児
隙間多き夜業工場霰溜む/西村公鳳
鉄砧に櫻散り布く工場哉/寺田寅彦
工場の家ダニ騒ぎ雨腐す/高井北杜
水氷る助六染の工場かな/会津八一
部落に入る蹄鉄工場立葵/遠藤梧逸
軒忍吊りて工場の昼休み/山田和子
俳句例:21句目~
工場園冬草鉄の蔭に咲く/細谷源二
工場の太き白煙寒の空/望月田鶴子
工場の裏より仕立て船遊/大前知山
あまい食欲火薬工場は空の底/穴井太
すかんぽや田中に迷ふ工場水/下田稔
秋潮に工場はおのれ煙らしめ/村田脩
濃く低き虹を冠りぬ幾工場/石田波郷
野鍛冶より育ちし工場鞴祭/田中光峰
霧に過ぐ香料工場灯ともりぬ/杉本寛
飽食の鳩らロボット工場の秋/穴井太
働けば工場の花もちりにけり/原月舟
初富士に工場地区の音止みぬ/瀧春一
勧工場出口になりぬ夏の月/籾山柑子
吸殻工場の隅で秋風からむ/伊東佐久
夏来たり工場黒きもの流し/岸風三楼
微酔してワイン工場桃の花/中屋文子
夜へ継ぐ工場の炎や半夏雨/巌谷小波
北海に突出し工場暮の秋/深見けん二
梅雨の夜空ヘ工場の熱の煙/津田清子
建築主雷を頭上に工場建つ/細谷源二
俳句例:41句目~
工場の塀ぎは濡らし蜆売り/沢木欣一
工場出てすぐに春の野昼休/小山幻堂
工場園冬来ぬ鉄の柵を張り/細谷源二
工場はタオル靴下曼珠沙華/佐藤春夫
立春の砂糖工場船の着く/岩淵喜代子
葛の葉の茂みに火薬工場の灯/穴井太
蛇摶たれ工場黄なる煙吐く/松村蒼石
醤油工場秋燕にまだ軒貸して/安住敦
工場の愛しあう煙五月くる/寺田京子
泣けという鋳物工場の饐えた風/穴井太
工場より借りゐる機械妻の冬/岸風三樓
油手をあげて虹見る工場の間/古沢太穂
朴ひらく工場音を北にして/北原志満子
地下工場寒き奥処に歯車あり/細谷源二
木莵紛ぎれ込み織工場雪深む/西村公鳳
建築主鋭き犬をつれ工場建つ/細谷源二
十五夜の工場鉄扉とざしたる/菖蒲あや
種蒔けり工場響もす土掻きて/石田波郷
工場にパイプ錯綜暑気中り/永井アイ子
屋根赤き砂糖工場も暮春かな/石田波郷
俳句例:61句目~
工場バンド汚れて重き手風琴/細谷源二
蜥蜴出て砂糖工場の裾を攀づ/石田波郷
蝙蝠や工場の塀に圧され住む/久米正雄
工場も建つや水田の冬の駅/河東碧梧桐
工場体繰立枯れの樹に拳むけ/細谷源二
子の継がぬ工場守りて鞴祭/田辺野風楼
工場園の細き腰掛をわが愛す/細谷源二
冬田空工場の入日となれり/河東碧梧桐
開聞岳や瓦工場の熟れ朱欒/石鍋みさ代
朝曇たたみ工場にパリのうた/田口彌生
工場のかくれし溝の鳴る二月/猿山木魂
埓も無く工場建てける冬田哉/寺田寅彦
鴨帰る朝の工場の屋根光り/米沢吾亦紅
河終る工場都市にひかりなく/高屋窓秋
麦秋や詩人は工場より来る/熊坂てつを
工場街抽きて揚れる凧いつまで/右城暮石
北風のふわりと甘くパン工場/木谷はるか
工場風呂煤煙の樹は秀をそろへ/細谷源二
戦車工場春霖に雀二羽見しのみ/古沢太穂
日と直結海苔工場に何も置かず/右城暮石
俳句例:81句目~
春三日月も砂糖工場の灯も淡し/石田波郷
春待てり製靴工場の木型どち/磯貝碧蹄館
時計工場秒音ひしめきあひて雪/毛塚静枝
氷菓工場出でても工女白づくめ/野澤節子
汽車工場の汽罐車枯山へ光向く/細谷源二
汽車工場の軌条霜崖へ行き止る/細谷源二
海べの男酸素工場の夜業で銹びる/穴井太
火薬工場の真昼眼帯の白現われ/杉本雷造
炎帝の住みつきたまふ工場かな/金子光利
石灰工場寒暮殺到して来るぞ/加藤かけい
秋刀黒焦げ工場の飯大盛りに/山崎ひさを
いちょう散るパン工場は湯気の中/穴井太
ビール工場からあふれさうな満月/能城檀
上海陥落工場野球よく晴れたり/細谷源二
葭切すがる芦なびき工場の煙も/原田種茅
葭切の工場の朝をひと知るや/米沢吾亦紅
蘆の芽に殷々として工場かな/大橋櫻坡子
並び咲き醤油工場の花さつき/高井美智子
冬ひそと家庭工場に子が生る/石橋辰之助
工場野球軍籍もてる掌をひらく/細谷源二