形代に関連した俳句の例をまとめました。
形代を含む俳句例
形代の貌男とも女とも/藤岡和雄
形代の流れて寧し渓杏/松山足羽
形代や机のはしに忘らるゝ/松浜
形代も通船堀にかかる頃/松本進
形代に脱いで捨てけり麻袴/成美
形代の袖を重ねて沈みをり/中西蘖
形代のまだ男とも女とも/櫨木優子
形代の男女と流れけり/富田うしほ
形代の吹かるるものに袖袂/檜紀代
形代に走り書して女去る/福井圭児
形代のよき川波にのりにけり/三山
昏々と湖の形代流しかな/大石悦子
形代の夫の名わが名水に消ゆ/春子
形代や腹閃めかすの見ゆ/島田五空
形代や柳の彼方やなぎ見え/上村占
形代や何でも水に流す国/橋本喜夫
形代や今こそ掌より川浪へ/東洋城
形代の鋏惜しみし袂かな/綾部仁喜
形代に華甲の息を一文字/伊藤敬子
形代に桃色人に夢多き/後藤比奈夫
俳句例:21句目~
形代のかゝりて乾く杭かな/中島月笠
形代にうつす現身息をかけ/福田蓼汀
形代の浅黄の帯ぞ淋しけれ/野村泊月
蓮田風あほつ形代流しかな/石田波郷
形代の一枚に書く双子の名/小林勇二
七十の形代や袖長過ぎむ/殿村菟絲子
形代に記し齢をいつはらず/八染藍子
形代に記す家族の年を聞き/荻江寿友
渦の上に形代ながす湯殿川/中村翠湖
汗ばみて旅の形代流しけり/細川加賀
よき声を使ひ形代流しかな/関戸靖子
形代に卯の年男とぞ書ける/正岡子規
形代に名を書く心素直なり/西川五郎
形代の袂は風に吹かれけり/古舘曹人
形代のわが名わが齢水の上/神尾季羊
形代の嘘いつはりのなき形/矢島久栄
亀覗く澱む形代掻き分けて/原口絹枝
俳号てふ無名を記す形代に/嶋田麻紀
半身を病む形代の白さかな/熊谷愛子
形代や末社ながらも檜皮葺/大庭紫逢
俳句例:41句目~
形代や朝は真鶸の声澄みて/高橋馬相
形代に黒髪の無き怨みかな/鈴木鷹夫
形代の一片雲へ歩かせる/林田紀音夫
形代の行方の水の真青なる/原田豊子
真菰わけ形代ながす人ゆきぬ/秋櫻子
引潮に乗り形代の流れ行く/茨木和生
形代の白紙袂のあるあはれ/福田蓼汀
形代の重なりゆくも縁かな/大橋敦子
形代の白妙年を経たりけり/小林康治
形代と形代競ふこともなし/山崎十生
形代にありたる長き袖袂/猪俣千代子
流れゆき誰が形代と重なりし/菅原鬨也
いただきし形代にもう雨の粒/藺草慶子
火をあびつ形代さつと闇に入る/知世子
狎れ難し吾に代らむ形代に/相生垣瓜人
美濃和紙の形代流す板取川/佐藤たみ子
古利根へ流す形代馬の背に/野崎ゆり香
袖白き魑魅の形代吹かれけり/古舘曹人
大潮に乗る形代の立ちあがる/岡田史乃
形代として両腕のなかりけり/川口未来
俳句例:61句目~
形代となりて流るるけさの夢/桜井千種
形代となるまで伏せむ雪の原/柿本多映
遠き子の形代親が息かけて/下村ひろし
遠く来て形代に息かけにけり/綾部仁喜
形代にかけたる息の余りけり/綾部仁喜
形代にそひて流るる藻の青し/大熊輝一
形代にとまりし蝿を憎みをり/白岩三郎
形代になき鳩尾をかかへけり/綾部仁喜
形代に子の名より書き母なりき/林昌華
形代に我の裡なるもの移る/相生垣瓜人
形代に拭ひし身なり流さるる/小林康治
形代に有為の山々高みけり/鷲谷七菜子
形代のいざよふは日の衰へし/長谷川双
形代のゆくへも知らず水の闇/松尾静子
形代のわが名軽々風に浮き/深見けん二
形代のをみなか袖をひるがへし/館容子
形代のあと知らずゆく秋の風/松山足羽
形代の妻はさつさと流れけり/湯浅康右
形代の施しやうもなく飛びぬ/松山足羽
形代の深く沈むは訳ありよ/横山佳世子
俳句例:81句目~
形代の生きて袂をかへしけり/高田正子
形代の紙も粗末となりにけり/岡本松浜
形代の切込みふかき袖たもと/串上青蓑
形代の袂ひろげて流れゆく/加藤三七子
形代の袖に筆頭わが名書く/三宅かつみ
形代の襟しかと合ふ遠青嶺/能村登四郎
形代の闇の流れの果知れず/小枝秀穂女
形代や水の近江に住みつきて/中山碧城
恐ろしやわが形代の流れゆく/本岡歌子
息かけて形代に顔なかりけり/小倉行子
息かけて形代重くなりにけり/伊藤柳香
流し雛わが手離れしより形代/吉野義子
形代に瑛といふ名をこの日より/古舘曹人
形代に書きて我名をよみにけり/横山蜃楼
わが代の形代にして幽かなり/相生垣瓜人
去り難くわが形代のよどみゐて/三宅年子
形代の男女ひらひら重なりぬ/山田みづえ
形代にうすうす骨の見え来たる/大木孝子
形代におのが齢のおのれ寂ぶ/下村ひろし
形代に書きし吾が名の沈みゆく/品川鈴子