拳に関連した俳句の例をまとめました。
拳を含む俳句例
そよ風に拳握るや奴雛/梢風尼
子の中の手袋なき子固拳/林翔
麦を蒔く少年大き拳もつ/沢啓三
年忘一木の瘤拳打ち/上田五千石
寒稽古天に向つて拳あげ/佐藤淳
冬菫少年拳で嗚咽せり/齋藤愼爾
寒稽古終りて拳解かず礼/檜紀代
大拳振つて大股大南風/小出秋光
紅梅の莟のやうな拳哉/正岡子規
涙拭く拳の太く落第す/後藤圭仙
冬深む黙契のごと双拳/村越化石
向日葵の空仰ぎては拳あぐ/原裕
学校の廊下に拳大の雪/富沢葦生
團結の歌ごゑ汗の拳振り/上村占
拳を打二階の影や夏柳/正岡子規
袖口に拳のぞかせ七五三/辻本斐山
車窓より拳現われ旱魃田/金子兜太
降る雪や拳の鷹に心問ふ/野村喜舟
小男の拳大きく麦を蒔く/鈴木武郎
青空へ突き出す晩年の拳/安藤涼二
俳句例:21句目~
鷹匠の拳に鷹の甘え鳴き/河内/環
戻り路や拳の鷹の鎮まらず/森田峠
たてまつる裸参りの空拳/高橋迫水
にぎりしむ十指は拳水の秋/神蔵器
抗議せし拳やすくふ冷奴/玉城一香
拳固く握る遣影や鵙高音/館岡沙緻
掌に拳一と打ち田起しへ/成田千空
春昼の空手空拳またなみだ/上村占
助鷹のこなたにいさむ拳かな/蓼太
氷の隙に水の拳や寒の明/近藤潤一
火の拳そらの子宮に霙ふり/徳弘純
炎昼をゆくや拳のなか暗く/北光星
物云ふて拳の鷹をなぐさめつ/蕪村
古桑の拳の芽吹き裏妙義/奈良文夫
玉蟲を拳ゆるめて光らしむ/渋谷道
赤ん坊の拳にちから初嵐/甲斐遊糸
肩を張り拳を握る寒さ哉/正岡子規
夏河原よぎる男が拳上げ/行方克巳
芒原握り拳の内あたたか/池田澄子
大寒の街に無数の拳ゆく/西東三鬼
俳句例:41句目~
大拳下げし疲れや夕薄暑/小出秋光
荒海に拳つきだす寒稽古/那須淳男
伊勢道の拳のやうな蓬餅/大石悦子
蕨萌え金剛拳を現じけり/水内鬼灯
口開けて腸を抜き取る拳かな/高橋龍
雷雲の上げし拳の下のわれ/久米正雄
父の拳はいつも藁いろ冬霞/栗林千津
さす棹の拳にのるや春の水/高井几董
さみしさが拳握らす啄木忌/衣川次郎
じやんけんの白き拳や花衣/日野草城
ぜんまいの拳ほどけよ雲と水/桂信子
遠くにも種播く拳閉じ開く/西東三鬼
はし鷹の拳はなれぬ嵐かな/正岡子規
熊手持つ拳と拳行き交へり/高澤良一
また夜が来る鶏頭の拳かな/山西雅子
みどり児の固き拳や天瓜粉/吉田昭二
春雪を握りしたたる拳保つ/成田千空
わが而立握り拳を鷲も持つ/鷹羽狩行
土門拳病みても写す塔に雪/橋本榮治
ポケットに拳の熱し冬鴎/山下知津子
俳句例:61句目~
ポケットに握る拳や氷点下/高澤良一
ポケットの中の拳や冬の滝/尾籠宏子
握りたる拳の強さ雲の峰/宮内むさし
ポケツトに拳の熱し冬鴎/山下知津子
夜も青空辛夷千手の拳開く/原子公平
郷倉は拳のごとし梅雨兆す/窪田英治
世に向ける握り拳や青嵐/岡林やよい
両の手に拳二つや原爆忌/山崎ひさを
井伊殿の御拳見ばや小鷹狩/高井几董
拳の如き雲の横切る峡の秋/川崎展宏
姐さんの花に浮かれて狐拳/筑紫磐井
綿木に対ひて拳冷えにけり/鈴木鷹夫
空青しかじかむ拳胸を打つ/西東三鬼
冬怒涛握り拳をポケツトに/中/和枝
冬浪を見て立つ拳握り立つ/大橋敦子
寒土用拳を使ひ起ち上り/中戸川朝人
空拳にして徒手の手を懐に/清崎敏郎
刀鍛冶拳で咳をこらへけり/石田勝彦
切通し手套の拳固めすぐ/大岳水一路
火の国の拳の奥に卑弥呼佇つ/穴井太
俳句例:81句目~
拳握るのみや男の春愁は/能村登四郎
悴んでくる手拳にしてしまふ/石井保
卒業式すゝむ拳を膝に置き/岸風三樓
玄冬の何せむとする拳なる/毛塚静枝
鷹匠の虚空に据ゑし拳かな/橋本鶏二
さかもりの猜拳が上手十夜僧/河野静雲
ふところに温もる拳鳰のこゑ/鈴木鷹夫
冬天へ拳突き上げ何の木ぞ/片山由美子
メーデーやあぐる拳に日燦々/南光翠峰
何為せと胡桃をつかみたる拳/矢島渚男
佞武多その灯の大拳夜気掴む/奈良文夫
ピーマンの青き拳や核戦争/田川飛旅子
初湯出て赤子の拳ほどけけり/藤田郁子
勝つための拳にあらず冬走者/能村研三
噴く山へ拳突き出す寒稽古/谷迫はるえ
姉よ抛らん郁子の実の青い拳/金子皆子
寒星をつかむ仕ぐさの子の拳/対馬康子
寒潮に向かいおとこの青拳/松田ひろむ
工場体繰立枯れの樹に拳むけ/細谷源二
比良八荒少年拳突き上げて/宮下由起子