溶岩/らば/熔岩に関連した俳句の例をまとめました。
溶岩/らば/熔岩を含む俳句例
邯鄲の声に佇む熔岩の径/内山茂
溶岩割りて水迸る初日影/堤信彦
山麓の溶岩隠り虎杖摘/高澤良一
修行僧五月の溶岩に翻る/菅原鬨也
鳥帰る黒潮しぶく熔岩岬/阪井節子
盆栽の熔岩険しうてふ蘭/関森勝夫
新涼の牛糞親し熔岩の牧/宮坂静生
麻を蒔く畑深打に熔岩浮び/久保武
熔岩とまがふ黒牛夏野原/小松/幸
熔岩の中提げてくる囮籠/神尾季羊
熔岩に置く赤飯一斗山開/新井徳子
熔岩の上を飛びたる石叩/野村泊月
地を圧す熔岩流と枯芒/加藤瑠璃子
雲の上に溶岩のぞく懸煙草/熊丸淑子
鶯の下りて色濃し熔岩の盤/前田普羅
かさぶたの如き熔岩秋の山/林三枝子
ころがつてゐるは熔岩青芒/下村梅子
熔岩に早這ひそめて葛の花/野村泊月
枯の中熔岩色なせる山の池/大橋敦子
熔岩蔭に潮騒届き郁子熟るる/中原槐
俳句例:21句目~
熔岩の上の四阿初あらし/深川正一郎
熔岩の原を沙漠の秋の蝶/保田白帆子
熔岩の花とし咲ける臭木かな/倉田青
一舟を熔岩の入江に島の秋/皆吉爽雨
万年の相もて熔岩の滴れり/毛塚静枝
乱鶯や熔岩の一点発光す/神宮司茶人
熔岩を緑光はしり蝶を誘い/大井雅人
溶岩崩れ林檎の花は引緊る/古舘曹人
熔岩薄暑巫女口説の告知板/椎橋清翠
山荘を出れば熔岩径草紅葉/藤松遊子
虚子忌今日溶岩原遠く吟行す/西村数
蟇目覚め溶岩流をのぼりだす/日原傳
逝く春の病者と語る熔岩頭/萩原麦草
漁りの熔岩の一戸も花曇/神尾久美子
春一番田の真中に熔岩坐り/川村紫陽
囀や鳥居が無くて熔岩を置き/森田峠
間引菜の笊を頭に熔岩の道/稲荷島人
十一や樹海へ続く溶岩の道/小川斉東語
舟還る熔岩の入江や枇杷の花/野上水穂
熔岩磯の明暗つづる秋の蝶/下村ひろし
俳句例:41句目~
どの道も熔岩を八方天高し/赤松けい子
溶岩原に向かふ山火の急先鋒/高澤良一
ねぢばなに熔岩荒原の走り水/木津柳芽
熔岩灼くるしづけさ天に日は駐り/草堂
溶岩原の風吹くほかは油照り/吉田紫乃
熔岩流の止めの岬の冷まじや/毛塚静枝
溶岩海に伸びて火の島冬日和/高濱年尾
熔岩にまだ火の色残る花菫/松崎鉄之介
十一や西湖ここより熔岩の岸/皆吉爽雨
火山道熔岩炎え色に鳥も居ず/河野南畦
熔岩一片ほどの人生百千鳥/伊丹三樹彦
灼け熔岩にわれを窺ふ鴉の眼/伊東宏晃
哀しびや熔岩寒林に貂を撃ち/多田裕計
熔岩に椿の林途切れけり/長谷川かな女
雪蛍熔岩の樹形の闇に消ゆ/中戸川朝人
邯鄲の声沁むばかり月の熔岩/小林碧郎
熔岩一基遊女の墓として涼し/宮坂静生
熔岩のような土竜が陽の下に/守谷茂泰
外套の釦あたらし熔岩に落ち/山口誓子
松虫草の群落にして熔岩の瘤/富安風生
俳句例:61句目~
熔岩のかひながいだき蜜柑山/河野静雲
熔岩流ハ一系ノ諦念ヲ体セヨ/夏石番矢
熔岩のみち枯芝のみち海に墜つ/大橋宵火
しぐるるや潮も黒ずむ熔岩岬/下村ひろし
赤鵙や溶岩のほてりを癒やす雨/白岩三郎
ほととぎす校庭の熔岩児の馬に/羽部洞然
熔岩に生ふ一握の草冬に入る/鈴木真砂女
光る海光らぬ熔岩と冬凪げり/下村ひろし
兜虫残暑の熔岩を目に一ぱい/殿村莵絲子
南国の熔岩に末枯れゆくものと/稲畑汀子
咲きそめて溶岩に影ひく女郎花/渡辺立男
夏帽を熔岩にころがし教師若し/宮坂静生
大島や熔岩に野菊の吹かれをり/山田春生
大瑠璃や海へせり出す溶岩の原/加藤青女
富士塚の熔岩に伸びして猫の夫/田中水桜
巫女の掌に蚕神遊ぶや旱り熔岩/巌谷小波
新涼の松ほつほつと熔岩の原/下村ひろし
明日葉の茂り溶岩地を埋める/戸口千恵子
春の熔岩のこし岩郎逝きにけり/萩原麦草
朝凪ぎし熔岩の瀧津瀬蝶わたる/前田普羅
俳句例:81句目~
木闇冷え熔岩がつくりし洞守る/河野南畦
末枯るゝものばかり溶岩原の景/高濱年尾
水あると思へぬ熔岩の沢あやめ/武藤和子
熔岩の背のかげろうあそぶ禿頭/和知喜八
溶岩赭く夏蝶つかみどころなし/古舘曹人
火の山の熔岩のそびゆる火焔木/桂樟蹊子
灼けし熔岩さまよふ原始人清子/津田清子
熔岩の修羅しづまらず天の川/阿波野青畝
熔岩の原薊を黒く咲かしめて/橋本多佳子
熔岩の底なほ燃ゆるなり渡り鳥/中島斌雄
熔岩の瀬に径逡巡とかげろへり/前田普羅
熔岩の相いまは穏やか下萌ゆる/富田潮児
茶臼岳熔岩に浅茅の色づけり/三好かほる
熔岩の色すみわたりたる左右句碑/穴井太
熔岩を置く小みちは濡るる藤袴/杉山岳陽
熔岩群れて荒野に怒り充つる冬/宮津昭彦
熔岩色を重ねて古りて冬ざれて/高濱年尾
熔岩赭く夏蝶つかみどころなし/古館曹人
病者見よ熔岩が雪片ゆたかにす/萩原麦草
熔岩くづる人のもろさが水盗む/萩原麦草