俳句例:101句目~
ポケツトに黒ずみてをり龍の玉/三浦照子
掻き分けて龍の玉のみとりだせる/中田剛
てのひらに寓話がひとつ龍の玉/望月哲土
竜の玉雌伏のいまとおもふべし/上野一孝
老いて人澄みゆくばかり竜の玉/永方裕子
老いの手をのべて探りて龍の玉/富安風生
竜の玉三十路の顔となりにけり/古沢太穂
日のいろの闌けてやさしや龍の玉/中田剛
竜の玉まろびたまれる窪みかな/緒方氷果
見届けたき死のひとつあり龍の玉/岸洋子
龍の玉雌伏のいまとおもふべし/上野一孝
誰がための深き瑠璃いろ竜の玉/鈴木二郎
ひとつぶの瑠璃ころげいづ龍の玉/飴山實
浮き出でていろの定まる龍の玉/伊藤敬子
竜の玉升さんと呼ぶ虚子のこゑ/飯田龍太
鍵かけていづる看取りや竜の玉/帰山綾子
空の日の曇ればくもる竜の玉/鈴木しげを
ぬかづけばわれも仏弟子竜の玉/鳴瀬芳子
曇り日の留守せし竜の玉探しき/香西照雄
我したること吾子もする竜の玉/上野章子
俳句例:121句目~
地震のあとひそかに龍の玉こぼれ/高島茂
雑俳にたましひありぬ竜の玉/成瀬櫻桃子
竜の玉心富みつゝ生くべかり/石田あき子
先祖累代耶蘇を憎みて龍の玉/佐々木六戈
竜の玉掻きこぼしたる熊手かな/西本一都
竜の玉沈めるこころ沈めおく/石田いづみ
病む母は父の名を呼ぶ龍の玉/大木あまり
暗きまで紺引き締めて龍の玉/佐々木六戈
龍の玉亡き子の豊髪手分けたし/香西照雄
下向いていくつかあるや龍の玉/松藤夏山
龍の玉升さんと呼ぶ虚子のこゑ/飯田龍太
ここには暗き愛のかたちと龍の玉/久保純夫
こころねの深きところに龍の玉/中尾寿美子
このおもひ恋にはあらず龍の玉/加藤三七子
さぐりあてたる手を龍の玉こぼれ/松尾緑富
日を知らず実のりて碧し龍の玉/高橋淡路女
読み書きは無言に如かず竜の玉/宇多喜代子
手を入れて見れどまだまだ竜の玉/高澤良一
世をみつめるものの一つに龍の玉/中嶋秀子
病む母にはづませ見せし竜の玉/吉田きよ子
俳句例:141句目~
龍の玉目が似てゐるといはれけり/太田土男
龍の玉吾子が嫁く日は深みどり/大峯あきら
わがこゑに父のあらはれ龍の玉/中戸川朝人
竜の玉おもてざたにはできぬこと/岡田史乃
ひとり子のひとり遊びや竜の玉/板橋美智代
竜の玉などもてあそぶ日もありぬ/山口青邨
龍の玉イエスの視界晴れそめし/野間口千佳
わが胸のうちにもあるぞ竜の玉/青柳志解樹
しわくちやの手に龍の玉のつてゐる/岸本尚毅
探ぐり得ていろあざらけき龍の玉/高橋淡路女
龍の玉碧き匂ひのありにけり/三ケ尻/とし子
龍の玉こつんほんとのことを知る/夏井いつき