俳句例:101句目～
ドイツ語の紙の辞書あり父は亡し/岩崎照子
三鬼亡し夜寒むの山が汽笛出す/鈴木六林男
三鬼亡し湯殿寒くて湯は煮えて/鈴木六林男
何か曳き春の蚊飛べり三鬼亡し/秋元不死男
泣くためのくらがり寒し波郷亡し/細川加賀
包むものばかりの玉菜吾子は亡し/香西照雄
桐咲いて父亡く散つて母も亡し/小檜山繁子
蚊帳の中に親いまは亡し月あがる/村上鬼城
天の川われを追ひくる誰も亡し/河原枇杷男
後ろ手に襖を閉めて昭和亡し/たむらちせい
母は亡し綿虫に手をさしのべて/大木あまり
手を引いてやる母は亡し花の雨/大木あまり
春や亡し父といひ子といひたるが/橋本榮治
ゆきやなぎ父も父似のひとも亡し/友岡子郷
柚味噌やふるさとに母すでに亡し/岡本歩城
欣一亡し夕日まみれの師走富士/栗田やすし
日向たのしみ日向寒みて波郷亡し/石川桂郎
からからのひとでを拾ひ三鬼亡し/沢木欣一
湯気立ての湯気の盛んや夫の亡し/轡田幸子
雪の夜のうつばり軋み父いま亡し/細川加賀
俳句例:121句目～
ことことと茹で栗鳴りて綾子亡し/西村秋子
石蕗の黄のほつと枯色起美女亡し/松村蒼石
これは病みかれは世に亡し十三夜/石塚友二
霧中の巨樹一つづつ現れ父は亡し/香西照雄
靴ぬぎて青きを踏みて友ら亡し/富澤統一郎
たかし亡し梅雨の炭挽く静けさに/小林康治
鵲鳴いてふるさとに会ふ友や亡し/藤松遊子
穂翠亡し春田どかどか踏まれたり/宮坂静生
めつむれどかまつかの紅秀野亡し/小林康治
唐招提寺裏のすかんぽ多佳子亡し/上野さち子
昨日どほり鵙来て鳴くに吾子の亡し/川村紫陽
鵬于亡し枇杷いくたびか熟れにけり/栗生純夫
父は亡し日はしろがねの枯木道/鍵和田ゆう子
恋経て亡し枝の林檎のくもりやう/平井さち子
黒南風の日比谷にをりぬ湘子亡し/戸塚時不知
吾れを坊やと呼ばふ婆亡し八手咲く/上田五千石
サフランを摘みたる母も叔母も亡し/青柳志解樹
夜半覚めて梨剥いて居りわが師亡し/町田しげき
石蕗咲くは不思議ならねど母は亡し/八牧美喜子
歌會始よしゐノいさむ、ことし亡し/久保田万太郎
俳句例:141句目～
ねこじやらしじやらし相手のとほに亡し/今瀬剛一
昼会ひし人夕に亡し旱星/橋本花風「若葉年刊句集」
Barthes/Foucault/Guattari亡し/橋本薫
